第83話 ミュージックカルチャー
僕たちは小一時間ほど部屋からその音楽を鑑賞していたが、ヴァルキーが外で聞きたいとのことだったので、夜中に出歩くことにした。そして、宿を出ると昼とは全く雰囲気を醸し出していた。
「おお~~~昼の忙しい感じから全然違ってみんな思い思いの格好してて、なんか持って音楽奏でてるのだ!」
「こんなにストリートミュージックが発展した街だったんだね。それに、ネオンライト…ネオンライト!?この世界ってネオン見つかってるの!?」
「もしかして…またリオの生まれた世界の話か?」
「そう、あそこの店あるでしょ、カラフルな明かりで書かれた文字の看板、あの見た目の看板はネオンって言われて、そのライトをネオンライトって呼んでたんだ。ネオンは空中にある物質の事だよ」
「う~ん…何が何なのだが分からなくなってきたのだ…空中の物質って何なのだ?何もないぞ?」
「そうだね、めっちゃ小さい粒子だから目には見えないんだ」
「リオの世界は不思議なこと調べてるのだな~」
「こっちの世界のトムゾルとかイエローサラマ―、マグマドラゴン、それにヴァルキーだって不思議な存在だよ」
「やっぱり世界が違うと常識も変わるのだな~」
「そうだね~世界が変わったらその都度やっぱり適応しないとな」
「いつかそっちの世界にも行ってみたいのだ!ということはまずは元の世界に変える方法を探す必要がありそうなのだ!」
「そうだな、でもその手掛かりもないから先にこの世界の謎は解いたほうが良いかもね、まあ辛気臭い話はここまでにして、音楽を楽しもう!」
僕たちは再び流れてくる音楽に身をゆだねた。ジャンルは多種多様であり、ロック、ポップス、ジャズなど聞き飽きないような種類があった。しかし、電気はこの世界にないため、どのバンドもエレキギターを使っているところはないようだが、エレキギターに似た音質のギターがこちらの世界にあるようだ。聞き馴染みのある音楽になっていた。ストリートに展開しているバンドの中にはバトル形式のように互いに演奏しあって良かった方にチップを送るといった対決が行われており、その付近は多くの人が集まっており、その熱狂に圧倒されるほどだった。僕たちはその熱狂に入らず、ネオンの看板に導かれて、ディスコに入ることにした。ちなみに、僕はディスコの世代ではないため、これが初めてとなる。
「ディスコって何なのだ?」
「僕も映像でしか見たことないけど、音楽鳴らす人がいてそれに合わせてみんなでお祭り騒ぎして楽しむ場所みたいな感じ」
「ふ~ん、さっきのバンドとは何が違うのだ?」
「踊りメインか音楽メインかだね、バンドは演奏してる人が聞いて欲しい楽曲を自分で演奏してるから音楽を聴くこと重点が置かれてて、こっちは音楽を流すだけで踊るとかそういうことに重点が置かれてる」
「へえ~音楽の聴き方にもいろいろあるのだな~」
そうして話している内に賑やかな音楽と陽気な人々の声が聞こえてきた。僕たちは扉を開けたが、その熱狂ぶりに若干引き気味になってしまった。
「リオ、ディスコってこんなに激しいものなのか…?」
「そうだね、こんなにすごいものだとは思ってなかった、多分お酒飲んでるっていうのもあると思う」
「そういうことか~でもリオは――」
ヴァルキーが何か言いかけようとしたその時だった、急に後ろからガタイの良いお兄さんが僕の肩を思いっきり叩いてきた。
「おお!そこの若いカップルさん!楽しんでるかい?」
僕はいきなりのことで心臓が飛び出すかと錯覚した。
「はっ…はい…」
「なんだ、元気ないじゃないか!さっきまでの元気はどうしたんだよ~」
「あ、すみません、突然のことでちょっと硬直してしまって…」
「ああ~ごめんよお兄ちゃん、こういうお店に兄ちゃんみたいな若いカップルが来るのって珍しいからよ~」
「他の人って来ないんですか?」
「そもそもこの町に来るのは大体俺たちみたいな年の食った冒険者ばっかりなんだ。それで今は何の用でここに来たんだ?」
「オリアンズまで向かう道中で寄った感じです」
「はは~ん、南下か。ちなみにどっからだ?」
「リカーゴからですね」
「随分と長い距離を移動してきてるんだな!しっかり冒険楽しんでるようで俺は感心だ!」
そういうと再び背中を割と強い勢いで叩いてきた。お酒の力もあり気が大きくなっているのだろうが…もしかしたらこれがデフォルトという可能性も…
