第21話 湖の主
ランチェスターの町から離れて数時間が経った頃、ウォンタリー湖この畔を歩き続けていた。
「本当にこの湖大きいな…結構歩いているのに、景色がほとんど変わらない…なんか3時間で着くって感じしないんだよな…」
普通なら、湖畔にある町なら遠くからでも町の位置を確認できるものだが、いくら歩いても湖の反対側は見えてこない上に、町らしき町も見当たらない状況が続いている。さらに、不気味なのは、さっきからずっと太陽の位置が変わっていないことだ。したがって、時間が止まっている可能性がある。
「絶対おかしいんだよなこれ、なんか惑わされているみたいなやつ、この世界って魔法無いんじゃなかったっけ?」
と色々考えていると、湖面が泡立ち始めたのである。その泡は、どんどん大きくなり、やがて水の柱となり、その柱から何かが現れた。
「お主、名は何と申す」
「リオです。そういうあなたは?」
「このウォンタリー湖の主と言われているヴァルキーだ」
「湖の主が僕に何か用ですか?」
「お主からただならぬ雰囲気を感じたのだ。この湖が危ないとな」
「?そんなオーラ出ていました?」
「今も膨大な力のオーラを出し続けているぞ。それでお主の目的は何だ?」
「この先の『デーガ遺跡』に立ち寄るために来ました」
「何!?我の住処を荒らす気か!?許さん!覚悟しろ!」
「別に荒らしはしませんって!!」
湖の主の逆鱗に触れたのか、戦闘が始まってしまった。池の主の見た目は中国の方の龍その物であるため、もちろん攻撃方法も龍であった。いきなり、両手の爪を使って僕を切り裂こうとしてきた。僕は、とっさに横によけつつ、露わになった体にいくつかの斬撃を加えた。
「さすが、主と言われるだけある。初級技じゃ全然刃が通らない…とりあえずいろいろ試してみよう」
「当たり前だ!我がいったい何人もの冒険者を倒してきたと思っている!」
かなりお怒りの様子だ。とりあえず、行動パターンを把握するために、時間稼ぎを始めた。さっきのひっかき攻撃の後、すぐに、大きい体を使った突進攻撃が来た。相当早かったため、よけるのが精いっぱいだった。次に来たのは、ブレス攻撃だった。そのブレスのための時間は相当少なく、一瞬でオレンジに光った太い光線が飛んできた。その光線は僕を追っかけてくるため、しばらくの間よけ続けた。発射が終わり、後ろを見ると、元々あった草木たちはすっかり焼け焦げ、黒い大地と化していた。
「お主やるの! さっきの斬撃は弱かったが、ここまで割れの攻撃をよけられたのは初めてだ。倒してしまうのが惜しいが、仕方がない!ここで終わらせるぞ!」
「僕を倒せる前提で話をしないでくださいよ~とりあえず、あなたの住処は荒らしません!ただなんか書いてあるか知りたいだけです!」
「そんなこと信じれるか!そのような力を持つものがやることと言えば侵略だろう!100年前にも同じような奴が現れたぞ!」
「そうなんですね!じゃあ僕がそんなことしないって教えてあげます!」
ここで、ヴァルキーが話の通じないタイプであることが分かったので、瀕死に近い状態までもっていくことにした。あれ?それだと意味ない?初級技はパワーが出ないので中級技を使ってみることにした。ちょうど、突進爪ひっかき攻撃が来たので、先ほど同様横によけて、さっきよりも強く、たくさんの斬撃を加えた。すると――
「くっ…!!!リオ、ここまで強いとは…我にここまで傷を負わせたのは1000年ぶりだ。本気でやらないといけないようだ!覚悟しろ!」
行動パターンが変わった。さっきよりも動きが早くなり、今まで1パターンだった動きが、不規則になり、突進攻撃、爪引っ掻き攻撃の際には体に青色のオーラをまとい、攻撃を仕掛けてきた。ブレスも、オレンジから青に変化し、先ほどよりも伝わってくる熱の量が大きくなった気がする。
「どうした!我の攻撃にひるんで攻撃が出せないか!ならここでやられろ!」
今までにないブレス光線を爪にまとった渾身の一撃が飛んできた。あまりの速さによけることができず、剣で受け止めた。
「う゛っ…!!!やっぱり剣で受け止めるんじゃなかった…衝撃波が僕の体に…!!!」
「どうだ!!!あとは、トドメだ!!!」
