工事現場
工事現場
三人の乗る車は二十四時間営業のスーパーの駐車場に車を一時止めていたが、少々浮いている事に気付き再び移動を開始する。
静音性は高いものの、それでも力強いエンジン音を吐き出しながら闇の中に溶け込むように走り出していた。
車内では大きなあくびをしながらハンドルを握る勇司、何度目になるか分からない目薬をさす久信、目を瞑り少し仮眠をとる長谷島を乗せ人通りの少ない道をゆっくり進んでいる。
「・・・ふぁ・・。少々しんどいな、逃走犯って案外と大変な生活です事。」
「そうですね、くれぐれも幼女には手を出さないようにお願いしますよ。逃走を許す事なく撃ち抜きますが。」
「しねーよっ!そんな事するぐらいなら一生一人で生きてくわ。」
車内で眠気覚ましの軽口を叩く遥か上空では竹とんぼ型のからくり人形が旋回し、勇司と久信は居場所を特定されている事に気付く事は未だ出来ていなかった。
少しの異変を感じたのは後部座席で目を覚ました長谷島であった。
「・・・んっ?工事中か、工事現場に旗振り人形なんて珍しい。久々に見たな」
その言葉に久信が周囲を見渡すと、たしかに一車線を柵に囲んだ工事現場ではあるが、作業をしている人々を久信の特技を通してみると、それは生物ではない。
「見つかっていましたか。私の特技の継続時間に問題ありですね、反省です。」
「あれってもしかしなくてもからくり人形って事か?つう事はあの意味あり気に止まってるトラックは・・・。」
悪い予想は当たるもので突然止まっていたトラックは動き出し、進行方向の道を完全に塞いでしまう。車を慌てて旧停止させる勇司ではあるが、気付くと後方も横付けされたトラックによって逃げ道はなくなっていた。
「少し剣呑な雰囲気だな。二人とも任せてもいいのか?」
後部座席から聞こえる声に久信が頷き、勇司を見る。
「ええ。お任せください、勇司さんに。」
「へっ?俺の担当なのか?ちょっと考える時間が欲しいっ。」
あたふたしながら勇司が思案していると、トラックの荷台からスーツ姿の眼鏡をかけた女性が飛び降り、着地するヒールの音が響いた。
その姿を見た途端、長谷島は少しだけ驚き悲しげな表情を浮かべる。
「やはり山村君だったか、なぜ君がこんな事を。」
綺麗な立ち姿で着地した女性は、長谷島の元秘書であった山村 弘美でありトラックの荷台からはからくり人形達が続々と降りてきていた。
「特局の特定より早く姿を現しましたか。元秘書となると色々と気になる事はありますが、まずはこの状況から脱出せねばなりませんね。」
「了解っと、一応ナイスなアイデアが浮かんだ。久信と長谷島さん動かないで一旦ストップです。」
トラックから降りてきた爆弾を持つ茶運び人形が前と後ろから近付いてくる中、挟まれた車は全く動きを見せない。
からくり人形を操作する山村は、車を囲んだ茶運び人形を突っ込ませると一斉に起爆し、爆発と共に車は炎に包まれた。
炎を見つめながら山村は呟く。
「あんたが悪いんだよ、あたしを首にしてあんな女を雇うなんて。ってへっ?」
炎に包まれた車の中から銀色に輝く三体の甲冑が出てきて立ち上がる。驚いている山村の目の前では、さらにその内一体の甲冑が煙草入れから銀色に輝くタバコを取り出し、火をつけていた。
【真銀煙・犬ゾリ】
何度かに分けてたっぷり吐き出した煙が、地面で形どられシルバーメタリックなスタンダードプードル三匹が引く犬ゾリとなり、三体の甲冑が乗り込むとトラックの隙間を走り抜ける。
犬ゾリの後ろ姿を呆けた様子で眺めていた山村ではあったが、ふと我に返るとターゲットを逃がした事に気付き、からくり人形をトラックに載せると逃がした方向に猛スピードで追いかけ始めた。
少しの時間が経ち、トラックが立ち去り炎が少しずつ鎮火にむかっている車の残骸では、銀色に輝く繭のようなものが二つ残されているのであった。
なんとなくクリスマスです。
まあ、内容には何も関係ありませんが。
こう主人公達と良い勝負ができそうな特技がイマイチ思いつかない。悩みながらも話は進めていきます。




