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第59話 観戦は計画的に

先ほどのレースが終わってからのご飯探しに失敗して一旦馬車に戻ったところで、騎手の方から今日のことについての話を聞いた。


「にしても、幸か不幸か私には判別できませんが、今日はどうやらあの競馬場ではあのゴルドゥヌスが引退試合だったうえに、年に複数回行われる賞が付く大会の中でももっとの格式の高く、レベルの高いレースだったそうです。ちなみに、あのゴルドゥヌスは毎年ゴルドナ中で行われる競馬レース15戦を毎年12勝以上していた馬です。一昨年からは老いのせいか勝利数は1桁台でしたけどね…しかし、今年引退を表明してからゴルドゥヌスの調子が戻り、これまで14戦14勝と負けなしでした。これはゴルドゥヌスがデビューして2年目に達成した以来です!そして、今日も有終の美を飾る形で優勝したみたいですね。私はすぐにでも出発できる準備を進めていた関係で見れませんでしたね。それで、競馬は楽しめましたか?」

「もちろんなのだ!!!あの8番ゼッケンの馬、追い付かれてからの伸びがすごくて感動しちゃったのだ!」

「あまり競馬知らない人でも盛り上がれるんですね、というのが感想です。面白かったです!」

「それならよかった、じゃあもう少しゆっくりしていたい気持ちもあると思いますが、出発しましょう。実は、この情報をこっちに到着してから把握しまして、早急に馬の交換と馬車の整備を終えました。いつでも出発できます。」

「急いで出発する理由はやっぱり交通渋滞…?」

「ご名答です、今日のレースは普段からレースが終わると街道が大混雑するのですが、今日は通常の観客席が埋まる以外の会場外にも人が溢れかえってたことからもいつも以上に渋滞が見込まれます。もし、出発するタイミングを逃すとセントルビーに到達するのは1週間遅くなります。」


それを考えるとどんだけひどい混雑なんだ?僕はぞっとした。


「よし、じゃあ出発しましょう。いいよね?ヴァルキー?」

「そんなに遅くなるなら我も反対しないのだ!」


と快く承諾してくれた。ということで、ご飯もお風呂も入っていないが、足早にインディンを後にすることにした。そして、セントルビー方面の町の出入り口を見ると…すでに大量の人でごった返しており、各々が自分たちの目的地に向けてく動こうとする関係で、至る所で立ち往生が発生していた。遅かったか…


「これどうするのだ!?人と馬車で道が塞がってるのだ!」

「どうしたものかな~」

「ここは辛抱強く待ちましょう、まだ渋滞の始まりですからそんなに抜けるのに時間はかかりませんよ」


さすが現地の騎手の人である。そういうのもしっかり把握しているみたいだ。それを信じて馬車の中で待機していると、横から交通整理の人達が現れ、見る見るうちに渋滞が解消し、数十分の内に渋滞を抜けることができた。しかし、いぜんとしてセントルビーの方角に向かう馬車の台数は多いままである。


「なんか普段より周りの人の数が多い気がするのだ、まあでも我たちにはあまり関係のないことだと思うのだ」

「この馬車の欠点って知ってる?外に音が漏れるということはつまり外からの音も聞こえるということだ!つまり周りの話声が大きいとうるさくなる!」

「ええ~それは嫌なのだ…どうにかならないものなのか?」


2人して頭を悩ませていると、その様子に気が付いた騎手の人がこちらに話しかけてきた。


「この馬車ですが、内から外に対する音はまあある程度聞こえるのですが、実は逆は聞こえないように作られているんですよ」


というと、騎手さんが会話する窓を閉じてから話しかけてきた。すると、全く声が聞こえなくなったのだ。そして再び窓を開け――


「この馬車は中の居住性を重視した設計になっているので、外側から内側への音の遮音性は高いんですよ。しかし、今回試験走行をしてその逆はそこまで高くないことが分かりました。今回はこのようなお粗末なものになってしまい申し訳ございません…また乗車されることがありましたらその時は改良して中で何されていても気付かないような設計にいたします」

