切れ味
切れ味
二人は名も知らぬ男と向かい合っているが、その男は無表情に勇司と久信を交互に見つめ、更にプードルとポニーを一瞥するが、すでに興味を無くしたかのように前を見つめていた。
「飽きるの早いなおいっ。もう少しくらい興味持ってもいいだろ。」
「とりあえずはここまでのお膳立ては出来ましたが、ここからが本番です。あの方の特技も分かりませんし無闇に近付くのは危険ですね。」
「だよな。とりあえずこの二匹に任せてみるか。行くんだ犬君アンド馬君っ!」
銀色に輝く煙で出来たスタンダードプードルとポニーは躊躇する事無く走り出し、男へと駆け出し身体ごとぶつかって行く。
しかし男はその場から動く事なく腕を二振りすると、スタンダードプードルとポニーはあっけなく煙へと戻っていった。
ステッキを手の平でポンポンと叩きながら二匹が倒される様子を眺めていた久信は少し表情を曇らせ、勇司は消えていく煙を眺めながら奥歯を噛み締め、悔しさを表情に出していく。
「何か持っていたわけでもないようですね。素手というわけですか、相当に切れますね。」
「犬君と馬君が一瞬だったな。何されたんだよ一体?手を振っただけに見えたのにな。」
「勇司さんのおっしゃった通りですよ。手刀という言葉の意味をそのまま体現している方のようです。」
二人は未だ無表情に突っ立っている男に接触を図っていくのであった。
「特局の者ですが、なぜこのような事を?」
「・・・何でだろうな。道場の中を見て感想を言っただけだよ。・・・使えないってな。」
男の言葉にこの事件はどちらも単純な動機で起きた事が分かり、それだけの事で道場の惨劇が引き起こされた事に驚いていた。
「それだけであれかよ、救われねえな。なんであそこまでやったんだよ。」
「使ってみたかったんだよ。・・・これをな、ただそれだけだ。」
男は指につき乾いた血液を落としながら無表情に言葉を返していく。その姿に二人は異常性を感じずにはいられなかった。
そして男はゆっくりと前に進み、二人が身構えようとした瞬間一気に速度を跳ね上げる。横から振り抜かれる手刀を勇司は恐怖心で反応し、体を捻り強引に躱すと後ろに飛び退く。
久信がステッキの持ち手を一回転させ引き抜くと、直刀が出てきて逆手に持ち袈裟斬りに振り下ろしていく。仕込みステッキを男は自らの手刀で受け止め、さらに突きにくる刀を鋭い動きで下がり距離を取っていた。
「動きもかなり切れますね。勇司さん大丈夫ですか?」
「ギリギリ大丈夫なのか?うん、切れてないな。こいつはやばいぞ、凄え怖い。」
そう言いながらも勇司は煙草入れを取り出し、久信は仕込みステッキの構えを解かず刃を向け続けている。
「大丈夫であるならば問題ないです。では勇司さん行ってください。」
「嫌だが拒否権はなしだよな。じゃあいっちょ頑張ってみますかね。」
勇司は銀色の煙草に火をつけ、久信はステッキを握る小指と薬指に力を込めていく。そして次は二人から攻め込んでいくのであった。
なんとなく他の0班員と一緒にいろいろ動かしたいけど、基本的には二人で動かしたい。悩みどころです。
とりあえずここまで読んでいただき感謝いたします。




