第五話「技能実習授業」
前回までのあらすじ。
新たな学校、新たなクラスでの生活が始まるのだが、
この教室にいるものは基本キャラが濃かった。
それなら良いのだが、最悪なことに、
初っ端から、ヤンキーみたいなのに目をつけられてしまう。果たして、星宮は大丈夫なのだろうか?
初めて異能力に関係する授業をして
わかったことがある。
まず、俺が使っていた占星術のための
念のようなエネルギーは、
「理力」英語名「ether」
と言う物で、人間なら、大なり小なり
誰にでも存在する精神エネルギーのような物らしい。基本的にはこれを体内で循環させれば、身体強化や防御が出来るようになるらしい。
逆に、魔洞達が纏うエネルギーは
「魔力」、英語では「Id ether」または「Id」
次に、異能力だが、異能力はその人に
固有で刻まれている身体能力の延長線
のような物らしいが、詳しいことはブラックボックスで未だ解明されていない。何故なら、おそらくは脳機能の一つだから。と言うのと、誰にでも備わってるわけではなく、ある人とない人がいると言うこと。なればこそ、「異能力は神からのギフト」と、西洋圏では言われているらしい。
ただわかっているのは、異能力発動時も、体内で理力を循環させて消費すらと言うこと。
さっき言い忘れてたけど、
防御の時や単なる身体強化での理力循環も、外に放出するよか理力消費は少ないが、
運動するとカロリーを消費するのと同じように、ちゃんと体内で消費されるらしい。要は理力は、単なるエネルギーではなく、
体の代謝機能の一つなのだとか。
さて次に、魔術史だが、
まず魔術の成り立ちは、
異能力が刻まれていなかった人が、
異能力を持つ者と対等に渡り合うために
作り上げた防衛手段だと言う。
一応なんとなくの知識だけはあったが、
理力を放出し、詠唱に応じた性質に変化させるのが、
第一魔術と言われていて、最も原初の魔術でもある。
第二魔術はすでにある物質に理力で干渉して浮かせたり、別の物質に変化させたりする。
第三魔術は結界術。
高度だが、今では魔法陣の発明や、
魔道具の技術革新で、だいぶ人1人が負う負担が少なくなったとのこと。
そして第四魔術と呼ばれる部類もあるが、
これは「第二の異能力」とも呼ばれる、
その人のみが固有で持つ専用の魔術で、
廉価版を作ることはできても、完全再現は無理だそう。
さて、これから技能実習授業が行われるそうだ。模擬戦闘場に来た。
めっちゃ広い。本物の街みたいだ。
すっごい緊張する……
だって、誰かと拳を交わすのは初めてなんだから。……
と思ったが、一応訓練用武器を貸してくれるらしく、
刀を借りた。
さて、初戦の相手は誰かというと、
俺にはいない。何故なら初めてだから、まずは見学しておけとのこと。
初戦は直虎君が出ていた。
相手は……まだ名前知らない人だ……
柿色の髪の毛をしてる。男の人だ。
ゴリマッチョでめっちゃ強そう。
「日延、久しぶりに手合わせですな」
「そうだな牧田。同じクラスメイトだからと言って手加減はしないよ」
「うむ、」
2人が顔を合わせて、頷くと、
牧田と呼ばれた男の方が、
先に動いた。
すごい速い!
地面凹んだ!?
「フンッ!」
と牧田さんは拳を振りかぶる。
しかし、その時、
不思議なことが起こった!
なんと、まるで暖かい色のスポットライトが、牧田さんを照らすように、
空から、光の柱が降りてきた。そして、
「照射」
と、直虎君が呟くと、
質量を相当持ってそうな眩い光の柱が、
牧田さんに向かって落ちていた!
でも牧田さんも負けてない。
間一髪で後ろに飛び、
避けていた。
すごい手慣れている。
お互いに……
しかも直虎君は、線は細いが、
格闘もいけるクチらしく、
体格差のある相手にも関わらず
渡り合えている。
直虎君が牧田のパンチを受け流し、
飛び上がって顔に蹴りを入れる…
というところで、お互いの動きが止まった。
そして、直虎君はそのまま着地し、
牧田さんとお互いに向き合い、
礼をしていた。
なんか2人とも、清々しい顔をしていた。
でも、一対一なんだ……
と思って神凪先生の方を見た。
「あの、なんで一対一…」
「あー、一対一の理由はね、
取り敢えず反応力を鍛えた方がいいじゃない?
