第57話 競争の町――インディン
一昨日は、無断で投稿をお休みしてしまい申し訳ございませんでした。お詫びとして投稿数を増やす日を設けてます。その日程に関しては後日再びこちらに書かせてもらうとともに、活動報告にも記載します。
よろしくお願いいたします。
「それは…お、ちょうど現れましたね。馬ですよ、それも競馬で使われる競走馬」
と言って指をさした方向には、大きな馬小屋が建っていた。見渡す限りの緑にポツンと現れたのである。頭数はざっと50頭、あっちの世界と同じ、サラブレッドのような隆々たる筋肉がついた馬たちが飼われていた。
「あの牧場はこのインディンで最も格式の高い競馬を走る馬を育てる名牧場なんですよ。他の牧場は通常の牧草がメインですが、ここはオーナーが自身で畑を持っているんので、栄養価の高いニンジンを自身で仕入れて育てられるのでここの馬はとても速いですよ。まあ、各言う私は競馬で賭けたことはありませんが」
「それなら、他のオーナーはここのニンジンを購入したり、また自分で作ったりはしないんですかね?」
「それがこの牧場が銘牧場と言われる所以なんですよ。実は、インディンの北部であるこのあたりは、周りに比べて特に土壌が柔らかいんですよ。そのため、ニンジンが育ちやすいのが特徴です。」
「じゃあ他のオーナーもこの土地の近くに作物を育てれば…」
「実はこのやわらかい土壌は本当にこのあたりにしかなく、少し離れると岩盤が近い土壌になります。このオーナーはこのことを把握していたので、その柔らかい土壌の範囲を全て自身の農場にしたという噂もあります。」
「結構戦略的なオーナーなんですね」
「ちなみに、競走馬の有名な場所はここの他にもあと2つありますよ」
「騎手さん、かけたことない割には結構詳しいんですね…」
「まあ私も馬は好きですから。たまに、観戦がてら見に行くときがあるんですよね。賭けずに見に行くだけでも面白いですので、到着したら散策されてはどうですか?インディンでは私の休息と馬の交代があるので少し長く停車しますよ」
「なるほど、じゃあちょっと見ていこうかと思います。」
僕は、こっちの世界に移動する前は19歳だったので馬券を法律で買えなかった。そういう経緯もあり、若干競馬というもの自体に抵抗感があった。ということで、今回は競馬に対する印象を少しでも変えるべく、競馬場に初めて足を運ぶことにした。そうこうしている間にヴァルキーが目を覚ました。
「んんっ…おはようなのだ~リオ今どこなのだ?」
ヴァルキーには先ほどの話を大雑把に説明して、これから何をするかを把握してもらった。
「なるほど~リオ達ってそういう競争とか結構やるイメージあるのだ。昔洞窟に潜る前もいろんな動物を競争させていたのを空から見たことがあるのだ、当時は一体何をしているのかが全く理解できなかったけど…それでもリオが興味があるというなら我も一緒についていくのだ!」
ヴァルキーは賛成のようだ。なら、インディンに着いたら競馬場に向かうことにしよう。僕たちは話し合いの後、ただ馬車の中でゆっくりして過ごした。そしてついにインディンの町にたどり着いた。
「おお~ここがインディンなのか~今までいろんな街を見てきたが、他の町と違うのは動物が多いのだ、あとなんだか細長いオレンジの物がたっくさん売られているのだ!」
「あれが、さっきいったニンジンだよ、品種にもよるけど甘いやつもある野菜だよ、僕は結構好き」
「へえ~ちょっと食べてみたいのだ」
「よし、ちょっと買って食べてみよう、まずは生で」
ということで、売店でニンジンのバラを2本買い、二人でかじりついた。というか、今更ながらこっちの世界にあっちの世界と共通する作物がオリーブ以外にもあるとは思ってもみなかった。そして、初めてのニンジンに対するヴァルキーの反応はというと
「んん~~!!!これめっちゃ甘くておいしいのだ!もしかしてさっきリオが言ってた馬たちってこのニンジンをたくさん食べて育っているのか!?羨ましいのだ~我も飼ってもらおうかな?リオに」
「あ、そこは僕なんだ…飼わないよ、一緒に冒険するんでしょ?」
「あ、そうだったのだ、飼われると一緒に冒険できないのだ…やっぱり今の生活のままがいいのだ!」
今の生活は正直あっちの世界でもお金持ちの人しかできないような生活であり、それを僕は自覚している。だって、当たり前のように外食だよ?
