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第76話 帰ってきた平穏な日々

部屋を出た僕たちは自身の荷物を背負いながら、ギルドの受付まで向かったすると、すでに受付の人が数人待っている様子が見られた。


「おはようございます、リオさん!本日セントルビーを出発されるということで私たちから報酬をお渡しします。今までこなしてきたクエスト全てと御礼分が入っています。お納めください。」


そう言われると断るわけにもいかない。そういうことで、僕は受付の人が渡してきたぷっくり膨らんだ封筒を受け取り、さらに冒険で役に立つ回復薬やグッズなどを色々貰った。最後にニオさんから言葉があった。


「この度は、このセントルビーの危機を救ってくれて、さらに復興の手伝いや研究の手伝いなどもこなしてくれて本当に助かった。ありがとう。私個人としてはリオ君たちが言ってしまうのは寂しいけど、止める権利はないからね。次の目的地はナビだったっけ?途中ミヒ川に沿って通るところもあるから気を付けてね。今後のリオ君たちの冒険に幸あることを祈ってるよ。あと、いつでもセントルビーには帰ってきていいからね。じゃあまたいつか!」

「はい!今までありがとうございました!それでは行ってきます!」

「今までありがとうなのだ!でも、もうリオのことは狙うなよ?我の物だぞ…」


そうヴァルキーが言うと周りで口笛を吹く人や歓喜する人がいた。それだけここでは僕たちは公認カップルということなのだろう。そうして、僕たちは約1週間ぶりに冒険に出た。


「セントルビーにかなり長くいたな~この間のリカーゴ?くらい長かったのだ」

「そうだね、ちょっとトラブル尽くしだったし仕方ないよ。それで、次の目的地はナビ。ここから歩いて大体1週間かかるよ」

「ということは、1週間はリオを独占し放題ということなのだな?これで思う存分リオとイチャイチャできるのだ」

「とはいっても、羽目を外しすぎるようなことはできないからね?今は溶岩流の影響でまだモンスターは活発なままだし、そもそも他の冒険者に見られでもしたら…気まずいじゃん」

「まあそれはそうなのだ…まあでもリオにくっついているのは問題ないだろ?」

「今夏で割と暑いから限界来るまでならいいよ」

「やった~!リオ!大好き!」


そういうと彼女は僕の腕に何度目かは分からないが絡みついてぴたっとしてきた。どうやらヴァルキーにとってこの体勢が一番落ち着くんだと。そうして、僕たちはくっついたままナビに向けてひたすらまっすぐ歩いて行った。そして、最初はミヒ川の溶岩流を横目に歩いていたが、途中から道が左に曲がり、ミヒ川は次第に小さくなって見えなくなった。そうして、歩くこと数時間、森林の中を歩いていると案の定目を真っ赤にしたモンスターが5体ほど現れた。このあたりに多いヴァイゾとジムリックである。時間をかけるのも面倒に感じたので僕が斬撃飛ばしで倒そうとしたところ、ヴァルキーがなんと右腕だけをレッドドラゴンに変え、斬撃を複数飛ばし、一撃で片づけてしまった。初めて見た攻撃方法である。


「ヴァルキーさんや」

「なんなのだ?」

「その腕どうした?第2形態の時に似てるけど…」

「第2形態?それが何なのかよく変わらないのだが…こうやって変身を体の一部にして使えることができるようになったのだ!ちなみに、水龍の方は爪が小さいから出来ないけど…あと水龍の方も体の一部を変化させるようになったのだ!」

「今までは出来なかったんだ…意外」


龍人の意外な特徴を知ることになった今日この頃である。そうして、ヴァルキーのファインプレーによりほぼ体力を使うことなく進むことができた。その後もゆっくり冒険を進め、たまに現れる動物を倒しつつ、進み続けた。そうして、夕方に差し掛かったので、これまた久々の野宿をすることにした。野宿はインディンからセントルビーを移動するとき以来である。僕はバッグの中に入っていたテントを取り出し、すぐに組み立て、火を起こす準備を始めた。今までなら僕が剣を擦った時に発生する火花で火を起こしていたが、今回からはヴァルキーの炎の魔法が使えるのでかなり火おこしが楽になる。僕はテントのほとりに焚火を作り、ヴァルキーにお願いした。


