第35話 逃げるが勝ち
胴体を切断したゴーレムは一度動きを止めた。しかし、すぐに切断面と周りの岩たちが動き出し、すぐさま修復を始めた。
「まずい!ゴーレムが修復を始めた!追撃だ追撃!」
「分かったのだ!おりゃああ!!」
2人して切断面にさらに攻撃を加えた。切ってみるとなんだかねちょねちょしていて気持ち悪い。再生を遅くすることに成功したものの、やはりさらに増えた切断面がまたねばねばしだし、修復しようとしていた。
「おそらくだけど、これ埒明かないやつだ。切っても切っても修復する!それでさっき色々攻撃している中でこいつにはコアがない!だから無限に修復すると思う!逃げよう!ゴーレムの元居た方向へ!」
「逃げた先で襲われたらどうするのだ!方法を考えて戦うのだ!」
「さっきゴーレムいたところ見てみて!一応入り口空いてるの!だからワンチャンあの部屋に入れば襲われないことにかけて走る!」
「どうなっても知らないのだ!」
そうこう言い合いをしている内に修復を終えたゴーレムがこちらに槍を向けて走ってきた!一刺しにするつもりだろう。二人で全力疾走で奥の部屋の入り口まで走った。意外にもゴーレムの足が速く、追い付かれそうになった。しかし、間一髪のところで部屋に入ることができた。すると、予想が的中しこっちの部屋に入った途端攻撃をやめたのだ。
「間違ってたら二人とも重傷だったね、はは」
「いや、笑い事じゃないのだ…今回は当たったから良かったものの、次回からはもっと慎重に行動してほしいのだ…」
「ヴァルキー珍しいね。慎重って言葉が飛び出してくると思わなかった」
「あのゴーレムの槍の素材見てないのか?あれはモンスターに特にダメージが入る金属でできていたのだ。あれを食らったら前にリオが我に与えた斬撃より大きいダメージが入って最悪動けなくなるのだ」
「ごめん、素材のこと知らなくて、そんな素材もあるんだな~」
「でもあの素材は今まで見てきた町の中で一回も見かけなかったのだ。どうしてここに?」
「それはここの主がそういう金属を持っている時代の人だったからとか?」
「いつからその金属が使われなくなったのだ?ずっと引きこもりだったからわからないのだ」
「それはそうだね、今度確かめてみよう。あ、なんか本置いてある。ちょっと読んでみる」
「本当なのだ、なんて書いてあるのだ?」
「少々お待ち」
そういって本の内容を解析してみた。もちろん、この本も今までの壁の文字同様英語で書かれていた。この世界の人たちの標準語は僕と同じ日本語であり、英語を第二言語としてしゃべれる人を見たことがない。だから、今まで到達した人がいても全く研究が進まなかったのだろう。普通分からない言語だったとしても1000年もあれば解析できると思うけど…とにかく、いまは翻訳に集中した。すると、次のようなことが書かれていた。
『ここにたどり着いたということは、私が出した試練の仕組みを理解できるほどの実力者ということだろう。だが、この本は私の住んでいた地方でしか使われていない言語だ。これを解読できなければ、次に話す内容は教えられない。ここまで読めた物は、他言無用でこの情報を受け取り、私の願いをかなえてくれ。
ここで話す内容は、私の研究の集大成ともいえる研究だ。それは、この世界に存在する魔力に関する研究だ。まず初めに、魔力の根源について話そう。それは――
』
と、ここまで読み、続きの文章を見るとトレン遺跡で書かれていたことが大半だったので、その内容が終わるまで流し読みをし、その後の研究内容の詳細とやらを注目して読んだ。
『次に、その研究の詳細について話す。”神”が作り出している魔力の因子を当時の拡大魔法でしっかり観察すると、6角形のような分子の形をしていた。私はこれを魔力分子と名付けた。この魔力分子に感情を送り込むと、その形質が変化し、私たちの体を構成する、二重らせん階段のような構造の物質に変化したり、様々な丸い形状のものが規則的にくっついたものになったりした。その際、形質変化の後、その変化した物質の一部が再び6角形の形に戻り、そして分裂を何回かした後に地面へと動いていくのだ。これが、先ほど説明した魔力の循環の仕組みだ。この時、分裂の影響で変化に使用した魔力分子より、使用後の分子の方が多くなる。これが”神”のもとへ地面を通して戻り、魔力を増幅させる。
