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特技の使い方 〜吸えない煙草〜  作者: cozy
吸えない煙草 第三章 異動
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合成

合成


勇司目掛けて突っ込もうとタイミングを

図る宮原を視界に収めながら、久信は明らかに分が悪いと感じていた。このままいくと確実に勇司は足の一本では済まない状況になると。


しかし顔を傾けて久信を見る勇司の眼が、サングラス越しに何か合図を出すようにパチパチと連続でウィンクを繰り返している。そして何やら少しばかり慌てているようだ。


(あれは本気で焦っていますね。攻撃までに間に合わないという事でしょうか?さっきまでは少しの余裕を見せていたというのに、滑稽を飛び越えて悲哀すら感じますね。)


仕方ないとロングコートの中から残ったスタングレネードを、大げさなフォームで乱雑に投げる。勇司と宮原の間に適当な間隔でばら撒かれたスタングレネードを見ると、急ブレーキを掛けると、宮原は一気に飛び下がり効果範囲外まで距離をとっていく。


スタングレネードの範囲には勇司だけが残り、閃光と爆音が一名を襲う。煙が出てこないように口を手で押さえながら一人苦しみつつも、久信を見ながら首を激しく振っていた。


(これではないと?では何を求めているのでしょう?なかなかに意思疎通の難しい方ですね。またウィンクなどして陽気なお方ですが、もしや視界をなんとかしろという事でしょうか?それも確かめる方法はないですね。仕方ありません、とりあえずそれでいきましょう。)


【視界操作・焦点】


宮原はスタングレネードに少しのトラウマを抱えさせられながらも久信を睨み、更にサングラスを掛けながら必死に口を押さえる勇司を警戒している。

しかしその時には既に、久信によって視界は歪まされているがそれに気付くことは出来ずにいた。


宮原は再び気を取り直すと足に力を込め、低く唸り声を一吠えすると一気にスピードを上げ勇司に突っ込んでくる。

その動きは現状の勇司には対応出来ないスピードであったが、久信を信じその場から動かず体の中で二つの煙を混ぜた紫色の中に銀色の粒子が輝く煙を吐き出す。


【合成煙・麻痺撒菱】


宮原は突進しながらも、少しずつ違和感を感じていく。しかしその違和感の正体に気付いたのは、確実に捉えたと思った爪が空を切ったときであった。

視覚と嗅覚にズレが生じていると気付いた時には、手足に無数の何かが刺さりバランスを崩し、地面に付いた膝にも紫色に輝く撒菱が刺さり膝立ちになると、少しずつ感覚が遠くなっていくことに気付いていた。


さらに勇司は未だ両手に持っていた真銀煙と紫煙を一口ずつ吸い込み、苦い表情を浮かべながらも手元に煙を吐き出していく。


【合成煙・毒刀】


勇司の手には柄から刃まで紫色で統一された刀が握られ、目の前でバランスを崩している宮原の胴体目掛けて横薙に振るう。


突如出現した刀に驚きながらも避けようとするが、宮原は麻痺性の毒物が回り上手く身体が言うことを聞かない。

胸の下に横一線に薄い刀傷が走り、返す刀で袈裟斬りを仕掛けると、刃は毛皮と肉を一気に切り裂く。傷から血が流れ、同時に麻痺性の毒物が流しこまれると、宮原は人型に戻りながら倒れていくのであった。



勇司は毒刀を煙に戻し激しく咳き込んでいるが、久信は警戒を解かず宮原から目を離さない。近付くとついでとばかりにロングコートの中から注射器の付いたダーツを三本取り出し宮原に投げ、その三本が刺さるとようやく表情を少し緩める。


「これでとりあえずは一安心ですね。大丈夫ですか?」


久信の質問にも返答はない。慌てて振り向くと、そこには手を震わせながら座り込む勇司の姿が見えたのであった。




お盆は何かとバタバタですねー。

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