第41話 恩師の故郷へ
ヴァルキーがバイキングでお腹いっぱい食べたことで、しばらく動けなくなったので宿で足止めを食らった。
「ごめんなのだ、リオ。食べ過ぎたのだ…」
「あそこのバイキングどれもおいしいからついつい食べ過ぎるのは分かるよ、まあ午前中はゆっくりして午後からのんびりギルドに向かって情報収集だな、あそうそう、遺跡以外でなにか過去の遺産的な物知ってる?」
「いや~知らないのだ」
「オケ、じゃあギルド頼りだな、僕そんなにゴルドナの地理に詳しくないから本当にギルド様様だよ~」
「どうして、リオはこんなにゴルドナのこととか知らないのだ?多分他の人ならもっと知っているはずなのだ」
「ま、まあそれはおいおい話すとして…次は――」
と、鋭い質問をされて秘密がバレそうになった。あまり異世界から来たことは言いたくないと思っている。とりあえず、ここは別の話題に切り替えてやり過ごすことにした。ちょっと不審な顔をされたが、こちらの意図を察して深くは聞いてこなかった。助かる…
そうして、話をしている内にギルドにたどり着いた。今日の目的は、『遺跡』以外に何か探索できるところはないのか?近くの町には何があるのかということである。
「こんにちは、少しお聞きしたいことがあるんですが」
「どうも、昨日ぶりですねリオさん。せっかく一昨日に偉業を達成したというのに、勿体ないことをしましたね。でも、功績の方が大きいと見られたそうなので、本当に助かりましたね~今度は気を付けてくださいね?あなたはどうも女性の方を引き付けやすいように見受けられますから」
「はい…気を付けます…でも僕はただ気遣ってるだけなんですけどね」
「ゴルドナ中の女性はそれに弱いことで有名なんですよ。どこの地方でもですけどね。」
「え?そうだったんですか?」
「我は違うのだ」
「まあまあまあ、すいません、会話を切ってしまって。続きをお願いします」
「いえいえ、平気ですよ。それで、ゴルドナの男性って性格悪いって程ではないんですけど、割とデリカシーが備わっていない方が多くて、それに改善もしようともしないから…そういう男性って貴重なんですよ。」
「気遣いをするって普通だと思ってたんですけど…」
「表面上は優しく見えますけど、実際長い時間過ごすとだめなんですよ…あいつらは…」
「つかぬことをお聞きしますが、もしかしてご結婚されてます?」
「バツ1です」
「ごめんなさい…」
「いいですよ、それは置いておいて、ご用件は何ですか?」
「ああ、そうでしたね、ではデントロン周辺の都市の情報と遺跡以外での何か過去の遺産的なものはありますか?」
「そうですね…デントロン周辺でしたら、プレール最大の都市の『リカーゴ』かプレール地方の玄関口の一つの『クルーランド』ですかね、北の方は大きな町がないのであまり冒険者の方は行かないんですよ、あとはウォンタリー湖沿いを東に進んで『トゥーロン』とかくらいだとおもいます。」
「僕はトゥーロンから来ているので残りの二つってところですね、リカーゴには何があるんですか?」
「リカーゴは近くにミス湖がありますが、そのミス湖やウォンタリー湖、エミリー湖を結ぶ運河で発達した都市です。その背景から、一つの大きな市場になってます。ゴルドナの東部はいろんなものがある年が多いですが、それこそ物品の量ではフィランデルには劣りますけど、近くのシラキとは比べ物にならないほど大量にあります。なので、これといった名産とかは無く、基本何でも楽しめるといった場所ですね。」
「なるほど、じゃあ旅行とかならそこに行くのがお勧めって感じですか?」
「その通りです。でも、冒険者目線で行くと、あの付近は遺跡が乏しく、クエストもあまりありません。なにせ、整備されすぎていて薬草は生えていないし、冒険者が商人や旅人の護衛をする必要がないからですね。」
「じゃあクルーランド?」
「というわけでもないです。リカーゴからさらに西の方に『ミネアス』というそこまで規模の大きく無い町があり、その年の周辺には巨大な遺跡群があるんです。しかし、そのミネアスはリカーゴから歩いて2週間ほどかかるので、物資の豊富なリカーゴで補給してからそこに向かうということも結構ありますね。」
