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第50話 火力お化け

今回のエピソードは通常の1.6倍にまで伸びてしまいました。それでもお楽しみいただければ嬉しいです。


そして、後書きにご報告が書いてありますので、そちらもご確認いただけると嬉しいです。

そんなこんなで、和やかな雰囲気のままリカーゴを後にした。もちろん、こんな雰囲気で行くのは今戦っている人たちには失礼だと思う。しかし、そんな和やかな雰囲気も町の外に出ると一気に変わってしまった。なにせ、割と遠くの方で大きな黒煙が立ち上っているからである。これがただ事ではないと察した僕たちはすぐさま装備を取り出し、全速力で現場に向かった。


「ちょっと待って、あんなに被害が大きくなってるとは思わなかったよ…これじゃ山林火災だ…」

「我も正直水の力があればちょちょいのちょい、とか考えてたのだ…それは甘かったのだ…リオ!急いで家事の場所まで向かうのだ!」


今火事の場所まで走っていて思い出したのは、ボスティールの南で遭遇した噴火である。早朝に遭遇したその噴火で僕は一気にボスティールまで走る目になった。あの時は、マリースの花を食べていたから体が楽だった。のにもかかわらず、今はそれよりも体が軽い感じがする。トレーニングの成果だと信じたい。そして、走ること15分ほどでついに火本体が姿を現した。そのおかげで回りの温度はどんどん上がり、さらには知っているのも相まって、二人とも汗だくになっていた。


「暑い…さすがに火の近くで走るとキツイ…」

「普段なら水の膜とかで覆って保護するけどそれをやってる余裕がないのだ。ごめんなのだ…」

「いいよ、多分今回のモンスターめっちゃ強い気がする。それも予想が当たれば、マグマドラゴンと違って相性非常に悪いし…」

「そこは我も心配なのだ…でも、我が弱音はいてたら勝てるものも勝てないのだ!」

「もし、ヤバかったら僕が守るからそこは安心して戦って」

「ちょっ…!それをここでいうのはずるいのだ!もっと体暑くなっちゃうのだ!」

「ああ、ごめんね、ともかく急いで討伐しよう!」


ヴァルキーはこくりと頷き、いつにもまして真剣な表情で走っていた。また5分ほど走ったところで、負傷した冒険者の姿が見え、その奥に冒険者が5人ほどと例のイエローサラマ―が交戦していた。


「大丈夫ですか!? 応援に駆け付けました!」

「今11人でイエローサラマ―を討伐しているんですが、その半数の5人が麻痺で動けなくなってて、残りで遠距離から攻撃を仕掛けている状態です!あのモンスター、刀身や盾で触れるだけでも体に電流が流れるのでかなり厄介ですよ!応戦する際は十分気を付けてください!」

「貴重な情報ありがとうございます!」


どうやらしっかり電気の属性持ちだったらしい。少し周りを見渡すと、少し離れたすでに草木が燃え尽きて火がない場所に横たわっている人が複数人いた。僕とヴァルキーはその人たちのところに駆け寄り、持ってきた回復薬を飲ませた。(もちろん、自分で飲んでもらった)


「う゛っ…大分体が楽になってきました…ありがとうございます。応援の方ですか?あのイエローサラマ―は私たち前衛には相性が悪いです…なので誘導して人の害が出ないようにするのが最優先かと…」

「大丈夫です、僕たちで何とか討伐します。一応遠距離攻撃を持ち合わせているので」

「我も遠距離攻撃できるのだ!」

「お聞きしたいのですが、何の職業をやられているのですか?」

「剣士と戦士です。前衛ですが大丈夫です。見ていてください」


そういって他の人のところにも向かい、全員回復薬で麻痺状態を解消していった。そして、今戦っている人たちは偶然自身の武器防具が電気に強かったらしく、電流が流れてこないから先頭を継続できているとの情報だ。こちらの世界にもちゃんと絶縁体が合って良かった。その人たちと協力しながら討伐に参加した。


「ヴァルキー、今回は水の魔法はあまり使わないように」

「雷がどうとか言っていたがどういうことなのだ?」

「水って電気通しやすいんだよ、だから水をあいつにかけてしまうと放電の威力が上がっちゃって多分ヤバい、だから今回できるのはあの光線攻撃と防具を装着したほうの腕でのパンチだけ、このドラゴンの防具どの程度防げるか分からないからちょっと試してみるけど、それまで遠距離でバンバン光線打って欲しい」

「分かったのだ!くれぐれも無理しないようにしてほしいのだ!」

「もちろん!頑張るよ」


こうして僕は一気にイエローサラマ―との距離を縮めた。すると、イエローサラマ―はこちらの気配に気が付いたのかこちらを睨んで何かの準備をし始めた。他の冒険者など目もくれず…さっきまで戦ってなかったっけ?


ギャャャァァァァーーーー!!!!


