第49話 2つのスキルを持つことの意味
ついに、リカーゴの馬車乗り場に着いたが、なんだか乗り場にいる騎手の様子がおかしい。なんだかざわざわしていたので、耳を傾けていると――
「なあ、聞いたか?セントルビー方面の道通行止めだってよ」
「ああ、聞いたぞ、何でも強力なモンスターが現れたとかなんとか」
「そうそう、今ギルドの方で討伐隊を組んでいるみたいだが、それもいつ討伐されることやら…」
「噂によると、討伐隊の方も実力者不足で困っているとかなんとかで、編成にも手間がかかっているらしいぞ」
「俺たちの商売ダメになるかもな」
「せっかく滅多にない冒険者の役目なんだ、討伐隊にはさっさと討伐して欲しいな」
「同感だ」
というように、どうやら僕たちの目的地の方向に強力なモンスターが現れたようだ。まさかの足止めである。
「リオ、やっぱり使う機会ないとか言うから機会からこちらにやってきたのだ…」
「ごめんよ、ん?僕たちこれ討伐に行く流れ?」
「当然なのだ!これから早速ギルドに向かうのだ!」
「ですよね~」
こういう時、真っ先に討伐に向かおうとするのは通常人助けのためのための場合が多いが、ヴァルキーは違う。ただ強敵と戦いたいだけである。結局、僕はヴァルキーに力強く引っ張られ、ギルドに向かった。
「頼も~!セントルビーの方向に強いやつがいると聞いてやってきたのだー!!!」
「ちょっと!いきなりそれはないでしょ…?」
「冒険者の方ですか!?ちょうどいいところに!今、リカーゴの南5kmほど行ったところにイエローサラマーが現れて街道が火の海になっているんです!このまま暴れ続ければ火の手がリカーゴにも迫ってくるかと…」
「今の討伐隊の人数はどのくらいですか?」
「昨夜向かった人たちで10人ほどですが、皮が硬い上に、攻撃も強烈で苦戦を強いらえているみたいです…一応ニュークの冒険者協会本部に連絡をして、トップの実力を誇るパーティーに要請をかけていただいているのですが、どのパーティーメンバーも到着までに一月はかかるようで…」
「それなら、我たちが行くのだ!いいでしょ、リオ?」
「そうだね、少しでも力になれるんだったら行きますよ。向かっても大丈夫ですか?こういってもなんですが、僕たち2人なので、ちょっと人数が少ないかと」
「少しでもお力添えを頂けるならこちらとしてはとても助かります!ありがとうございます!もちろん、今回の依頼は難易度が相当高いものなので、それ相応の報酬はお支払いいたします。こちら側からは物資の支援しか行えません。それでもよろしければ冒険者証をご提示お願いいたします。」
こうして、僕は冒険者証を見せ、イエローサラマーの緊急討伐依頼を引き受けた。ちなみに、今回はヴァルキーの冒険者証は見せなかった。もし、見せると他の冒険者の取り分が減ってしまうからである。そしてもろもろの手続きを済ませ、僕たちはイエローサラマーのいる草原まで向かうことにした。とはいっても、リカーゴは大都市、町の外に出るのでさえ時間がかかる。ということで、自分たちで物資をそろえながら向かうことにした。
「リオ、こんなにゆっくりしていていいのか?他の冒険者はもうすでに戦っているのだ」
「僕も急ぎたい気持ちはあるんだけどね…冒険者10人で押されてるってことはマグマドラゴンとかの比にならない可能性があるってことだよね、だからなるべく準備はしておきたいんだよね。あと、今戦っている冒険者はもしかしたら回復薬とか足りなくなってるかもしれないから僕たちが持っていく。それで、最も大きな理由はそのモンスターの名前かな」
「モンスターの名前?イエローサラマーって名前だから黄色いモンスターってことなのか?」
「それは多分合ってるんだけど、イエローって体が黄色い以外にも意味を持つ時があるんだよ」
「それは?」
「大きく分けて2パターン、一つは土属性の魔法を使うということ。このタイプなら地形を合っちゃこっちゃにされて大変なことになるから、今回の被害的にそぐわないんじゃないかな?もう一つは雷属性の魔法を使うということ」