「ヴァルキー、これに火の魔法打ってみて?」

「分かったのだ~」


そういうとヴァルキーは赤色の髪に染まり、手から小さいファイアボールのような魔法を出して焚火の木たちに火をつけた。本当に楽である。


「ありがとう、にしても魔法って楽だね~」

「いつももそんなに大変そうにしていなかった気がするのだが…でもこれでリオの手助けできたのなら今回の事もある意味良かったなって思えるのだ!でも頭痛くなるのはちょっと怖いのだ…」

「そうだね、無理くり指令を出されてる感じだったっけ?」

「う~ん、なんか頭の中に声が聞こえてきて、我の石とは裏腹にその掛け声に感じて体が乗っ取られていくって感じなのだ」


それを聞いて僕はとんでもなく気味の悪いことのように思えた。つまり溶岩流には何かしらそういうことを誘発する魔法が仕組まれていたのかもしれない。そうでもしないと今回の出来事全てに説明がつかないのだ。にしても、この仮定が本当なら一体どうしてこんな魔法をその人は作ってミネアスの周辺で発動させたのだろうか?社会の混乱?そんなものが必要な世界とは思えない。だが、そういうことを考える人たちは大体話が分からない人が多い。あまり深くは考えないようにしよう。そうして考え事をしていると


「リオ?どうしたのだ?」

「ん?ああちょっと考え事してた。」

「何考えてたのだ?我の事か~?」

「まあ半分あってて半分違うかな」

「えっ?」


そう返すとヴァルキーは思いの外照れてしまったようだ。これで照れるなんてちょっと心配になるレベルのチョロさである。だが、今回考えていたのは溶岩流に賭けられていた暴走を誘発する魔法。間違いではない…よね?


「それで、ご飯はどうするのだ?」

「途中肉集めてたでしょ?あれ使うよ。さすがにこれまでのご飯と比べると質素になっちゃうけど我慢してね」

「いや、違うのだリオ!リオと一緒に食べるから食べ物はおいしくなるのだ!だから一番の調味料はリオなのだ!」

「ん~?まあ、誉め言葉として受け取っておくよ…」


一緒に食べるとおいしくなるのは事実だが、調味料と言われるのはなんか不思議な感覚である。そんなこんなで、道中で討伐したジムリック1匹を平らげ、僕たちは火を消して就寝した。

 翌朝、テントの中にはいつもと違う匂いが充満していた。今までもヴァルキーと一緒に寝ていたことはあるが、こういう少し甘い、香水のようなにおいを感じたのは初めてである。そして隣で寝ているヴァルキーを見るといつも通りである。そのため、なおのこと不思議に感じる僕である。その後、ヴァルキーも起きてきて、僕たちは昨日の残りの食料を食べ、先へ進んだ。


「リオ~昨日のも今朝食べたのもおいしかったのだ!」

「ヴァイゾもおいしかったけどこっちも意外と臭み無くて歯ごたえもしっかりしてて少しだけあった脂身もジューシーでおいしかった~」

「今日も食べれるか!?」

「そうだな…今日も村に到着しなかったらどこかでジムリックかヴァイゾ狩って食べるかも」

「この先の村ってどういう村なのだ?」

「確かパドゥルスって村らしい。大体歩いて2~3日で着くらしいから早ければ今日到着して遅くとも明日かな」

「分かったのだ!次はどんな村なのか楽しみなのだ~」


そうして、ヴァルキーはパドゥルスに胸を躍らせ、その光景を見守る僕なのであった。

どうも、winger86です。いつも本作品をありがとうございます。さて、今回はセントルビーを出発し、久々の平和な買いとなりましたがいかがだったでしょうか?今回の冒険ではなんとヴァルキーが体の一部だけを変身させて魔法を使うことができるということが判明しました。火を簡単に起こせるのは使い勝手がいいですね。ということで、次回以降はナビまでの途中にある村に寄りながら冒険を進めるお話になります。お楽しみに。それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。

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