第48話 そんなにすぐに使うとは限らない
どうして『リカーゴ』に向かうのかは、数日前の寮に遡る。
「もうそろそろ訓練終わりそうな感じ。なんとなく、試験の準備が進められているような気がするんだよね」
「ということはやっとまたヴァルキーと冒険に行けるのか!?やったなのだーー!!!!さっさと合格して冒険するのだ!」
「これからは僕の連れている動物というくくりじゃなくてパーティーメンバーになるからね、とはいっても何か変わると言われたら…収入が等分されるってことかな」
「なんかリオの給料もらったみたいなのだ…それでリオは構わないのか?」
「僕は別に構わないけど…一応、僕はもともとからそっちが水龍であることは申告してるから、どっちでもたぶんできるんだと思う。だからヴァルキーが冒険者証出さなければそういうことにはならないかな、でもちゃんとヴァルキーも報酬貰って自分のために使って欲しいかも」
「へえ~そんなに我のプレゼントが欲しいのか?なんだ~言ってくれればいつでも上げるのに~まああげるものは”我”だけどな!」
「ああ、遠慮しておきます。それはさておき」
「あー!!!!!我の麗しいボディーをそれはさておきで片づけおったな!我は心外なのだ…」
「ごめんね、いや~コトワッチャウナンテボクモモッタイナイコトシナタ~」
「あ゛ん゛?」
「本当にごめんなさい反省してます、いつかいただきますのでご勘弁を…」
「言質取ったのだ!リオ!二言はダメなのだ…あと、他の女に手を出したら…」
「それは、僕あなたの彼女ではないので無理っすね、はい」
「ちょっと我の圧に動じなくなりつつあるのは許せないのだ」
「ごめん、そろそろ話し戻すね。それで、次の目的地が決まってないんだよね。ほら、僕が前に教えてもらった遺跡の場所もうすべて行っちゃったからね~どうしよか考えているところ」
「それなら、我が聞いておいたのだ!前々からリオと冒険したいところは考えてて、それでギルドの人に聞いたのだ。で、帰ってきた答えが…リカード?あ、リカーゴだリカーゴ、ってところにまず入ったほうが良いということらしいのだ、そこから『セントルビー』?ってところに行くといいらしいとか。そこに大きな遺跡が二つあって、今でも実探索領域が多くて報酬が多くなることが多いらしい?とかなんとかってたのだ、他にもなんか言ってたけど覚えていないのだ」
「なるほど、セントルビーね、情報聞いてくれてありがとう。ちなみにそこに行く手段は聞いた?」
「…」
「抜けてるな~まあいいんだけどね」
「こ、今度聞いてくるのだ!そしたらまた話すのだ」
「え、いいの?別に試験終わったら一緒に行こうと思ってたんだけど」
「リオは試験に集中してさっさと合格すること!それ以外のことは我がやっておくのだ!」
「なんか、いつの間にか頼りがいが生まれてるね。いいことだよ、偉いねヴァルキー」
「リオに褒められるならお安い御用なのだ!」
こんな感じで次の目的地はリカーゴに決まったのである。ちなみに、今は馬車乗り場まで移動している最中である。なんと、リカーゴまで伸びる直行便があるんだそう。さすが、大都市取ったところである。ちなみに、この馬車は始まりはここクルーランドではなく、フィランデルである。シチーム街道からキューオ街道を通っていくルートだ。そんなこんなで、町の中心部にある馬車乗り場に着いた。するど、ちょうどリカーゴに向かう馬車が止まっていた。
「すみません、2人でお願いできますか?リカーゴまでで」
「おう、兄弟で長距離馬車か~座席は空いてるから好きなところ座りな、この馬車は運賃は後払いだから今は気にすんな、運賃はリカーゴまで1人10ゴールドだ」
「分かりました。ありがとうございます。よし、ヴァルキー乗るよ」
「了解なのだ!」
こうして乗り込んだ馬車は前のモンロー―ブリーデ間の馬車とは大幅に設備が違い、簡易的なシャワー施設やベット、ラウンジまで着いている。これは…寝台特急だな。それもそのはず、馬車を使ってもリカーゴまでは1週間は掛かる。だからこそ、こんな豪華設備が備わっている。
