第37話 戦いはもう始まっていた
武器屋を出た僕とヴァルキーはとりあえず、一旦疲れを取るために、宿に戻った。
「ふぅ~疲れた~今日はもう動きたくない…もう少しデートしたかったでしょ?」
「正直を言えばもっと一緒にイチャイチャしたかったのだ~でも、よく考えれば今日はクエストから帰ってきた日なのだ。今日は一緒にゆっくりしたほうが良いと考えたのだ。」
「今度埋め合わせするよ。それでいい?」
「嬉しいのだ~絶対だぞ!」
「僕が言ったんだから当然」
僕はヴァルキーとの次の予定の約束をしてまだ夕方だったものの、そのまま眠りについた。そのまま翌朝まで起きることはなかった。
翌朝、お腹を突き刺すような痛みを伴った空腹で目が覚めた。
「うっ…お腹減った…何か食べに行きたい…っと、今ヴァルキーは…いない!?どこに出掛けたんだ?」
朝起きると普段横で寝ているはずのヴァルキーの姿がない。今まで彼女が一人で出かけるということが無かったから、動揺したが、少しして――
「まあ、大丈夫でしょ、街中で暴れだすとかしない限りね…そういえば今何時? 8時か~結構寝たな~とりあえず何かご飯食べに行こう。」
そうして、身支度を済ませ、朝食探しへ繰り出した。すると、この世界に来てから初めて、朝食ビュッフェがついている宿に泊まったようだ。昨日は疲れであまり確認できていなかった。ということで、あっちの世界のを思い出すついでにビュッフェをいただくことにした。しかし、システムを理解していなかったのでとりあえずビュッフェ前にいた従業員の人に聞くことにした。
「おはようございます、ビュッフェ券はお持ちですか?」
「それが必要なのですね、どこで購入できますか?」
「それなら受付で宿泊代金に上乗せになりますが追加することが可能ですよ」
「分かりました、ありがとうございます」
従業員に言われたとおりに受付に行くと、少しいい髪を使ったビュッフェ券をもらった。値段は3ゴールドとまずまずといった値段だ。いや、良心的ともいえる?とりあえず、そこで昨日の分までしっかり食べ、スタミナ付けてからヴァルキーを探しに行った。
「一体どこに行ったんだ? 思い当たる節はないけど…まあ、どうにかなるか」
このときの僕の楽観的な考えは後に間違いと分かる。結局僕は昨日訪れたギルドや武器屋を訪れたがいなかった。そして、捜索を始めてからしばらく経ち、お昼に差し掛かろうとしていたところで、デントロン郊外で大きな爆発があったのである。街にいた人は皆パニック状態となり、爆発とは逆方向に走り出していた。何か不穏なものを感じ取った僕は、まず初めにギルドの方へ向かった。
「ああ!リオさん!ちょうどいいところに、先ほどの爆発に関してなんですけど…」
「調査ですか?いいですよ」
「話が早くて助かります!一応現時点で、分かっていることだけ説明します。爆発の推定場所は、昨日リオさんたちが探索された入り口のやや北の方の平原付近ということと、火山性の爆発ではないこと、そして、その付近を探索するクエストを行う冒険者はいないということです。昨日の探索同様不明点が多いですので、十分に気を付けて調査をお願いします。ギルドに冒険者が集まり次第すぐに応援に向かわせます。」
「分かりました、ですが応援はあまり多いとかえって足手まといになる可能性があります。僕も一概ではありませんけどね。なので、わがままではありますが、ある程度実力のある方を10人程度お願いします。」
「承知しました!なるべく実力者だけを10人程度ですね。再び危険な依頼をすることになってしまいましたが、よろしくお願いいたします。」
「いえいえ、それが冒険者ですから」
そういって、現場に急行しようとしたとき、ギルドに張ってきた人影に見覚えがあった。
「あ!リオ!やっぱりここにいたのね!ギルドの人に聞いて正解だったわ」
「おお、久しぶりカボディア、それとあとの二人もしっかりついてきてるみたいだね…」
