0班
四章プロローグです。まだしばらく続きそうですのでお付き合いして頂ければ嬉しいです。
0班
街中の外れ、郊外と言うほどでもない場所にそのビルは建っている。この建物こそが特殊技能犯罪捜査局、通称特局の本局であり、全人類が一斉に得たとされる特殊技能(特技)を使った犯罪を取り締まる為に作られた施設であった。
その特局では捜査を行う一部隊ごとに、班分けがなされており、現在41班までが編成されている。その局員内から精鋭だけが入ることを許され、特局の創設と同時に出来たのが0班であり、26班から二名が新しく0班へと異動が決まり訓練を受けていた。
現在特局の0班専用訓練室では、訓練と呼ぶには少し異様な光景が繰り広げられている。
ロングコート姿の細いフレームの眼鏡を掛けた細身の色男、0班へと異動してきた一人である高山 久信は栄養バーらしき物で食事をしながら筋力トレーニングを繰り返し、横に立つ七三分けのスーツ姿の中年男性にトレーニングの姿勢をすぐに矯正されていく。
訓練の期間に入ってから永遠と続けられるこの訓練に慣れることはなく、筋肉痛の上に筋肉痛が重ねられ、更に過剰に摂取する栄養を体が拒否するが、久信は表情に出す事無く全てを無言で飲み込み、涼し気な笑みを浮かべるのであった。
かたやもう一方では対照的にアグレッシブな訓練が繰り広げられている。スーツ姿のこれといって特徴の無い顔と体型の男がこれといった特徴の無い悲鳴を上げながらも、煙草片手に逃げ回っていた。この男が異動してきたもう一人、橋中 勇司である。
攻撃を繰り返してくる黒いマントに身を包み、茶色の麦わら帽子をかぶった小柄な少女にしか見えない女の子の拳が避けた床に当たると、振動と共に床がえぐられていく。
しかし拳はなんとか避けたものの、飛んできた破片にまでは気は回らず全身に床の破片を受け、勇司はこの日四回目の医療班へと運ばれていくのであった。
こうして二人の0班に入ってからの、訓練期間に当てられた一ヶ月は命の危機を感じながらも順調に過ぎていく。