「…!?それって…我がめっちゃ相性悪いってことなのか…?ウォンタリー湖に住んでた頃は雷なってた時ずっとあの遺跡にこもってたのだ、親から雷には打たれるなって口酸っぱく言われてたから…」
「そう、雷属性ってヴァルキーの水属性と相性最悪取っても過言じゃないんだ。なにせ、ヴァルキーが1回でも電撃食らったら多分大ダメージで命の危機に瀕する可能性だってあるから。雷は水だと通りやすいんだよね」
「だから、雷には打たれるなって言われたいたのか~やっと合点が行ったのだ!もしかして…我のために…?」
「んん、まあそうともとれるかな」
「…!!!!あ~やばい、ドキドキしてきたのだ~!リオ大好き!」
「意図を理解してくれたのならいいよ…ちょっと力強い…潰れちゃう!」
「ああ、ごめんなのだ、ちょっと最近ふとした瞬間に抑えきれなくなってきちゃってるのだ。でも、なんで水が雷に弱いって知ってるのだ?今の時代には魔法に関する知識はないはず…やっぱり何か隠しているのだ、リオ」
「ちょっともう隠しきれないね、この戦い終わったら全部話すよ、約束する」
「絶対なのだ!何回ものらりくらりと躱されてさすがにもう限界なのだ!それを聞くためにも二人で生き残ってやつを倒すのだ!」
「そうだね、一緒に頑張ろう!」
ついに僕の転移に関する話を始めるときが来たようだ。だが、これを受け入れてもらえるかは少し不安が残る。しかし、これもより深い信頼関係を築く上でも重要なことだろうから覚悟を決めて全部正直に話そう。それはさておき、僕が今回購入したのはブリデール草製の回復薬20本、全部他の冒険者用である。そして、僕たち用のマリースの花の回復薬を3本用意した。ちなみに、ブリデール草で足りなくなった場合はこれを分ける予定。街で買い物を済ませ、街中を歩いていると、先ほどの手続きの話になった。
「そういえばリオ、さっきギルドの受付の人なんか驚いてたのだが、何があったのだ?」
「あれはね、高難易度ということである程度の実力が必要な依頼だったじゃん?あの影響で持っているスキルの物まで見られて、そしたら上級のフ流とク守の両方を持ってたからめっちゃ驚かれたんだよね、『そもそも、上級のフ流を持っているだけでもかなり珍しいのに、ク守まで持っているなんて、ちょっと信じられません!』ってね」
「リオなら当然だとは思うがやっぱり二つ持つっていうのは他の人にとって見ればそれだけ価値のあることだってのが分かったのだ、リオもそれは自覚したうえで行動したほうが良いと思うのだ。なにせ、その驚きがあった後周りにいた人たちはみんなリオのこと見てたし、まあ大半が男だったから安心したのだ…いや、男性もありえなくないのだ…我の一族にもオス同士で婚約するということもまれにあったし…」
「そういうところ結構寛容だったんだね、水龍の一族って。まあそのことに関して深くは言及しないけど…まあとにかく、これからは注目されることが多くなるから気を付けてねってことだね?」
「特に”女”には気を付けるのだ、強いとモテるから心配なのだ」
「まあ、それに関しては上級を習得してここまででなんとなく自覚してる。とはいっても、大変なことをこなすにはこのスキルを隠すってことは難しいし、まあ何でもかんでも首を突っ込まなきゃいいのかなるほど」
「なんか…自己完結してるけどとりあえず気を付けてほしいのだ!」
そういえば、上級のフ流を持っているだけでこんなに女性が集まってくるならハイドさんはどうしていたのだろう?今でも僕よりは強いから僕よりもモテたはずだ。今度フィランデルに向かったときにでも聞いてみることにしよう。このような形で、改めてスキルを2つもつことの意味を実感する僕であった。
どうもwinger86です。いつも読んでいただきありがとうございます。さて、今回はまたしてもトラブルに巻き込まれ、その中でスキルの複数持つということを実感する回でしたがいかがだったでしょうか?理鳳はまたしてもフラグを建築し、しっかりと回収してしまいましたね。やはり言葉には気を付ける必要がありそうです。次回はついにイエローサラマ―と対峙します。お楽しみに。それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。