この仕組みに気が付いた私は、さらに魔力分子の解析を進めた。あまりにその大きさが小さかったため、私の拡大魔法だけでは解析しきれなかったため、拡大してみることができる顕微鏡を作成し、その上で拡大魔法を使って魔力分子を解析した。拡大魔法はその魔力消費量と脳への負担から時間がかかり、ここにかけるまでには20年を要した。そして、魔力分子内の”神に”戻っていく部分を発見し、その部分を私に帰ってくるように変更し、さらに還元量をさらに増加、感情ではなく、イメージだけで魔法が発動できるようになった。これにより、私は人間の中で最強とも言うべき魔法使いになった。私が使った魔法は地震に帰ってくるため、無尽蔵の魔力、そして発動までの時間の短縮が可能となった。
私の願いはこの魔力の仕組みを使って私の復活と”神”の完全な討伐だ。なぜ、このようなことになったのかは、この前述の研究のせいだ。この魔力分子を変化させたことで、”神”に警戒をされた。これを書く少し前に神殿を訪れたときは、協会から禍々しい気配を感じた。おそらく近いうちに”神”と戦闘になるだろう。なにせ、”神”の目的が私たちを犠牲に広い範囲を支配することなのだ。遅かれ早かれ戦闘になっていただろう。ここで、完全な”神”の討伐方法だが、ゴルドナ中には教会の他に、”神の神殿”と言われる建物がある。ここはそれをモチーフに作っている。神殿の奥には、ここのような本ではなく、オレンジに光った水晶のようなものが置いてある。それを全て破壊すれば、”神”は完全に復活することはなくなる。私はそれを壊すすべを持っていないので、秘策にかけて戦うことにしている。しかし、この水晶がある限りいつかは復活する。私の復活は同じような水晶を集め、それを一か所に集めることで達成される。では、健闘を祈る。
』
なぜ、前半がトレン遺跡と同じような内容で書かれていたのかが少し理解できなかったが、どうやら”神”は復活するらしい。何ならこの本を書いた”大魔法使い”も復活するんだとか…一体どこにそんな水晶があるのやら。今まで見たことないんだけど。とりあえず、今度からは遺跡だけじゃなくて神殿も回る必要があるみたいだ。その後もいろいろ考え、他言無用とあったので、この本の情報をかいつまんでヴァルキーに話すことにした。
「この本の内容は大まかに説明すると”神”の倒し方と”大魔法使い”の復活方法だね。詳細な情報は書かれていなかったけど、まあなんかヤバいことが起きるみたいだ。」
「そうだったのか、”神”といえば我と同じ竜種にブレイズドラゴンがいたが、彼らのいたあたりで白い羽根をはやした人と紫のローブを身に着けた人が戦っていたというのを聞いたことがあるのだ。ちなみに、その連絡があった後、ゴルドナを覆うような大爆発が起き、我以外はみんなやられてしまったのだ。ちょうど我は池の底深くで居眠りしていた助かったがの」
「それはラッキーだったね。じゃ仇討ちじゃないけど、”神”の討伐やる?」
「我はずっと強い相手と戦いたいのだ!リオなら勝てると思うのだ!だからやるのだ!」
「オッケーじゃあ神殿と遺跡探しを続けて”神”討伐と行こう!」
「おうなのだ!」
こうしてオートマ―遺跡の探索を終え、本の後ろにあった財産らしきものをいくつか持ち帰り、帰りに報告書を書きながらギルドへ戻った。
どうも、winger86です。いつも、本作品をありがとうございます。さて、今回はオートマ―遺跡の探索の最後でした。いかがだったでしょうか?本文中ではリオがなぜトレン遺跡と同じような内容が書かれているのか分かっていない様子でしたが、これは時系列が関係しています。トレン遺跡探索時の文章と見比べるとわかるかもしれません。
今週は、筆が取れない日が続き、更新チャプター数が少ないですがご了承ください。それでは、また次回のエピソードでお会いしましょう。