「初めましてっす」
「初めましてですね、私たちのティアがご迷惑をおかけしてます~」
「ちょっ…!あれはあいつが…!」
「喧嘩両成敗ですよ、実際そのせいでリオさんに迷惑かけているのは事実ですから!」
「はい、すみません…」
「質問なんすけど、うちのリーダーがやっちまったことは知ってますか?」
「まあ、何となくは…」
「なら、話しは速いっすね、実はもう一人のライバルって言ったほうが良いっすかね、その人が決着がつかないもんだから、リオさんを監禁するとか言い出したんすよ、それを阻止するために俺たちが追いかけているってわけっす。」
「まあ、そういう人だよね彼女は…とりあえず阻止しようとしてくれたことはありがたい。それで、もしかしてティアたちもあの爆発に駆け付けようと?」
「そう!さすがに私たちも冒険者だからね、放っては置けないでしょ、ということはリオもってことでいいの?」
「なら、早速受付済ませてきて一緒に向かおう。そのほうが心強いからね」
「オッケーちょっと待ってて」
そういって足早に受付に向かい、依頼を受けているようだ。彼女らは大都市フィランデルでも2番手なので、容易に承認が出るだろう。
「普段よりもうちのリーダーがご機嫌な気がするっす」
「同感ですね~ラードン、やっぱり恋は人を変えますね~ちなみに、リオはどちらにするのか決めていらっしゃるのですか?」
「実はそのことなんだけど…かくかくしかじかで…」
「モテモテっすね、リオさん、リーダーから聞いていただけでもいい人なのは分かっていたんすけど、いざあってみるとそれをひしひしと感じるっすね」
「私もこれならティアが惚れるのもわかりますね~私も立候補しましょうかね?まあ、冗談ですけど、さすがにティアの好きな人を取るわけにいかないですから…あと、私婚約者いますし」
「やっぱりこっちにも政略結婚的なのある感じか~」
「あら、私のことご存じで?」
「雰囲気だよ、雰囲気、なんとなくお嬢様な感じしただけ、ちょっと偏見強かったかな?」
「大丈夫ですよ、自分では表していなくてもたまに感じ取られることはありますから。ちなみに、この結婚嫌なものではなくて、互いに互いを愛していますのでご安心ください」
「いや!俺初耳なんすけど!なんで俺には言わず、リオさんのいるときに初めて話すんすか!」
「話の流れでですかね?」
「はあ、分かりましたっす…でも、今度からはそういう重要なことちゃんと共有しとくっすよ!ちなみに、リーダーには?」
「言ってないですよ、彼女以前はこんな話に興味無かったので、今ならいろんなアドバイスを求めてきそうですけどね~」
「まあ、そろそろティア戻ってきたし行こうか」
「うっす」
「ええ」
「?いったい2人はリオと何を話していたの?」
「「まあまあまあ」」
「ラードンとニトリード2人してなんか怪しいわね、まあいい、今は爆発現場の調査に向かうわよ!」
こうしてカボディアのメンバーに僕を加えた4人で爆発現場に向かうことになった。
ギルドを出発してから30分、おおよそ爆発現場らしきところに向かうと、本来草が生い茂っているあたりが更地となっていた。その更地の終身付近に2人の人影が見えた。そこにいたのはこれまた見覚えのある茶色の髪をした女性と水色髪の女の子だった。
「お前みたいな女にはリオは絶対にあげないのだーーーー!」
「そっちこそ、あなたみたいな女の子はリオには似合わないですよ!彼を幸せにできるのは私だけ…私以外と一緒になったら許さない許さない許さない許さない許さない…………!!!!」
どうも、winger86です。いつも本作品をありがとうございます。さて、今回のエピソードはいかがだったでしょうか?ついに始まった正妻戦争、いったいどのような結末を迎えるのか?お楽しみに。それでは、また次のエピソードでお会いしましょう。




