落下傘
落下傘
自由落下で旅客機が遠ざかっていく中、最初は焦っていたものの次第に勇司の心は落ち着き、
菩薩の境地に辿り着いていた。
「早いな。だけど人生なんて落ちる時もあれば上がる時もある。そのうち上昇する機会もあるだろ。」
すると頭の中で声が響き、勇司は落ち着いて目を瞑る。
「遂に悟りまで開けたか。御仏の声まで聞けるとは飛んでみるもんだな、・・・聞き覚えのある声のような気もするが。」
(「何一人で頭の悪そうな会話を繰り広げてるのですか?もうじきパラシュートを開かねば、確実に終了ですよ。」)
「なっ、もしかしなくても久信か?どーゆう仕組みだこれ?」
(「骨伝導ですよ、先程少しばかり細工を。そして肩の紐を早めに引いたほうが懸命かと。」)
気を取り直し慌てて肩から伸びる紐を引くと、一気にパラシュートが開きスピードがグンと落ちる。はじめての感覚に戸惑いながらも、下の景色を眺めながら風任せに降りていくと上空にはもう一つのパラシュートが見えていた。
「さて、ここからどーすんだ?落ちてるし、逃げようがないんだ。度胸を据えて行ってみようか。」
(「素敵な心構えですね。では着陸地点は狙い通りですのでそのままどうぞ。」)
「ほうほう、そいつは楽ちんでよいな。このまま行くと雰囲気的にあのビルか・・・。何か屋上に人いません?」
(「当たり前じゃないですか、向かっているのは敵の総本山ですよ。少し数を減らしますので、勇司さんお願いしますね。」)
「へっ?何をだ?」
すると勇司のすぐ横を銃弾が通りすぎていく。空を行く二つのパラシュートはあまりにも目立ち、ビルの屋上で周囲を見張る集団にあっさりと見つかっていた。
「あっぶねーよっ!」
【真銀煙・甲冑】
空中で銀色に輝く煙草に火をつけ、身体に甲冑として纏わせると向かってくる銃弾を見事に弾くが、後方のパラシュートに突き刺さっていく。
パラシュートの方を向き、後頭部に銃弾の当たる感覚があるが勇司はそれどころではない。
「不味いマズイまずい不味いっ!すっごく穴だらけ。」
後方からは勇司を盾にライフルで屋上を狙い撃つ久信の姿があるが、それがさらに屋上からの攻撃を加速させる。そして下からの銃撃が、勇司の落下速度を加速させていた。
元気なく萎むパラシュートを見ながら、勇司はジタバタ足掻きつつもビルの屋上に届く事はなく、アスファルトへ落下していく。屋上の全ての敵を撃ち倒したにも関わらず、久信は落下地点にパラシュートでゆっくり降り立っていくと、落ちている甲冑を発見した。
「無事みたいですね。屋上から侵入するつもりでしたが、予定変更です。」
「アイタタタ、甲冑なかったら8本は折れてたな。少し離れちまったか。」
身軽に甲冑姿の勇司は立ち上がると、二人は並んで歩き出す。目的のビルに到着するとパラシュート騒ぎから、更に次の騒ぎが巻き起こっていた。
百体を超える人型のぬいぐるみがカラフルなパラシュートを開きながらビル近辺に降り注ぎ、まるで空一面に花が咲き乱れるような光景に一瞬二人は見入る。
「景気づけにはいい感じの景色だな。」
「そうですね。では真正面から行きましょうか。」
そう言うと二人は騒ぎの起こっている中、上空を見上げている男達を蹴散らし、ビルの中へと侵入していくのであった。
後五話程でこの章は終わらせたい。
だけどいまいちいい流れが思いつかない。
書いてる最中に思いついたらいいなー。




