無線
無線
勇司と久信が正式に0班入りしてから、なかなか出動の機会はなく二人は未だ訓練を繰り返しながら、出動を待ちつつも緊張感を程よく持ちながら、食堂でコーヒーを飲んでいる。
「なかなかに出番とはこないもんだな。それにしても訓練何かさらに厳しくなってないか?」
「たしかにそうですね。ですが訓練のおかげか、ロングコートのサイズを作り直した方がよさそうです。そして未だ我々の実力不足という事でしょう。」
二人は訓練によって痛めつけた体を休めつつも、自身の体が少しずつ訓練に馴染んでいることに気付くと同時に、強くなる喜びを感じていた。
「とりあえず0班だしな。今までとはレベルの違う容疑者とご対面しなきゃいけないかもだし、他の0班員の人達と仲良くしといたほうがいいよな。」
「皆さん動いている時間が長いようで全員揃う事はあまりないようですが、26班の時に四人の方とは御一緒した事があったのが幸いですね。」
二人はこれまでの26班で捜査していく中で、遠藤 美優【吸血鬼】、神山 辰雄【不沈艦】、斎藤 竜胆【ジャパニーズビジネスマン】、椎堂 要【猛禽類】の四人とは縁あって捜査を共にした事があり、0班に異動してきて初対面を果たした0班員は残り二人である。
「確かにそれはよかったな。何か緊張しないですんだよ。班長と昴さんもなかなかに強烈だったよな。」
「ええ。班長は【サイボーグ】で、昴さんは確か【ドライバー】でしたか。これから一緒になる機会もあるでしょうし、昴さんは特技のせいか特に多忙な方だと聞いています。」
二人は休憩を切り上げ、再び訓練室に戻ると強烈な負荷を掛けながら、さらに自らの身体をイジメ抜いていくのであった。
そして事態は急に動き始める。早朝から訓練室に直行していた二人の0班に入って一番最初に渡された無線が同時に鳴り、顔を見合わせる。
「これは鳴ったな。さっきの音は確かメールだっけか?」
「そうですね、駐車場にすぐ迎えとの事です。では行きましょうか。」
二人はすぐに現場へと向かう支度を済ませると、地下にある駐車場へとむかう。
そこには女性の平均を15センチ以上軽く超える高い身長を、着崩した燕尾服で包み、軽くウェーブのかかった長い髪を無造作に一つに結わえて、車に肘を置きながらワイルドな笑みを浮かべている亜蓮 昴が待ち構えているのであった。




