第47話 セカンドスキル
投稿が遅くなってすみません!
今後も数週間程度は投稿頻度ががた落ちする見込みです…お楽しみにしていただいている皆様にはご迷惑をお掛けしますことをお詫び申し上げます。
ク守2手目で打つ基本の技はカウンターである。この二つの技は動きの相性がよくつながりやすいのだ。しかし、ここは読み合いである。とうぜんカウンターを打った時の対処法の技もある。それが部分的守りである。その場所は限られておらず、かなり応用が利くのが特徴だ。ここでちょっと不意をつくために、フ流の技を出そうとしたところ――
「言い忘れていたが、ク守以外の技を使用するのは禁止とする。両者ともだ!」
そんなことを急に言われたのである。僕は少し動揺し動きが止まった隙に、カウンターを当てられてしまった。このカウンター、容易に発動できるのに、威力は絶大である。比較するなら、フ流の中級技の突進縦切りと同等の威力が出る。恐ろしい。もちろん、そんな技を食らえば壁に打ち付けられるわけで…
「がはっ…!!」
「はっはっは!フ流が使えると思っていたようだな!自分の力量を過信しすぎだ!ここはク守の訓練場であり、ク守の試験。もちろん使えないのは当然だろう。気を付けるんだ!」
先に言わなかったのは確信犯のようだ。でも、今後こう言った騙し討ちに合わないこともないだろう。僕は体勢を立て直し、今度はこっちから仕掛けることにした。
次には放つのはク守でも珍しい攻撃に特化した技である。とはいってもただ盾と一緒に盛っている大剣を思いっきり相手に振りかざすだけである。(実はこの時、自分の道具ではなく訓練所貸し出しの武器防具で戦っていた。もちろんジルも)普段からフ流で磨いている速度を生かし、カウンターを食らわせて様子見していたジルさんに一撃を繰り出した。
「ふんっ!!!!」
「…!!!」
ジルさんは無言で部分守りをしたがやはりスピードと重さが載った攻撃がしっかり通ったのだろう。険しい表情を浮かべていた。しかし、この技はク守の中でも攻撃に特化しており、放った後は割と大きな隙が生まれる。当然そこを狙うように苦しいながらもカウンターの動きをしてきた。僕はそこまで把握していたので、同じことは二度は繰り返さないように部分守りの側面型で受け流しつつ身を守った。
「やはり二度同じ手は通りませんね…ここからは我慢対決です…!」
「ええ…僕もそのつもりでしたから…!」
一瞬にらみ合った後、両者は一旦距離を取り、牽制し合った。勘のいい方は気付いているかもしれないが、このク守は基本攻めとそのカウンターを行うという単純なスキルなのだ。それこそ、同じスキル使いだと睨み合いになってしまうが、対モンスター相手だと、率先して戦士が前に向かい、攻撃を受けたらカウンター、攻撃を受けたらカウンターというように高い頻度で攻撃を入れることができる。そのため、パーティーに1人いるだけで戦闘が大幅に楽になる。その後、両者睨み合いが10秒ほど続いた後、今度はジルさんの方から攻めてきた。やはり、この訓練場3番手というだけあり、その動きには無駄がない。こちらに打とうとしているのは先ほど僕が使った突進振り下ろしの技である。僕はここで基本に立ち返り、正面受けからカウンターを打とうとした。
「そう来ると思ってましたっ…!!!」
「えっ?」
なんと突進振り下ろしはフェイントであり、それによって生まれた隙に盾で右側を思いっきり押されてしまった。
「ぐっ……はあっ…はあっ…そんな戦い方もあるんですね…」
「このような戦い方をするのはク守を使う人に対してだけです。基本に忠実な人ほど嵌りやすいので」
ただ、先ほどの直撃カウンターとは違い、盾による殴打攻撃はそこまでの威力が出ないので、若干後ろにのけぞる形となった。少し、二人の間の間が広がった。さすがに、強力な技を2発も直接食らっているので普通に苦しいが、ハイドさんとの地獄の訓練に比べたらそこまででもない。そうはいってもこのままだと体力が切れるより先に体の限界が来てしまうか漏れしれないので、ここで一気に畳みかけることにした。この技は、僕のオリジナルで、まだヘンリーさんにすら見せたことはない。それは、カウンターの時の攻撃の動きと突進振り下ろしの動きを組み合わせて、後隙を減らし、尚且つと威力を挙げた良いバランスの技である。この技はうまく連発できるようにしてある(ヴァルキーとこっそり特訓済み)。ここで正面受けを発動させないように回り込みながらこの技を連発させていく。