「ああ、自己紹介を忘れてた、俺はセントルビーで冒険者をやってるリーバルだ!同じ冒険者仲間としてよろしくな!」
「僕はリオって言います!よろしくお願いします!」
「ところで、その兄ちゃんが連れてる小柄な女の子は誰だ?ガールフレンドってやつか?」
「そうなのだ!」
ヴァルキーは待ってましたと言わんばかりに大きな声でリーバルさんに話しかけた。
「この最強のリオと永遠を誓い合ったパートナーなのだ!」
「はっはっは!リオはこの子に相当好かれてるみたいだな!でも、ご機嫌取りはしっかりしておけよ?俺も女房の相手の仕方を間違えるとフル無視されちまうからな…」
「安心してください、ご機嫌取りは自分の機嫌も取れますから」
「その年でもう俺よりも達観してるのか…リオ、その子大事にしろよ!」
「もちろんそのつもりです」
なにせ大勢の命がかかっているのだ、当然遂行する。
「そういえばお嬢ちゃんの方のお名前は?」
「我はヴァルキーなのだ!」
「見た目に似つかない強そうな名前だな!」
「実際我強いぞ?」
「こりゃ~鬼嫁になりそうだ」
「はは…」
あり得ないこともないところが怖いところである。
「よし!今夜は精一杯楽しむぞ~!」
「「おお~~!!!」」
僕たちはリーバルさんに色々教えてもらいながらディスコで遊び倒した。そして、数時間後日付が変わ等というタイミングでヴァルキーの元気がなくなってきて目をこすりだしたので、僕は彼女を連れて宿の方へ戻った。正直僕も動きっぱなしだったので疲れている。部屋に着くなり彼女はベットに横たわりものの数秒で熟睡してしまった。知らない間に無理をさせていたのかもしれない。パートナーとしては失格かもと思った僕であった。僕はしっかり体を清潔にしてからベットに入った。
翌朝、ヴァルキーは物凄い寝相で寝ているのを見かけた。幸いにしてベッドがそこそこ大きかったため、僕の体に当たることはなかったが、夜中に体を動かした衝撃でいろいろなものが吹き飛んでいる。備え付けのちり紙、タオル、僕が掛けていた布団など…そもそも僕が目を覚ましたのはそれによって体が冷えてしまったからである。
「昨日はめっちゃ遊んだもんね~疲れるのも無理はないよ」
僕はそう独り言をつぶやいたが、彼女は熟睡していて反応はしなかった。僕はそのまま身支度を済ませ、一足先に朝食を済ませるため、宿の外で何かを買うことにした。早朝のナビを歩いていると、昨夜までの活気ともお昼ごろの忙しなさとも違う静寂の空間が広がっていた。人もほとんど歩いていなかった。僕はそんな中自分の足音のみを聞きながらお店を探していた。すると、たった1店舗だけ空いている食堂のようなお店を発見した。そのお店に入ってメニューを確認すると、どのメニューも朝食らしい、パンとサラダ、スクランブルエッグのような卵料理やハムなどが並んでいた。もちろん白米は無かった。そして、僕はAセットと書かれたメニューを頼み、静かに朝食を頂いていた。周りには5人ほどこれから仕事らしき人が同じようにご飯を頂いていたが、その中で少し耳を疑うような会話が聞こえてきた。
「おい、聞いたか?インディンの話」
「インディン郊外での噴火の話だろ?なんか赤い放物線上の線が大量に飛び出して周りの家屋を一つ残らず焼き尽くしたとか」
「インディンの噴火はあんまり規模は大きくなかったらしいが…俺たちの町でも起きないか心配だよな」
「前兆現象があったっていう噂らしいがその詳細までは知らないし対策仕様がないな…」
「とりあえずこっちで起こらないことを祈るばかりだな」
インディンで噴火!?僕がインディンを離れてから大きな事件が起きていたのを僕はここで知ったのだった。
どうも、winger86です。いつも本作品をご覧只木ありがとうございます。さて、今回はナビの文化が垣間見れるお話でしたがいかがだったでしょうか?1990年代に流行ったディスコ、近年では全く聞きませんね。その代わりとしてライブハウスがあるのでしょうか?もう少し見分を深める必要がありそうです。ということで次回以降はナビでの冒険やさらに南に向かって冒険していきます。お楽しみに。それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。