「中継点的な役割が強いんですね。じゃあクルーランドの方は?」
「クルーランドはエミリー湖の南のほとりにある町で町の規模はそこまで大きくないです。でも、この町は冒険者が多く訪れる町でもあります。それは、この町に伝わる戦闘スキルが有名だからですね」
「フィランデル流剣術ですか?」
「それも有名なスキルですけど、それとはまた別のスキルです。その名前からクルーランド流反・守身術です。その詳細はあまりわからないですけど、使いこなせばフ流と同じくらい冒険で戦えるスキルなんだそうです。」
「面白そうですね、習得してみたいなって思います。」
「リオさんはとても実力があるようなので正直いらないとは思いますが、いろんな戦い方ができるのはいいことですからね、それもいいと思います。他には―」
その後も小一時間ほど周辺都市の情報をもらい今後の冒険プランが色々建てられた。結局僕たちはクルーランドに向かうことにした。ギルドに立ち寄った後に思い出したが、僕の冒険者としての師匠であるジルさんはここから来た人だった。出身までは聞かなかったが、基本こことフィランデルを往復しているらしい。もしかしたらまた会えるかな?という期待を持ちつつ、ギルドから出た足でそのままクルーランドに向かった。
道中、ヴァルキーが頬を膨らませてこちらを睨んでいた。やはり、この間の件以来どうも嫉妬深くなりつつあるようだ。
「さっきのギルドの人途中からリオを狙っていたように見えたのだ、何なら今思い返してみると女性のギルドの人はみんなリオを狙っているように感じたのだ」
「さすがに気のせいじゃない?」
「リオがバツ1とか聞いたあたりからあの人目つきが変わったのだ」
「それ絶対地雷踏んでブチギレようとしたのを我慢してたんでしょ」
「それならもっとぶっきらぼうな口調になると思うのだ。なんというか…あなたとても魅力的な男性だから、もし興味あるなら私と再婚しない?みたいな」
「考えすぎじゃない?」
「いや、獲物を狙う獣の目立ったから間違いないのだ」
「じゃあそういうことにしておくよ」
「あ!信じていないのだ!本当だからな!」
今度からはヴァルキーの機嫌を損ねないように、女性と会話するときは細心の注意を払う必要があるみたいだ。
「あまりヴァルキーの意見聞かないでクルーランドに決めちゃったけど大丈夫だった?」
「我も地図見たけど、本当にリカーゴの方はミネアスしか行く場所がなさそうだったから我もクルーランド派だったから気にしなくていいのだ」
「それならよかった。ちょっとクルーランドに知り合いがいてね、その人に会えたらいいなって思ってるし、あとはク流も習得したいから」
「新しい戦闘スキルについてはよくわかったのだ。でも、その知り合いはちょっと気になるのだ。まさか…」
「男性だから気にしない気にしない」
「ふ~ん?とりあえずリオを信じるのだ。嘘なら許さないのだ」
「なんか面倒になったよね?それは止めたほうが良いと思うよ、いちいちこういう事に嘘ついても仕方ないし」
「それは…でも我は心配なのだ…またあいつみたいなやつが現れたら…」
「まあ、その可能性は否定できないよね…ちょっと空気が重くなってきたからこの先の話でもしようか、クルーランドならブリーデ近いしもしかしたらあのオリーブオイルを使った料理食べれるかも」
「それおいしいのか?」
「初めて食べたら感動したよ、お店あったら連れてってあげる」
「ご飯は好きだから我楽しみなのだ!」
たびたび不穏な空気を醸し出していたが、何とか最悪な雰囲気が回避できて一安心した僕であった。
どうも、winger86です。いつも本作品をありがとうございます。さて、今回は久々に名前が挙がったジルさんの本拠地であるクルーランドに向かう話でいたがいかがだったでしょうか?理鳳は約2か月という遠回りを経てジルさんに会いに行きます。クルーランドで会うことができるのでしょうか?お楽しみに。さらに、クルーランドでは理鳳にアップデートが入ります。その後での強さも必見です!それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。