「この技は…見たことがない…!」
「僕のオリジナルです…!」
打撃の強さに緩急をつけ、ここぞというタイミングで強めに打撃を与えると、ジルさんが一瞬ひるんだ。そのすきを狙い、ジルさんめがけて思いっきり突進振り下ろしを叩きこもうとした。しかし――
「そこまで! リオ君、今のはもしかしてオリジナル技か?まさかこの短期間でこんなものを用意しているとは…さすがだな!今回はあのままリオ君が技を当てていたらその後ジルがしばらく立ち上がれなくなっていただろう。だから今回は特例として戦闘不能前に試合を終わらせたんだ。少し休憩を挟んでから2本目に移る!準備をするように。」
「ヘンリーさん、私あの技受けきれる自信ないです。あの技はまさしく初見殺しではありますけど、こちらの手だと対抗策がないです!公算ということでリオ君の勝ちにしてくれませんか?」
「つべこべ言わず準備する!新しい技を見たらちゃんとその対策を考える!これはジルに向けた訓練でもあるんだぞ!」
「わ、分かりました…」
どうやら、無茶ぶりを食らってやや意気消沈しているようだ。とはいってもここで情けは掛けず、さっきのオリジナル技も組み合わせてストレート勝利してしまった。
「おいおい!この訓練場の看板がこれではダメじゃないか!と言いたいところだが、リオ君はハイド仕込みの強靭なフィジカルがある。傍から見ていても勝負にならないとは思ってしまった。このような技術を短期間で習得してさらにオリジナル技まで作り出したリオ君には感服だ…あ、そうそう、そのオリジナル技私にも教えてくれ」
「ああ、いいですよ」
そんなこんなで、まさか自分に技を仕込んだ人に自信のオリジナル技を教えることになるとは思っていなかった。そして、数時間教えると――
「おお!なんで今までこんな技を思いつかなかったんだ!これがあれば威力と後隙が両方解決するじゃないか!現役の時に知りたい技だな。にしてもこれを教えてくれてありがとうリオ君。これでまたク守の完成度が一段と上がる!」
直ぐにマスターしてしまった。これが元伝説のパーティーの戦士ということだろう。センスが半端じゃない…多分現役の時なら一瞬で負けそうだ。こうして、ク守試験を見事突破した僕は、ク守取得のライセンスをもらい、疲れたので一旦寮に戻った。
部屋を開けると、今日も先にヴァルキーが備え付けの椅子に座って待っていた。
「おかえりなさいなのだ!」
「ただいま、試験合格したよ」
「お!これでフ流?以外にもう一つ使えるようになってもっとリオが強くなったのだ!それで…我と…秘密の特訓したあれはどうなったのだ…?」
「恐ろしいくらいにはまっちゃってあの訓練場にいる中で一番強い人を圧倒してしまったよ…あと、この技師匠のヘンリーさんにも教えた。大絶賛だったよ」
「それは我が手伝ってあげただけあったのだ!でも、他の人に教えるのはちょっといやなのだ…」
「ああ、そこまで考えてなかったよ。ごめんね、勝手に教えちゃって」
「いや、全然いいのだ、これでみんな強くなればそれはもっといいことなのだ。だから気にしなくていいのだ、リオ」
「ありがとう」
「で~も~、一つだけ言わせてもらうと…この数週間我に構う時間が短かったのだ!今日は眠くなるまで付き合ってもらうのだ…!」
「仰せのままに」
こうして、ご飯を食べて身支度を済ませてから夜遅くまでずっとヴァルキーの頭をなで続けた。翌朝、僕とヴァルキーは次の目的地『リカーゴ』に向けて出発した。
どうも、winger86です。いつも、本作品をご覧いただきありがとうございます。さて、今回はクルーランド流守身術の試験がメインのお話でしたがいかがだったでしょうか?ついに、ゴルドナの中でも珍しい2種のスキルを手に入れた理鳳。一体このスキルがどのように生かされるのでしょうか?お楽しみに。それでは、また次のエピソードでお会いしましょう。




