無駄口
無駄口
二人は向かいあいながら少しずつ距離を取ろうとするが、宮原は視線だけでその足を止める。その視線だけで全てを射殺すようであり、顔も上半身裸の体も血に塗れ、勇司と久信はその場から動く事が出来ない。
「いいなー。やっと運が向いてきたか。嗅ぎ覚えのある臭いだとおもったら捕まった時に見た二人か、いいないいな。」
二人は気合いを入れ、なんとか体を呪縛から解き放ち全身を動かす前に口を動かす。
「宮原さんでしたっけ?イノシシを生で食べるのはあんまりよくないですよ。俺だとくだしちゃいます。」
「そうですね。寄生虫などの問題もありますし、後お野菜も途中途中に挟んだほうが身体のためですね。」
無駄口を叩く二人に宮原は手に握っていたイノシシの残骸を口に含み咀嚼すると、飲み込んで唾を吐き出す。
「時間稼ぎか?そうだよな、0班が来るよな。さっきの会話だと少し時間かかるんだろ、それまで遊んでやるよ。」
「聞こえてましたか。狼の聴力を侮っていたわけでもないのですが。少しは抵抗らしい抵抗をさせて頂きますが、少しタイムです。」
手の平を勢い良く宮原に向け、久信と勇司はコソコソと作戦会議に入った。呆気にとられていた宮原は律儀にタイムに従ってしまう。
「どうすんだよ?まともにやっていけるか?」
「無理でしょうね。小さい事からコツコツと地道に地味に攻めよう作戦で行きましょう。勇司さん、前衛は任せます。」
「いいけど掩護頼むぞ。よし、コツコツとだな。それにしてもお前の眼鏡色付きだったっけ?」
「今色を入れたんですよ、目は見られないほうが都合がいいですからね。」
いつの間にか久信の眼鏡のレンズは完全に光を通さないよう色が付けられており、なぜか勇司はそれを見て羨ましがっている。
「それいいなー、渋いなー。俺もたまにはサングラスでも掛けたいとこだな。両目視力が3.0だから眼鏡とは縁遠い生活してるんだよ。」
「ロリコンは小さい物好きだから視力がいいという都市伝説は本当だったのですね。流石です勇司さん。そんなお方にはこれを貸しましょう。いえ、ロリコンが感染りますのでもう差し上げます。」
久信がロングコートからサングラスを取り出すと、勇司に渡し喜び勇んですぐに掛けるが、ティアドロップ型のサングラスが驚くほど似合っているか微妙であった。
「ロリコンじゃないけどありがとう久信っ!それとなく大事にするな。」
「いえいえ、お気になさらず。期待通りのなかなかに素敵な感じですよ。」
二人には次第に焦れてきている宮原の姿が視界に入ってきているが、気にせず続けていく。
「サングラスってなかなかに買う勇気がでないよな。これに似合うショットガンを大至急作ってもらわねば。」
「それには及びませんよ、これをどうぞ。」
久信はさらにロングコートの中からショットガンを取り出し投げ渡す。さらに久信はロングコート内からサブマシンガンを取り出すと、勇司に目配せをした。
「これはなかなかにいいショットガンだよなっ!」
二人はショットガンとサブマシンガンを撃ちながら一気に宮原へと迫っていく。こうして戦いのゴングを勇司達の側から突然鳴らしたのであった。
全然この二人戦わねえな・・・。
次こそ戦うはずです。




