第25話 いつの間に?①
このお話は、時系列としては理鳳がニュークを急いで飛び出したあたりくらいとなります。
私―カボディアは今日もギルドから依頼を受けて仕事をしていた。最近はひっきりなしに討伐依頼や探索依頼が来るため、全くリオには会えていない。早く会いたいのに!でも、今日の依頼は薬草採取なので早く終わる予定だ。だから、今日はリオの泊まっていた宿に向かうことにした。
「よし!依頼終わり~早速宿に向かうわよ!」
「どうしたんすか?カボディアさん、なんだかご機嫌な様子なんすけど宿って?」
「あ、ああ、なんでもないわ」
「ならいいんすけど…」
そういって私に話しかけてきたのは同じパーティーメンバーのラードンだ。役職は戦士で、持ち前の持久力が売り。彼が攻撃を防いでいる間に私がモンスターに攻撃を仕掛ける。この町にやってきてから最初にパーティーメンバーだったりする。敬語なのは冒険者として先輩の私を敬ってのことらしい。
「そうですよ、ティア、まるでこの依頼が嫌だったみたいに受け取られますよ。まあ、最近は依頼が多くて忙しかったので気持ちは分からなくないですが~」
私に話しかけてきた女性は同じくパーティーメンバーのニトリードである。容姿は自分で言うのもなんだけど、色々なパーツが自分よりも控えめな女性で、小柄なため、基本は荷物持ちと斥侯を担当している。ちなみに私の職業は剣士。私たちは、普段この3人で様々な依頼、クエストをこなしている。私たちのパーティーはフィランデルの中では2番手だ。1番はいつも同じパーティーが取っており、そのパーティーに勝つためにも、そして好きな人と一緒に冒険するためにもリオをパーティーに組み込みたいのだ。
「じゃあ、またね」
「お疲れ様っす!」
「それでは、またですね」
そういってギルドの前で解散した後、真っ先に宿の方へ向かった。すると――
「申し訳ございません、その方でしたら、約1か月ほど前に宿から出発なされました。何も道場に誘われたら鍛錬に行くのだとかどうとか」
「すみません、ありがとうございます…その道場の場所はご存じですか?」
「ハイドさんの名前が挙がっていたのでフィランデル流剣術のエレム教室だと思われます」
「ありがとうございます!向かってみます!」
「はい、お気をつけて~」
そういって、素早くエレム教室へ向かった。
「すみません~個々の教室にリオって方いませんか?」
「リオ君?ああ、彼なら2日ほど前にボスティールの方へ向かうって言ってたな確か」
「え?ここにもいない!?情報ありがとうございます!」
「ちょっと待ちなさい、もしリオ君に会えたら元気でやっているか聞いてくれないか?申し遅れた、私はハイドだ。ここの教室長をしている。頼めるかな?」
「ええ!もちろんです!じゃあすぐにボスティールの方へ向かいます!」
「気を付けて」
結局この道場にもリオの姿はなかった。というか、前に会ってから1か月以上空いているけど1か月もいたのに会えなかったのはこちらの落ち度だわ…次は絶対離さない!ギルドの方へ戻り、パーティーメンバー2人にボスティールへ向かうことを伝えた。
「そんなに会いたがっているならついていきますよ、カボディアさん」
「私も同意見です。あのティアがここまで人に執着するのは初めてですからね、会ってみたいです~」
「よし!決まったわね、じゃあギルドの方へ連絡して、当分の間フィランデルでの依頼を休止することにするわ!」
「「はい!」」
こうして、リオの後を追ってボスティールへ向かった。最速で追いかけるために、ニュークまでの馬車を使い、その日のうちにニュークまでたどり着いた。すると、ニュークの中でもいわゆるギャンブル街と言われる場所に見覚えのある顔の似顔絵が貼ってあるのに気が付いた。
『
お尋ね者:リー
罪状:警備隊からの逃亡および複数人の殺人
報奨金:500万ゴールド
』
「この人相当ギャンブル街でやっちゃった感じっすかね?ここは殺人オッケーなのに、殺人でお尋ね者になるということは…」
「会いたくないですね…どんな凶暴な人かわかりませんから…見た目は全くそういう風に見えないんですけど……?どうしましたティア?驚いた表情をして…」
「私が探しているのはこの人よ…どうして…?」
「「え!?」」
「マジっすか?」