受け止めた際の衝撃で五臓六腑が傷ついた痛みが走った。これにより、先ほどよりも早く動けなくなってしまった。そろそろ決着をつけなければ…!!! 僕は最後の切り札である、上級技を使った。この技は以前コロシアムで使用した技とは違い、単発の威力はやや劣るものの、胴体が大きい相手には大ダメージを与えられる連続斬撃技である。その斬撃は、自分が止めるまでずっと繰り返すことが可能である。僕は、無我夢中で攻撃を続けた。相手が地面に伏したタイミングで攻撃を止めた。
「はぁ…はぁ…はぁ…なん…とか…倒した…けど…体中…痛い…」
「お主…ここまでとは…我の負けだ…我の住処はいくらでも探索するとよい…だが、一つ頼みがある…我も一緒に行かせてくれ…お主の強さを…もっと見ていたいのだ…」
「もう敵意は無いんですね…じゃあ傷直しに…さっさとトゥーロンへ向かいましょう…」
「我の背中に乗れ…といってもお主が付けた傷だらけだがな…はは」
「僕も同じなんで平気ですよ…」
と相応している内に、周りの景色がどんどんゆがみ、するといきなり目の前に湖畔に佇む大きな町が広がった。すると、力が切れたのか、ヴァルキーの体から光があふれだし、自分より一回り若い見た目の女の子に変化したのだ。もちろん、体中斬撃の傷だらけだ。それに気が付いた、町の護衛隊の人たちが、急いで僕たちの物へ駆け寄ってきた。
「大丈夫ですか!!!お二方とも傷が大きいようですので、すぐに診療所までお送りいたします!!!」
「すいません…ありがとうございます…」
護衛隊の人たちが持ってきた担架に乗せられたところで意識を失った。次に意識を取り戻したのはそれから3日後のことであった。ベットの横を見ると、看護師と前に見た水色髪の女の子が座っていた。
「お目覚めになりましたか、調子はどうですか?」
「起きたのか!!!起きないと思って心配したぞ!!!」
「へ?ああ、まだ体を自由に動かせる感じは無いですけど、痛みはほぼないですね。ところで、彼女はどうしてもう動けるのですか?」
「我は龍だからな!体の回復も早いのだ!」
「このヴァルキーさんは運ばれて翌日の朝に目を覚まし、その日の夜には傷が完治してましたよってえ?龍だったんですか!?きゃーーーー!!!」
「やっちまったな…」
「我が何か悪いこと言ったのか?」
「いきなり自分が龍って言ったら嘘か本当かに限らず驚くでしょ普通…」
「そうなのか!今度から気を付けるのだ!」
「遅いよ…」
さっきの看護師はこの話を診療所内に広めてしまったために、トゥーロンの町全体が騒動となってしまった。この事実を知らせるために、ヴァルキーは外へ向かい、ここへ来るときに発した青白い光が再び見えた。どうやら、自分と対決をして負けたことも報告したらしく、僕の治療室は人でごった返すこととなった。人の流れが落ち着いてから――
「あ゛あ゛ーーー!!!疲れたーー!!!全部が全部言う必要ないでしょ…」
「すまないのだ、てへっ♪」
「それで?ついてくるんだっけ?もしかしたらこれから強いモンスターと会うかもしれないからっていうのと、遺跡探索したいから付いてきていいよ」
「いいのか!?やったー!!!」
「相当うれしかったんだな…」
「もちろんなのだ!自分よりも強い相手が現れたときにはその殿方についていくと決めていたからのぉ!」
「ふーん分かった。じゃあこれからよろしくヴァルキー」
「よろしくなのだ!リオ!」
「あれ?そういえば口調変わってね?」
「自分が心を許した相手にはこのしゃべり方だぞ?」
「そうなんすね…」
こうして、トゥーロンに行く前に頼りがいのあるペット(?)を得ることができたのだった。
どうも、winger86です。今回も、最後までお読みいただきありがとうございます。さて、今回で第1章が終わります!少し長いような短いような気がしますが、ここまですべて読んでくださった皆様には感謝申し上げます。今回は投稿頻度変更後初の投稿でもありましたが、いかがだったでしょうか?ちなみに、今のところヒロイン候補は3人ですね~もちろん増えます。ですが、この理鳳君は偉い人なのでしっかり1人選びます。そこは安心してください。そして、もちろんハーレムコメディーのようにも作らないようにします!え?すでにハーレムだって?僕は複数人の異性と移動していたらハーレムという認識なのでセーフです。とまあ、色々話しましたが、今後とも投稿を続けてまいりますので、次の投稿をお楽しみにお待ちください!それでは、また。




