忘れ物
忘れ物
久信は一人モニターに囲まれながら全ての映像に目を通していく。映像の中の動きの有無で異常を判断し、その中に一つの異常を検知した。
「勇司さんですか。ここは近くのコンビニのようですね、何を買ってくるのか少し気になりますが覗き見というのは趣味が悪いですね。」
気を取り直しモニターに集中するがさらなる異常を検知し、久信は勇司の映るモニターに視線を移す。
(コロッケパンに焼きそばパンに唐揚げドッグですか。軽いものはどこに?まだ探していますね、・・・さらにはアメリカンドッグですか。勇司さんにとっての軽いものの定義が知りたいですね。)
そして視線を外そうとした瞬間、さらなる異常を検知し久信は携帯を手に取り勇司に連絡を取ろうとしたが、無常にも久信の後ろで軽快な着信音を鳴らしていた。
店員から領収書を受け取った途端に、勇司の目の前で店員が倒れていく。慌てる勇司はレジを乗り越え店員の元へと行くが、さらに店内にいた客の全てが倒れていった。
勇司の鼻孔に甘い香りが感じられ、一瞬気が遠くなるが頭を振り意識をはっきりともたせるとすぐに周囲を見回すが、あたりに怪しい人影は見当たらず、すぐに救急を呼ぼうとするが携帯も見当たらない。
「これはもしかして、現在進行形で昏睡強盗に巻き込まれてる最中か?どこだ?」
イマイチ動きの鈍くなっている頭を回し、警戒しながら店内を歩くが立っているものは勇司しかおらず、他に動きはない。
しかし防犯カメラの映像をモニターしている久信からは店外に立つ女性の姿が目に映っていた。
「これは仕方ありませんか。被害を出す訳にもいきませんし。」
久信は電話を取るとコンビニの前に置かれている公衆電話の番号を調べ、すぐに電話を鳴らす。
公衆電話が鳴った瞬間に女はすぐにその場を離れ、恐る恐る外に出てきた勇司が電話を取る。
「・・・もしもし、どちらさまでしょ?」
(「そちらにいる忘れ物をしたロリコンさんに用事があるのですがね。」)
「げっ、久信かよっ。やっぱりさっきのは容疑者来てたのか。もしかして容疑者逃げたとか?」
(「とっくに姿は見えなくなってますよ。すでに警察は呼んでありますから、とりあえず戻ってきてください。」)
勇司はコンビニを後にし、久信の待つAVルームに入ると、そこには少しいい雰囲気を醸し出す久信と雪の姿が目に入る。
「そちらではなく左にお願いします。」
「こっち?いないよー。そういえばこの辺この前あられちゃんとお散歩したよっ!」
「それはよかったですね。こちらの方角にたしかお天気カメラあるはずです、その映像をお願いできますか。」
「ちょっと待ってねー。はいこれっ、どうかなどうかなー?」
「さて、やっと手がかりを見つけさせていただきましたよ。雪さんありがとうございます、今度お礼をさせていただきますね。」
「いつもこっちがお世話になってるから大丈夫だよー。じゃあまた何かあってもなくても呼んでねっ。」
そして雪は部屋から出てくるが、思わず勇司は身を隠し通り過ぎるのを見送っていった。
「はぁーっ、何で隠れたのかね。反射的ってやつだな。」
勇司はコソッとAVルームに入っていくが、すでに久信は出る準備を済ませ、勇司に視線を移す。
「盗み聞きはロリコンの始まりですよ。では行きましょうか、携帯とハンカチと財布はちゃんと持ちましたか?」
「ロリコンちゃうわっ!そしてお前はおかんかよ。」
「あなたが先程携帯を忘れてなければ確保できたはずですが、それは今は忘れておきましょう。」
「すんませんでしたーっ!今後気をつけます、では行きましょう久信さんっ。」
二人は地下駐車場に向かうとセダンに乗り込み、容疑者が今現在いるであろう場所に向かって走らせていくのであった。
戦闘のない回になりそうな予感。
会話だらけは書きにくいわー。
ここまで読んでいただき感謝です。




