第56話 抗争と競争
僕は、結局どうするかが決められなかったので、一旦一発目の攻撃をかわすことにした。この間のイエローサラマ―やマグマドラゴンに比べたら全然遅いのでかなり避けやすかった。すると、チンピラはその突進と殴り下ろしの勢いが収まらず、転んでしまった。一体惨めなのどっちなんだ?
「なっ…!この俺の攻撃を避けて恥をかかせるなんて…いい度胸してるじゃねえか!!!」
正体を知っているならいい度胸しているのはあなたの方ですよ、チンピラさん。そして外野の方も
「攻撃を避けるなんてダッサ~そんなやつやっちゃってくださいよボス!」
「そうだそうだ!冒険者なら攻撃ぐらい正面受けやがれ!」
いや、冒険者は普通避けるでしょ…こんな外野の声を耳に聞き入れず、起き上がったチンピラのボスと対峙した。
「次こそはしっかり受け止めろぉぉ!!」
僕はこのボスとやらの殴りの威力を確かめるべく、一回だけ合わせることにした。すると
「な、なに?俺の一撃を片手で受け止めただと…?ふざけるな!」
「正面から受けろって言われたから言うとおりにしただけですよ…どんな威力かなんてこっちは知ったこっちゃないですからね…」
「へっ、これで降参すると思ったか?当然、勝つためなら手段を択ばないのが俺たちだ!野郎ども!こいつをぶちのめせ!」
「「おう!!!」」
これは悪い集団の常套手段である。まあこの程度なら予想は出来た。相手は大体10~20人程度なので複数人まとめて片づけることにした。まず最初に5人がなんと武器までもってこちらに走りこんできた。跡形もなく攻撃するつもりなのだろう。相手は1方向に固まっていたので、それを利用して長いこん棒のようなものを持っていた一人の足元に一気に駆け寄り、片足を引っ掛けて転ばせ、その棒がうまいこと他のやつの足元に来るようにした。その目論見は成功し、5人全員が転ぶこととなった。
「「うわあぁぁ!!!」」
「「どわぁぁ!!!」」
「あ、痛え!」
次に、別の方向から短剣から中くらいの剣を持った4人がこちらに向かってきた。不気味な笑みを浮かべていたので、何かあると思い刀身をよく見ると、液体が塗られている。神経毒の何かだろうと察した僕は後ろを振り返り、また別の4人組を突進で追い払うついでに距離を取って、ハイドさんからもらった剣を取り出して上級の斬撃飛ばしをした。前回の使用時よりも下限を調整し、建物や人が切れず、人だけ吹き飛ぶ程度にして飛ばした。あっという間に毒剣士たちも吹き飛び、さらにその後ろにいたチンピラたちにもあたって結局7人ほどを飛ばすことに成功した。そして、運悪くその剣士チンピラやそれ以外のチンピラたちに毒が当たってしまい、痺れている様子が見られた。自業自得である。これで大体残りは半分程度になった。僕はここで剣をしまい、残りの子分チンピラたちは素手で片づけた。
「なに?俺たちの全員の手を以てしてもお前ひとりに勝てないとは…クソッ!!!」
「いや、本当に僕のこと知らないんですか?」
「リカーゴでヒーロー気取りをしていた間抜け」
「ええ…?僕デントロンで未踏の入り口の初潜入と踏破、ウォンタリー湖で行けの主との対峙、ニュークで指名手配未遂などなど…色々場数踏んでるつもりなんですが…」
などと話していると、僕たちの泊まっている宿の方から爆発音が聞こえた。なんか嫌な予感…などと思っていると、案の定その方面から鮮やかなシアンの色をした水龍が現れていた。
「もしかして…あの女の子に手を出しましたか?彼女には僕より手を出さないほうが良いと思いますよ…」
僕はこのように伝えたが、時すでに遅し。このボスチンピラは水龍が空に飛ばしていた2人を見て愕然としていた。その後
「ハイすみません…もうしません。略奪行為も殺人行為も…」
僕はヴァルキーの人たちやギルドの職員を複数人呼んで一人一人縄で縛ってもらい、全員に反省を促すべく、説教をしていた。宿で奇襲を食らったヴァルキーはカンカンである。