「本当ですか?」
「私が見間違えることないわ!いったい何をしでかしたのかしら…」
「その人ここでやらかしている人なんでやめときましょ!カボディアさん!」
「そうですね、ラードンのいう通りだと思いますよ」
「前に彼に命を助けてもらったの!そんな人がこんなことするはずないわ!そもそも彼は戦闘スキルを一つも持っていなかったはず…」
「途中で身に着けた可能性は?」
「あ!そういえばフィランデル流剣術の道場に通ってたって言ってたわ、じゃあそれで殺した…?」
「あり得るっすね、そん時は戦えなかったから優しかっただけで戦闘スキルを身に着けてから性格変わったとか全然あり得るっすからやめときましょ!」
「いや、私が直接会って確かめるわ!」
「危ないですよ!絶対!そもそも今どこいるか分からないですし」
「ならここのギルドに聞くわ!」
こうして私はニュークのギルドに向かった。
「リオさんはそのままボスティールへ向かわれたんじゃないですか、北の方のエリアで複数人に追われている男性がいたと報告を受けています。どうも、リオさんギャンブル街でドンパチやったようであそこの不良集団から恨みを買ってしまったようです。」
「え、じゃああの町の外にあったお尋ね者の張り紙は?ちゃんと護衛隊の物のように見えましたけど、先ほど連絡があったんですが、この町の警備隊の隊長が不良集団とつながりがあったようで、その人が殺人犯に仕立て上げたと副隊長の方から報告が上がっています。」
「思っていたより事態は深刻のようですね…」
「あれがでっち上げってヤバく無いっすか?この町、警備隊も信用がた落ちな気がするんすけど」
「実際、昨日から警備隊の方に苦情の手紙と人々が押し寄せている状況で今ニュークはかなりごたついていますね…」
「さすが、リオといったところね、とりあえずここにもいないようだし、今日はこの町に一泊してボスティールへ向かいましょ」
「そうですね、急に出発したので疲れました~」
「賛成っす!一旦ゆっくりしましょ!」
そういって、混乱の中でも泊めてくれる宿を探し、そこで一晩ゆっくりした。翌日、事件が起こった。なんと、出発しようとしたところ、ボスティール南部で噴火が発生したようで、道中の安全が確保できるまで進めなくなってしまった。
「災難でしたね~まさかこのタイミングで足止めを食らうとは…」
「どうもあの付近では50年ぶりくらいの噴火だそうっす、50年ぶりが急いでいるこのタイミングで起きないで欲しいっすよね~」
「本当にその通りだわ…どうしてこのタイミングなのやら…あ!そういえばボスティールに向かっている最中のリオは無事なの!?心配になってきちゃった…」
「もうめちゃくちゃ好きなんすね…」
「付き合ってもいないのにこうも惚気られると厳しいですね~はは」
「ああ、ごめんなさい、ちょっと自分の世界に入っちゃったわ…とりあえず安全確保が確認されるまでここで待機するわよ」
他の二人はこれにこくりと頷き、3人でニュークの町を練り歩くことにした。ニュークといえば州侵害は規律の町と言われるほど厳しい警戒態勢が常にひかれている町だ。それも、ゴルドナ中の重要な行政機関が集まっており、ゴルドナ冒険者ギルド本部もここにある。昨日訪れたのは支部だ。本部は事務作業を行うことは無い。だが、現状の街並みを見ていると、どうも本部が動かなければならないほど混沌とした雰囲気を感じる。なにせ、普段活気のあるギャンブル街が閑散としており、逆に中心部がデモで殺伐とした様子をしていた。リオ経った1人が与えた影響はここまで甚大なものとなっているとは…そんな感じのニュークの町を見ながら待機を続け、実際にボスティールへ向かえるようになったのはそこから4日後のことであった。
どうも、winger86です。いつも、本作品をお読みいただきありがとうございます。さて、今回はリオ視点とは一回離れて、ファーストヒロインことカボディア視点の回でした。いかがだったでしょうか?第14話、15話でニュークから逃げたリオが及ぼした影響がこのような形で表れているとは、その内ゴルドナ中で騒がれる存在になることでしょう。楽しみですね。次回以降も別視点のお話が続く予定です。お楽しみに。それでは、また次のエピソードでお会いしましょう。




