第80話 『山下理鳳』の秘密
8月の毎日投稿もこれで最後になりました!ここまで継続してご覧いただいた読者の皆様には感謝申し上げます。これからはペースが再びゆったりになりますが、これからも応援よろしくお願いします!
僕たちは魚とグランドヴァイゾ、ヴァイゾの体を持ってギルドに向かった。
「これが今回の依頼の物になります。」
「ええ?こんなに早く終えたんですか?マソウ釣り20匹って本当なら〇半日かかるほどにはかからないんですが…」
「いや、餌垂らしてから割とすぐに釣れましたよ?」
「はぁ…ちょっと何言ってるか分からないのですが…あとその2頭同じように見えるんですけど」
「まあ解剖してみれば分かりますよ。それでこのヴァイゾたちはどうしたらいいですか?」
「それでしたら重量がありますのでこちらで受け取らせてもらいますね」
そういうとギルドの職員がバッグヤードに向かい、複数人を連れて運ぶ準備をし始めた。
「それでは、この後こちらでの簡易的な分析が終わり次第ボスティール研究所の方へ輸送します。その後、研究結果に基づき後程報酬を支払わせていただきます。マソウの方は村人の依頼ですのでこの場で報酬を支払わせていただきます。こちらになります。受け取りください。」
僕はマソウの分の金額だけ受け取り、ギルドを後にした。
「終わったのだ~次はどうするのだ?」
「もう夕方だし、クエスト受けたらお腹減ったからご飯にしよ?」
「やったのだ!それでどこのお店に入るのだ?ってあそこしかないのだったな…」
「そうだね、じゃあ向かおうか」
「行くのだ行くのだ!」
実はこの村この街道沿いでも割と拠点的な場所にあるのにも関わらず、ご飯屋が1軒しかないのである。そうして僕たちはその1軒のお店を訪ねた。
「いらっしゃい~2人かい?」
そう言って来て僕たちに対応したのはすでに後期高齢者に入っているであろうおばあさんであった。
「はい、そうです」
「そうかいそうかい、じゃあ好きなところ座りな~いまお冷持ってくるからね~」
腰を痛めているのかかなり前かがみで歩いている。そして数分しないうちにメニューと一緒にお冷を持ってきた。
「はい、これね~何食べるか決まったらわしに声かけてね~」
「分かりました~」
一個一個言ってくれる丁寧なお婆さんである。そして、僕たちはメニューに目を向けた。
「これってあの稲からとれる白米ってやつなのか?」
「そうそう、これだと思うよ。多分あそこで取れたやつ使ってると思うな」
「あとは…この親子丼って何なのだ?」
途中でお婆さんが会話に入ってきた。
「親子丼はね~この近くで飼っているティーケンっていう動物の産む卵とそのお肉を両方使った料理でね、お肉とフォニオっていう野菜をを出汁で少し熱して火が通ってから卵で閉じると出来る料理でとってもおいしいんだよ~どうだい?」
僕はあっちの世界で何度も食べていたため、知っていたがヴァルキーは目を輝かせて食べたそうな表情をしていた。
「リオ!我これにするのだ!」
「いいよ、好きなの食べな」
「ほっほっほ、わしの説明がうまく伝わってよかったわい、今準備するから待ってるんだよ、お兄ちゃんの方はどうするかい親子丼でいいかい?」
「すみません、もうちょっと考えさせてください…」
「急かしちゃって悪かったね~ゆっくり考えていいからね~あんた~!親子丼1つ~!」
お婆さんは厨房にいるらしき旦那さんに注文を伝えた。一瞬僕も親子丼に行きかけたが、このお店なんとメニューの大半が和食なのである。それも、前にブリーデで訪れた日本食料理店よりもずっと数が多い。それは親子丼に始まり、焼き魚、しょうが焼き、唐揚げ、うどん、そば、うな重、天ぷら、おでん。さらにはサイドメニューのようなところにはみそ汁に始まり、豚汁、けんちん汁、茶わん蒸しなど本当に和食ばっかりが並んでいるのである。僕はその中でも特に大好きなうどんチェーン店の食べ方にすることにした。
「おばあちゃん!かけうどんとマソウの天ぷら2つで!」
「はいよ~あんた~かけうどん1つとマソウの天ぷら2つ~!」
その容姿からは想像もできないような威勢のいい声を出して呼びかけている。やはりお店を経営するのはその人に活力をもたらすのだろう。そうして、お冷を飲みながら待つこと20分ほどで親子丼とうどん、天ぷらが出てきた。
「じゃあ早速食べるのだ!」
「…いただきます…」
「今なんて言ったのだ?」
「おやおやお兄ちゃん、ここでのご飯を食べるときの挨拶を知ってるのかい?このあたりでしか聞かないって話だけど」