「こいつら、我の眠っているところに外から物投げ込んできやがって…我体中ガラスまみれになったのだ!もう起こった我は容赦なくその2人はぼっこぼこにしてやったのだ!」
「やりすぎだよ…本当に気を失わせる程度でよかったのに…まあ気持ちは分からんでもないけどね」
「にしても、このクロトス率いる犯罪集団を一斉検挙できて助かりました、報酬は後程ギルドにてお支払いいたします。」
このボスはクロトスというらしい。ちなみに、このチンピラ集団はヴァルキーが直接手を下した2人意外は命に別状はなく、その2人はヴァルキーがブチギレて空に向けて放ったビームが致命傷となり命を落としたとのこと。困った話である。
「一応お聞きしますが、この亡くなったお二人は良かったのですか?一応命は保証してほいたほうがよかったのではと思うのですが」
「この人たちはそれぞれが10人以上の冒険者や商人、村人たちを無差別に殺しています。この後リカーゴの裁判所に送られると思いますが全員の極刑は免れないでしょう」
こっちの世界にも司法があり、裁判所も機能していることを初めて知った僕であった。今日はギルドの人からの状況説明や様々な処理が重なりかなり寝る時間が遅くなってしまった。
翌朝、僕たちは眠い目をこすりながら停車場まで向かった。
「おや、昨夜は眠れなかったようですね。昨夜はなにか犯罪集団の騒動があったそうですが…なにか関係でも?」
「あ、あはは…まあ、はい…」
「了解しました。それでは、もうじき出発しますが、道中は寝ていて構いません。インディンに近づいたら起こしますのでゆっくりお休みください。」
「我もう眠いのだ~はやく乗り込みたいのだ~」
「分かった分かった、それじゃあこの先もよろしくお願いします、騎手さん」
「承知しました。それではごゆっくり。」
こうして、僕たち二人は馬車に乗り込み、そのすぐ後に馬車は出発した。僕たちは疲れが取れていない影響か、馬車に乗って町を出る前には夢の世界へと旅に出ていた。
その後、太陽がお昼を回ったころ、僕は目を覚ました。あたりを見回すとすでに町を抜けており、この世界では初めての大規模農地が広がっていた。作物までは分からないが、見渡す限り青々としており、久々に原風景を感じることができた。
「こっちの世界にもこういう農業の土地ってあるんだな、そりゃそうか」
すると、こちらに気が付いた騎手の方が話しかけてきた。
「お目覚めになられたようですね、おはようございます。今はラファを離れてから4時間ほど経ちました。」
「ということは、そのくらい寝てたんですね。僕」
「もうちょっと寝ていただいても結構でしたよ?まだあと3時間ほどかかりますし、このインディンで大量に収穫されているこの作物の畑はインディンの中心街近くまで続きます。かなり特徴はない区間ですので、もう少しお休みになって結構ですよ」
「なるほど、でも僕はこういうのどかな風景見ているのが好きなのでとりあえずヴァルキーが自然に目が覚めるまで待ちます。」
そうして、僕はじっくり外の景色を眺めた。そして、1時間ほどが経ち、畑の作物が変化した。そのタイミングで騎手の方が再び話しかけてきた。
「作物が変化したのにお気づきでしょうか?こちらはインディンの有名作物の一つ、ニンジンです。このニンジンがゴルドナで最も有名な協議にたくさん使われるのですよ。」
「それって一体?」
「それは…お、ちょうど現れましたね。馬ですそれも競馬で使われる競走馬」
実は、インディンは競馬で有名な場所であることをこの後僕は知ることになる。
どうもwinger86です。いつも本作品をお読みいただきありがとうございます。さて、今回はチンピラ集団との抗争を終え、ついにインディンに到達するお話でしたがいかがだったでしょうか?筆者はそこまで喧嘩をしたり競馬を知っていたりするわけではありませんが、いろいろ勉強をして執筆していくつもりです。次回は、インディンに本格的に乗り込んでいきます。お楽しみに。それでは、次のエピソードでお会いしましょう。




