空中捜索
空中捜索
旅客機の操縦席には昴が座り、副操縦席には久信が着いていた。滑走路を短い距離で離陸し、飛び立つ満員の客室内ではキャビンアテンダント用の座席に座り、人形達を眺める勇司と雪の姿があった。
「満員御礼だねー。あられちゃんで一杯だけど本物が待ってたのにーっ!」
「まあまあ、仕方ないじゃないですか。案外と特局ピンチなんですよ。」
「そうなの?あたしがレアラーランド世界54箇所同時オープン準備をしている時にそんな事が?」
ようやくシートベルト着用サインが消えると二人は席から立ち、少しだけ強張った身体を伸ばす。
「そういやさっきAFCに誰か雇い入れてましたよ。名前も聞いてないレインコート姿の男でしたね。」
「そうなんだ、ぬいぐるみ職人さんとかだといいなー。なかなか久信くんAFCにぬいぐるみ部門作ってくれないんだよ、あんなにお願いしてるのに。」
「でしょうね。どんな部門になるのか謎ですし。」
すると操縦室に続く扉が開き、昴と久信が自動操縦に切り替えると四人は早速現状のすり合わせに入っていた。
「それにしても他の連中は何やってるんだ?結構一大事だろ。」
「はい、昴ちゃんこれっ。」
雪の手の中にあるノートパソコンには様々な監視カメラの映像から持ってきた0班員達の激しい戦闘が映し出されていた。
背のブースターで空中戦を繰り広げガトリングの弾を吐き出す慎介、大量の兵士相手に街を破壊する美優と辰雄、街に溶け込み自ら追手を見つけて片付けていく竜胆、どこにも見当たらない要と、皆手を離すことは出来ないほどに己の仕事を全うしている。
そして0班員の相手をしている追手達は瞳が赤く染まるスターダスト特有の症状を示しており、苦戦しているようであったが戦闘に興じる0班員達はどことなく楽しげでもあった。
「皆さん忙しそうだけど、問題はなさそうだな。」
「そうですね。我々が心配するのは失礼に当たりますし、我々の出来る事をしましょう。」
「そういやレインコートの奴からこれ受け取ってたな。どうすりゃいいかな?」
ポケットから白い錠剤を取り出すと、勇司は摘み上げながら眺めているがいくら見てもただの薬剤にしか見えないが、渡された人物からいって明らかにスターダストである。
「あなたが持っていてください。今回は乱用されているようですが、私は使われる前に倒せたみたいですね。」
横では電脳誘惑を使っての捜索が行われており、【停止】【脱色】【染色】の特技を持つ狙われている三人の現在の行方を探していた。
電脳誘惑によって三人の携帯から位置を割り出し、地図上に表示すると三つの点は徐々に近付いていく。
そしてその一つの点がとある場所に止まった瞬間に、昴は操縦室に走り出していた。
「お前ら準備しとけよ、そこまでなら10分だ。」
操縦室の扉が閉まると、雪は人形を膝の上に抱いてシートベルトを締め、久信は座席に手を置き力を込める。
向きを変え襲いかかってくる慣性に、一人勇司は翻弄され通路を転がっていく。壁に叩きつけられ後頭部を抑える勇司に、久信から小さなリックのような物が渡される。
「アイタタタタ、んっ?何だそれ?」
質問に答える事なく勇司に背負わせると、肩を押し無言で進ませていく。そして非常口の前に立つと、勇司はゆっくり振り向き涙目を浮かべていた。
「久信さん、これってもしかしてパラシュートってやつなんじゃないでしょうか?あたし高いとこは少し苦手でして・・・。」
退路を塞ぎ軽く笑みを浮かべる久信は、優しく勇司の額に人差し指を置くと軽く押した。
タイミングを合わせたかのように、非常口の扉が吹っ飛び勇司は背から空中へと投げ出されていく。
「では雪さん、また後程。」
「頑張ってねーっ!」
開いた非常口から久信は自ら飛び出し、ロングコートをなびかせながら空中姿勢を整えると、先に自由落下している勇司を追いかけていくのであった。
なんとなく四章ゴールに向かっているような気がします。
勘違いじゃなければいいなー。