「なんだこれは!?まるで宿なのだ!この馬車!」
「そうだね、僕も初めて見たよ」
「リオは馬車に乗るの初めてなのか?我は昔に人間の生活に慣れようってことで一度だけ乗ったことがあるのだ。とはいっても、こんなに豪華ではなかったのだ」
「馬車自体は初めてじゃないよ?前に、モンローってところからフィランデルってところまで乗ったことあるくらいだけど、その時に比べたらかなり設備は豪華だけど」
「我、ワクワクしてきたのだ!」
「僕もなんか楽しみになってきたよ、よし!リカーゴまでの馬車旅楽しむぞー!」
「おー!なのだ!」
こうして、目的地に向けて意気込みをしたところで、馬車が動き出した。実はこの馬車、途中何回か馬交換のために停車する。理由は単純明快で、1日中ジョギングをできる馬が存在しないからである。そこはあっちの世界の馬と同じである。しかし、ここからはあっちの世界とは異なる。それは、夜行性の馬である。この馬は、日中寝ているが、夜になると行動するように品種改良されており、交換が発生するのはこの昼行性の馬と夜行性の馬を交換するのが目的である。そして、この豪華設備をけん引するための馬の頭数もかなり多いので、交換に時間を要する。それでも、自分たちで歩いていくより2倍ほど早い。(ヴァルキーの背中に乗っていけば数時間で着くが、それはヴァルキーの負担がでかい上に、見つからないように高い高度を飛ばないといけないので、僕が凍え死んでしまう)そんなこんなで、僕たちを乗せた馬車は速度を上げ、大体ゆっくり走る蒸気機関車のペースで移動を始めた。
最初の方は2人して外の景色を眺めていたが、代わり映えがなくなってきたところで雑談を始めた。
「そういえば、試験はどうだったのだ?」
「あ~そうだね、いきなりトップ実力の人と戦わされてキツかったよ、それも僕の命の恩人、強かった」
「でも、我と特訓した技が火を噴いたわけだな?それは合格に我も一躍買ったということだな!いや~こういう形でリオに貢献できるのは、リオを愛する身としてはとっってもうれしいことなのだ!」
「本当に助かった、ありがとう」
「ふふ~ん、どういたしましてなのだ!」
「でも、一つ問題が…」
「なんなのだ?」
「この馬車に乗ったからしばらくク守を使う機会がない」
「あ~でも、そういう戦闘スキルは使わないに越したことはないのだ、そのほうが体も楽だし、まあ試してみたい気持ちは分かるのだ」
リカーゴまでにかかる日数は1週間、その間僕もヴァルキーもずっと馬車の中か、停車時間中に町をぶらつく程度で戦いはほとんど発生しない。前回は身に着けたスキルをすぐに使う機会があったので、ちょっと拍子抜けしている。まあ、セントルビーの遺跡に付いたら存分に使わさせてもらおう。その前に、安心してリカーゴに到着する必要はあるけどね。そんなこんなで、途中6か所くらい1時間程度の停車があり、その場所での乗降車と馬の交換を行い、その間に休憩場所の町や村をぶらぶら歩き、夜はヴァルキーを甘やかしたり、低層が奪われそうになりながらも順調に進み、予定通りにリカーゴまでたどり着いた。しかし、到着した馬車乗り場で騎手の人たちが集まってなにやらざわざわとしていた。
「リオ、なんかあったように見えるのだ」
「多分そうなんだと思うけど、一体何があったんだ?」
この異変の理由を知るのに時間はかからなかった。
どうも、winger86です。いつも本作品をご覧いただきありがとうございます。今回は、冒険の束の間に休息するお話でしたがいかがだったでしょうか?前回ク守のスキルを手に入れた理鳳ですが、今までにないほどの馬車旅の影響ですぐにスキルを使う場面が現れませんでした。前回のフ流はその強さからトラブルを起こしてしまいましたね。次回はリカーゴでちょっとした冒険が始まります。お楽しみに。それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。