「いえいえ、僕たちでそういう検査を行っていただけるのは光栄ですからお気になさらず…とりあえず、遮音性が確保できているなら今回は上出来だと思いますよ。ここまで乗って来ててもかなり快適ですし、設計時に気付かないのは起きることですから仕方ありません。ここからどんどん改良して良いものにしていきましょう!」


そうフォローを入れると、騎手の方は涙を流した。どうやらこの人も設計に携わったらしい様子だ。


「お気遣いありがとうございます…!我々一同精進してまいりますので今後ともよろしくお願いします!」

「我もまた乗りたいのだ!あとは…やっぱりもっとリオと心置きなくイチャイチャできるようになれば…」


などど自分で言っておきながら顔を赤くして照れるヴァルキーであった。ちょうどその時、久々に自分のお腹が鳴り響いた。すると――


「先日頂いた食料はベッドの下にありますその倉庫に置いてあります。一応管理には気を使っていますが、万が一のこともあると思うので何かありましたらお申し付けください」


と言われ、僕たちの寝るセミダブルベッドの下を見ると、何やら蓋があり、そこを開くとふわっと冷たい空気と同時に中から果物、野菜、肉類などが現れた。あれ?肉なんてもらったっけ?ちなみに、ここまでの食事はいつも休憩したときに別の倉庫から取り出した食事をいただいていた。もちろん保存食である。それなのに、あっちの世界の冷蔵技術までここに組み込まれているとは…少しこの冷蔵記述に関して疑問が湧いたので質問してみることにした。


「この倉庫を冷やしているものって何ですか?」

「これはですね、リカーゴのさらに北、モーレン地方で取れる鉱石『ブリゼンド石』を使用しています。この鉱石は、モーレンの厳しい寒さを吸収した結果、常に外側に冷気を発するようになった珍しい石です。この大きさの倉庫ですと代替5つで事足ります。ちなみに、ブリゼンド石の寿命は大体300年ほどとされています。驚くべきことに、寿命が尽きる前に再びモーレン地方で寒さを吸収させると、寿命が復活します。大体1日で50年ほど回復すると言われています。しかし、もし寿命が尽きた後に持っていくと再びブリゼンド石になるには10万年ほどかかると言われています。なので採掘制限が設けられている貴重な石です。」


そんな魔法みたいな意志あるのか、是非ともあちらの世界にも持って行ってやりたい、冷たいところならいくらでもあるし。ということで、そんなゴルドナの不思議を一つ聞いてから僕たちは倉庫からいくつか食べ物を取り出していただくことにした。取り出したのは、まさしくジーンズのような真っ青のリンゴらしき果実と、まだ熟していなさそうな緑色をしたオレンジっぽい果実である。どうしてこんな配色に進化したんだよ…ということで、僕はまずこのリンゴモドキみたいなやつにかじりついた。すると、味はメロンに近く、上品な甘みがあった。ただ違う点は、メロン特有の後味や臭みがあまりないことだ。よくスーパーで販売されているメロンジュースがそれに近いと思われる。そして、ヴァルキーはもう一つの未完熟オレンジをかじりついた。


「んん~!この果実おいしいのだ!めっちゃ甘いのだ!これならいくらでも食べられそうな感じがするのだ!」


というようにヴァルキーが絶賛するので僕も一口頂いた。すると、こちらの果実は糖度が高いイチゴの味がした。以前食べたグランプリ受賞のあのイチゴに近い。しかし、これらの果実がおいしいのは分かるが、なぜこの二つの果実は人間があまりおいしいと感じ内容な配色に進化してしまったのだろう。それが謎として残る食事であった。

どうも、winger86です。いつも本作品をありがとうございます。さて、今回はインディンから帰宅する人たちの渋滞に巻き込まれることがメインの話でしたがいかがだったでしょうか?今回はその甲斐あってか、今まで知られざる性能や機能、さらにはゴルドナの謎まで少し露呈する形となりました。皆さんは作中の文字通り青りんごや青オレンジ食べてみたいですか?次回は、ついにセントルビーの足音が近づいてくるお話となります。お楽しみに。それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。

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