というけたたましい声と同時にこちらに向けて大電流を放ってきた。まるであの電気ネズミの〇ワザみたいに見えた。僕は真正面からその攻撃を受けそうになったので、ここでク守の正面受けを使った。すると――


「…っっ!火力高過ぎ…!」


なんとそのまま後ろに吹き飛ばされてしまった。一応以前よりも受けの威力は上がってるはずなんだけど…もしフ流で受けを取ろうとしていたらおそらく受け流しきれず大ダメージだっただろう。ク守習っといて正解だったな…だが、この攻撃で分かったことがある。それは、このマグマドラゴンの鱗から作った剣と盾は両方とも絶縁体の役割を果たすということだ。恐らくだが、直接触れるよりもずっと高い電圧でこちらに攻撃してきたのだろう。それを受けても痺れが来なかったのはそういうことだと思う。


「よし!ヴァルキー!この防具は電気を通さない!打撃も加えて攻撃していいよ!」

「それを待っていたのだ!」


という声と同時に一気にイエローサラマ―との距離を縮め、その顔面を思いっきり殴っていた。イエローサラマ―は10mほど吹き飛ばされ、横たわった。そして、先ほど放電攻撃を行った影響か、皮膚から時々出ていた電流の量が少なくなっていることに気が付いた。僕もそのチャンスに乗じて追撃を加えることにした。フ流の初級技から上級技をつないで連撃を食らわせた。しかし、イエローサラマ―の体には切り傷しかつかなかった。すると、ひるんでいたイエローサラマ―はこちらに対してしっぽを振り回して攻撃していた。それをク守の側面受けで受け流してイエローサラマ―と距離を取った。イエローサラマ―は再び戦闘状態に戻った。ヴァルキーや他の冒険者もほぼ同じタイミングで距離を取り、次の攻撃を見極めようとしていた。


次にイエローサラマ―は皮膚からあふれる電流の量を増やし、こちらに向かって勢いを貯めているように見えた。恐らく○○テッカ―の類だろうと予測する。するとその寸体に見合わない速度でこちらに突進してきた。もちろんそのまま受けるわけではなく――


「速っ!もうちょっとで突進食らうところだった…」


しっかり横によけて受けをあまりとらないようにした。さっきの攻撃から見てもおそらくこのイエローサラマ―はどの攻撃でも火力が”おばけ”レベルで高いのだ。その上、俊敏性もあり、防御も硬い。実はちょっと前にヴァルキーが細い光線を放った際に、その光線を避けながら僕の相手をしていたのだ。ちょっと規格外の強さである。でもわざわざ避けるということは…?イエローサラマ―の弱点は物理攻撃以外の攻撃であるということである。これに気が付いた僕はヴァルキーに指示をした。


「ヴァルキー!ヴァルキーは遠距離から攻撃したほうが多分ダメージが入りやすい!動きを予測して攻撃してみて!」

「いきなり難しいこと言って欲しくないのだ~!できるだけやってみるけども~!」

「ごめんね!その代わり前線は僕たちに任せて!」


そう声をかけるとヴァルキーはにこやかにこちらに顔を向けてきた。こちらを信頼してくれて何よりである。そういえばヴァルキーに魔法のトレーニングを積ませるのを忘れていた。今度からは気を付けることにしよう。とはいっても僕に魔法のノウハウがあるわけではないので、トレーニングさせてあげられるかは分からないけど。


こうして、ヴァルキーの遠距離攻撃と僕と他の冒険者の近距離攻撃を組み合わせて何とか少しずつダメージを蓄積させていった。もちろん、僕たちにもダメージは蓄積している。そんな中、突然均衡を破る出来事が発生した。現時点で最もダメージを当てえているのはヴァルキーの光線攻撃である。僕もそれなりに斬撃を同じ個所に加え続けているが、全く刃が通らない。だが、ヴァルキーの光線攻撃はしっかりとイエローサラマ―の体を貫通する。しかし、イエローサラマ―は知能が高いのか、致命傷になるところの攻撃は避けてずっと持ちこたえている。そう、これによってイエローサラマ―のヘイトがヴァルキーに向いてしまったのだ。すると、先ほどの放電攻撃のような長いタメは行わず不意打ち的にヴァルキーに放電攻撃を仕掛けた。僕がそれに気が付いたのはその技を発動させてからであったため、反応が遅れてしまった。


「危ない!ヴァルキー!」

「リオ!我はだ…」


ドガーーーーーン!!!!!!