「僕の住んでいたところはこの挨拶が普通でしたね、久々に自分の身近な料理が出てきたから思わず口に出してしまいました」
「あれ?お兄ちゃんはこのパドゥルス出身かい?」
「いえ、全然違うところ出身です」
「他にも同じ挨拶するところがあるんだね~いつもは不思議がられるのに」
いただきますという言葉はあまりゴルドナでは浸透していないようだが、この辺は本当に日本と近い気がする。
「その言葉ってどういう意味なのだ?」
「僕たちはこういう食べ物を通じて他の命を頂いてるんだ、それに感謝していただきますって言おうっていうのがこの言葉」
「お兄ちゃん、よく知ってるね~その通りだよ~本当にこの村の出身者でないのかい?」
「いや、本当に違いますって」
「そういえば、リオの出身効いてないのだが…」
「それは後で!」
僕は2人に詰められながら注文した料理を食べ進めた。僕たちはあっという間に完食し5ゴールドを支払った。
「ありがとうね~またいつでも来てね~お兄ちゃんはその別嬪さん大切にするんだよ~」
「はい~もちろんです!」
「本当にそう誓うのか~?」
「当然」
「ふふ、やっぱりリオ大好きなのだ!」
お見送りもやってくれてやはり丁寧なお婆さんである。そして、僕たちは探索中に見つけて予約した民泊の方へ移動した。実はここ民泊しかないのだ。そして、一見普通の家に見える場所に到着し、その扉をノックすると、中から女性の声が聞こえてきた。
「は~い、ああいらっしゃい、ようこそ民泊『ライ』へ。さっき予約してくれたリオさんだよね?部屋はこっちだよ」
「本日はありがとうございます」
そうして僕たちは中にいた女将さんらしき人に止まる部屋を案内してもらった。ちなみに、部屋は平屋建てで僕たちはその内の1つの畳を使わせてもらう予定である。まさしく昔ながらの日本の住居である。そうして、部屋まで案内された後は夕食を食べた旨を話し、残りの時間は部屋でゆっくりすることにした。ちなみに――
「私たちは部屋から大きな物音が出ても気にしないので~」
と言っていた。過去にもそういうことが幾度となくあったのを感じ取った。まあさすがに迷惑をかけたくはないので静かに過ごす予定ではある。そうして、僕たちは数時間ほどのんびり喋りながら過ごし、夜になってから二人とも順番に風呂に入った後、僕はついに秘密にしていた転移の話をすることにした。一応、周りの障子を全て開き、人がいないことを確認してから話し始めた。
「まずは、ごめん。今まで隠してて…これから話す内容は他の人にはあまり言わないでね?」
「?分かったのだ!それで今まで秘密にしてたってことって何なのだ?」
「それはね…僕はこの世界の住民じゃないんだ…」
ヴァルキーは一瞬驚いた表情をしたと思ったらすぐに何か腑に落ちた表情をして口を開いた。
「少し驚いたが…なんか今までのリオの強さを考えると当然と言えば当然なのだ、それで元住んでた異世界についてもうちょっと話を聞きたいのだ!」
「もちろん!ちょっと長くなるよ…」
「どんとこいなのだ!」
そうして僕は今までの経緯を全てヴァルキーに説明した。
「なるほど~どうりで我の知らない言葉がたっっくさん出てきたのだな~ということは龍人である我と異世界の人であるリオとの子供ができたら最強になりそうなのだ」
「なんか、そんな気がする、というか子供のことまで考えてたんだ」
「当たり前だろ!我がどんだけ子供欲しいのを我慢しているのか分かってるのか!」
意外な形で彼女の気持ちを知ることとなった。彼女は僕が異世界人でも特に困惑することなく聞いてくれたのが嬉しいと感じた僕なのであった。
どうも、winger86です。いつも本作品をご覧いただきありがとうございます。さて、今回は意外と日本と分化が近いパドゥルス村と転移をのことをヴァルキーに打ち明ける話でしたがいかがだったでしょうか?出会いは21話のヴァルキーですが、なんと60話もの間隠し続けていました。実は私が書き忘れたのもありますが…それはさておき、ヴァルキーはその事実をあっさりと受け入れリオも心の蟠りが取れて嬉しい様子ですね。ということで、次回はパドゥルスを出発し、ついにナビに入っていきます。お楽しみに。そして、今回は記念すべき第80話と、8月夏休み期間の毎日投稿最終日です!ここまでお付き合いいただいた読者の皆様には改めて感謝申し上げます。これからも全身全霊で創作を続けてまいります。最後までよろしくお願いいたします!それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。