「実はニンジンは色んな料理にも使えて、万能な野菜なんだよね」
「え?リオって料理できたのか?ちょっと意外なのだ〜」
「僕結構料理する方だよ、今はキッチンないからやってないだけで」
「いつかリオの料理食べてみたいのだ!それもここのニンジン使ったやつ!」
「この冒険終わったら振る舞うよ」
「それいつまで待てばいいやつなのだ!?」
ヴァルキーに料理を振る舞うのはずっと先のことになりそうだ…それはさておき、次に僕たちは競馬場を探しに行った。それはすぐに見つかった。なぜなら、その建物はあまりに巨大なものだったからである。
「リオ…競馬場ってこんなに大きな場所だったのか?初めて知ったのだ…」
「いや、僕もこんなに大きいのは初めてみた…」
その大きさは、レイクタウンを想像してもらえれば分かりやすいと僕は思う。外周がそのくらいあり、観客が座れるところが大きいように見える。僕たちは巨大な競馬場に期待を寄せて中に進んでいくことにした。周りの人を見てみると、様々な人がいた。独身のみるからにこの競馬に命を賭けていると言わんばかりの雰囲気を醸し出した男性、シワひとつない高級な繊維で作られた服を見に待とう初老くらいの男性と女性、歴戦の勇者たる威厳すら感じる高齢の男性、そして家族連れまでもがこの競馬場に足を運んでいた。それだけ、この町では"競馬"が浸透しているということだろう。
「リオ〜もしかして競馬ってみんなで観戦するような競技なのか?それなら我ももっと早く見始めた方が良かったのかと思うのだが…」
「ん〜…いやこんなにたくさんの人が来るスポーツじゃなかったはずなんだけど…」
僕の記憶では、あっちの世界でも馬女という言葉が生まれ、女性の間でも馬ブームが起きたり、昔や今の馬たちを女性化し、その女性に尻尾と耳を生やしたキャラを育成するゲームとかあったけど…ってこの話はまだヴァルキーに出来ないや。
「なるほど〜なら、ここの競馬は面白いってことなのか?早く見に行きたいのだ!!」
「僕も気になるし早く行こうか」
僕は小走りになるヴァルキーに引っ張られながら競馬場の中に入って行った。そして中に入ると驚きの光景が広がっていた。
「ええええええ〜〜〜〜!!!???なんなのだ、この大きさは!」
外から見ても大きかったが、中に入るとその大きさをよく感じる。外側の観覧席は競馬場の全周を覆っており、高さは最大で40mはありそうな見た目である。まあ、競馬場の相場は知らないけどね。そしてもっと驚くべきは、その競馬場のコースである。なんとコースの端から端まで見えないのである。ちなみに、最大のコースの内側に短いコースまで設けられている。
「いや、デカ過ぎでしょというかこんなに観客席いる?」
「我たちはどこに行くのだ?下か?上か?」
「僕こういう時どこ行くべきなのか知らないんだよな…」
「なら、我上の方に行きたいのだ!最近は空を飛んでなかったし、久々に高さを感じたいのだ!」
「そうしよっか」
ということで、おそらくメインストレートらしき場所の1番上に向かおうとした。しかし、その場所はすでに多くの人で賑わっており、その場所を取ることができなかった。そこで僕たちはそこから少し下に行った場所に座ることにした。そして、次のレースが始まるのを待っていたが、一向に始まらないどころか、僕たちの隣も前も後ろも全ての席が埋まり、見渡す限り観客でごった返していた。僕はこの人の多さに圧倒されるのであった。
どうも、winger86です。いつも本作品をご覧いただきありがとうございます。さて、今回はインディンの有名なものについてのお話でしたがいかがだったでしょうか?次回はこのインディンにある超巨大競馬場のレースについてのお話が続きます。お楽しみに。それではまた次のエピソードでお会いしましょう。




