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特技の使い方 〜吸えない煙草〜  作者: cozy
吸えない煙草 第三章 異動
163/390

チョコ

チョコ


翌日26室に全員が揃うと、元が難しい顔をしながら写真を眺めている。そして全員の見える位置に写真を置くと皆が身を乗り出し写真を見た途端、表情がすぐに変わった。


霰と拓実の顔色が明らかに悪くなり、残る三人も険しい表情を浮かべている。

写真には二体の遺体が写っており、明らかに激しく抵抗した跡があり、致命傷であろう喉元の肉がごっそり失われている。そしてその遺体は見覚えのある二人組であった。


「これは昨日の夜発見された遺体の写真だ。見て分かると思うが、本藤兄弟だな。見ての通り他殺だが捜査はまだこれかららしい。しかし容疑者はもう分かっている。元0班の宮原だ。」


勇司と久信は以前見た毛深めの宮原の姿を思い出し、皆は元0班という言葉を聞き、表情を引き締めている。


「宮原というと確か特技は【狼男】でしたね。すると今回も0班が出るわけですか?」


「そうゆう事になるだろうな。しかし見つけるのはなかなかに難しいぞ、何せ相手は狼だからな。宮原を見つけるのまでが今回の捜査だ。」


久信からの質問に元は答え、すぐに捜査開始となる。全員は直ぐ様準備を済ませると、ワンボックスに乗りこんだ。


ハンドルを握る勇司の手には力が入り、表情にも以前見た宮原の姿を思い出し、緊張感で張り詰めた雰囲気を出している。


「勇司君だいじょうぶ?なんか顔がカチンコチンだよ。」


助手席から霰が心配し、身長の問題で上目遣いで見つめてくるが、その顔は未だ青い顔をしている。


(おーっ、顔色悪いけどこう上目遣いってのはこうなんかくるものがあるな。青可愛いってやつか。)


「霰こそ大丈夫か?なかなかに悪い色してるぞ。お互い修行が足りないな。」


霰はカバンをあさりゴソゴソすると、中から銀色に包まれたチョコを二個取り出し、自分の口に一ついれると勇司の口元にも近付けてきた。


「はい、アーン。」


躊躇しながらも口を開けると口内にチョコの風味が広がり、胸の高鳴りと共に普段よりも格段に甘く感じられる。


(甘いな、凄まじく甘いな。これがもしかして噂の恋の味ってやつか?)


「どう?美味しい?」


「これはうまいな。いつまでも口の中が甘さでいっぱいだよ。」


満面の笑みを浮かべ、霰は勇司を見つめている。


「でしょでしょー。これ新発売で甘さ八倍なんだよ。」


勇司が恋の味と感じたのは勘違いだったのであろうか。口一杯に甘い風味を残したままハンドルを握り、ワンボックスは進み始めたのであった。




かなり少ない愛だの恋だのの回です。激しく書きにくい。

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