という轟音共にあたり一面に白煙が立ち込めた。そして、その煙の中からは放電攻撃をモロに食らった僕とヴァルキーが見えてきた。僕は何とか側面受けで受けようとしたが間に合わず、そのままヴァルキーをかばう形で直撃食らってしまった。当然体は痺れてしまい、動きが悪くなってしまった。


「なんで…!我は大丈夫って言ったのに!」

「前衛を任されてるんだから…後衛を身をもって守るのは…当然でしょ?」

「そんな無茶しなくても我は大丈夫なのだ!絶対に許さない…!あの黄色いトカゲ…!」

「起こってくれるのはありがたい…けど冷静に…僕も何とか攻撃には参加してみるから…!」


実はこの時点で絶縁体の防具をもってしても受けてしまった攻撃を回復するのに回復薬を使用したため、ブリデール草の回復薬が切れてしまった。そして、1人重傷の人がいたのでその人に僕の分のマリースの花の回復薬を使用してしまったのだ。そのためこのダメージを食らっても治す手段がないので、僕の方が冷静でなかったかもしれない。反省しなければな…だが、今はそんなことを考えている余裕がない。今の状態ではこちらの方が先に消耗してしまい全滅の危機に瀕してしまう。そこで、僕は一か八かの賭けに出ることにした。さっきまではこのまま削り切れば光線で仕留められると思っていたが、かなり賢いこのモンスターはやはり物理攻撃でごり押しをする必要がありそうだ。本当なら特大光線攻撃で仕留めたほうが良いのだろうが、今は周りに人がいて、さらに都市部からも近い。この攻撃はかなり射程があるので最悪町に被害が出る可能性がある。だから、ぶっつけ本番ではあるが、フ流とク守それぞれの最高火力技である。渾身の追撃と突進追撃を組み合わせた技をぶつけることにした。元々から構想はしていたが、あまりに長いタメが発生してしまうため、使用を避けていた。だが、今回はそれが必要なのでヴァルキーに再び指示をした。


「ヴァルキー…お願いがあるんだけど」

「リオ!?死ぬのか!?嫌なのだ!ここでお別れは嫌なのだ!」

「そうじゃない、5秒だけ時間を稼いでほしい。僕にヘイトが向かないように。イエローサラマ―は賢いから僕の様子を見て攻撃してくると思う。僕はこれからちょっとタメの長い技を使うからその間だけ時間が欲しいんだ」

「…分かったのだ。絶対にその技で仕留めきるなら協力するのだ!そうでないならリオは先にリカーゴに戻るのだ!」

「約束する。仕留めきるよ」


ヴァルキーは涙を流していたが、覚悟を決めたようだ。イエローサラマ―の方に向かっていった。ちなみに、このやり取りの間、他の冒険者が時間を稼いでくれていたようだ。感謝せねば…それはともかく、5秒というのは一見長いようだが、こいつは動きが早いので、相当大きな隙となる。それでも僕はこいつに一撃を打ち込むべく、構えをした。痺れで普段よりも力を籠められなかったが、何とか構え終わった。そして――


「ヴァルキーと冒険者の皆さん!ありがとうございます!これで決め切ります!」


僕はそう言ってイエローサラマ―の心臓部めがけてこの合体技を放った。


スパン!


という音を立てたと思った直後にイエローサラマ―の体は真っ二つに裂け、心臓もしっかり切り込まれており、その役割を終えようとしていた。


「やったー!!!」

「やったぞ!!!」

「何とか倒した!!!」

「剣士のお兄ちゃん!ありがとう!!!」


みんな倒したことへの喜びに浸ったり、僕への感謝を叫んでいたりしていた。僕はここでちゃんと倒し切ったことを実感できた。だが、ヴァルキーだけ僕を見て何かに驚いたような表情をしていた。


「っ…!リオ!」


僕の名前を呼んだ直後、安心して体の力が抜けたのか急に意識が薄くなり始めた。そしてヴァルキーがこちらにものすごい形相で向かっているのを最後に僕の意識は途絶えた。

どうも、winger86です。いつも本作品を読んでいただきありがとうございます。さて、今回はイエローサラマ―との対決のお話でしたがいかがだったでしょうか?イエローサラマ―との戦闘ではフ流だけでなくク守までも存分に活用して戦闘していましたね。理鳳の戦闘センスが輝いているところです。そして、先頭が終わるとなんと意識がなくなってしまいました。一体理鳳は今どのような状態なのでしょうか?少し心配になります。今回で2章が終わり、次回はついに3章に入っていきます。一体3章ではどのような出会いや冒険が待っているのでしょうか?お楽しみに。それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。


ご報告

今回で2章が終わり、節目の50話ということで、このボルカノ物語のリニューアルを行っていきます。そして、筆者がこの先多忙の影響で執筆の時間が取れません。このため、数週間程度お休みをいただきます。次の投稿日は8月1日頃を予定しています。しかし、進捗が不透明なため、多少の前後が予想されます。本作品をお楽しみにお待ちいただいてる方にはご迷惑をおかけしますが、ご理解ご協力の程よろしくお願いいたします。そして、リニューアル後は8月限定で毎日投稿を再開していきますのでよろしくお願いいたします。

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