多人数で戦うところを初っ端したら
基礎が育たないからね。
多人数もやるよ?」
「あ、なるほどー!」
納得した。基礎を鍛えてからなんだ。
まぁ確かに、一対一もままならないのに
対多人数なんか無理だもん。
ちなみにその後も続いた、
みんな十人十色…いや、
四十五人四十五色の戦いがある。
あ、いや、治癒術師は前線に出ないか…
と思っていたが、白石さんだけは
何故か武闘派だった。なにそれ怖い…
まぁ異能力の数だけ戦い方があると知った。
でも、桐生将駒は……異能力を
今まで使っていない。
使わずに、当たった相手全てを制圧した。
伊月さんや白石さん以外の相手は全部……
そしてさっき、牧田さんをボコボコにして、桐生が出てきた……
「オイ、次はテメェだ……良いよな?
神凪センセー」
「え?いやぁ……それはまだダメだよ
彼は」
「いえ、大丈夫ですよ……俺、多分
桐生将駒と戦わないといけない気がする……」
多分こいつは、俺のことを気に入ってない。だったら、俺の力で示す。
って言ったって、実践的っぽい
武術は昔ちょっとやったくらいだから、俺死んだかも…
―俺と桐生将駒は対面した。
「将駒くん!よろしくお願いしま―」
「うるせぇな、名前で呼ぶんじゃねぇ。
俺はテメェを認めてねぇぞ、」
「なにが占星術の異能力だ、そんなんでどう戦うってんだァ!?
おい、コラ
ぬるま野朗。
占い師はとっとと帰んな」
親指を立てて首をピッと掻っ切る真似をして、舌を出して煽ってくる。
正直怖い。目も四白眼だから、
余計ギラついて見える……
正直足はすくむけど……
「じゃあ、桐生、俺は準備できてるよ」
「ちっ、チョーシ狂うぜ…ラァ!!!」
ドンッ!
理力が、桐生の足元で爆ぜた。
と思ったらいつの間にか目の前に拳が
やばい回避が間に合わな―
「ベフッ!」
バキッと音が鳴って、俺の視界は天を仰いでいた。
見ていたクラスメイトの何人かが、
騒然とした声をあげていた気がする。
わぁ、綺麗な空だなぁ
頰が痛い……なんて考えていた。
多分気を失わないようにするために脳が必死に捻り出したんだろう。
その途中で、なんとか意識を取り繕い、
なんとか受け身をとって体制を立て直す。
「フゥー、フゥー、・・・」
「あ、なんでまだ立ててんだよ……
テメェ見てェなひょれェ奴は…
今ので一発で沈んできたぞ……」
(なんで……立ててんだ?)
桐生は困惑していた。
確実にクリーンヒットしたはず。
いや、よく見れば打たれた頰が
あまり打撲痕がない。
つまりは、無意識に塞いだ。
(ハッ、マグレかよ……ビックリさせやがって。)
「生意気なそのツラァ、
もっかいぶっ飛ばしてやるよ!
優男さんよォ!!!」
来る…次はどっちだ?
右か?左か?
拳が飛んでくる…
これは、左で右頬!
次は受けれる!
「ぐはっ!」
違うっ!フェイントで本命はガラ空きの胴!
肺の中の空気がッ……
全て出てくるっ……
膝から崩れ落ちる
「ゲホッ、ゲホッ……」
「ダメだ!やっぱり彼には!」
神凪は叫んだ。
まだ早すぎた。早すぎたんだ…
だって戦闘経験なんて…
彼にはこれっぽっちも……
これから鍛えて、それで……
「どうしたどうしたァ!!?
こんなもんかよ!魔洞を倒したっていうヤツ、出してこいやゴラァ!!!」
知らねぇよ、俺も……あんときは必死だったんだわ……
「こんなもんかよ!口ほどにもねぇ、
オイ、根性なしが!テメェなんでここに来た!?」
なんで?……なんでだっけな……
今日言ったばっかなのに、痛みで全部吹っ飛んで……
それ以前に言葉が紡げない……
「はぁ、はぁ、俺は……」
俺はゆっくりと立ち上がる。
「ちっ、まだ元気だ…なっ!!」
両肩を掴まれて寄せられ、
そしてそのまま膝蹴りを腹に食らった。
「がっ……ゲホッ……
俺は……自分が……無力だと思った……」
「あ……?何言って……」
「…たまたま勝てた…でも、なんで勝てたかわかんないんだ……
だけど!……1%でも自分に、
誰かを助けられる力があるって、
知ったから!……」
「……なんで…テメェ、ただのパンピー上がりが……そんな目をできるんだよ」
「俺は……ここに来たんだ!!!」
星辰天環が、展開される。
半透明の青いドームに、星粒が浮いている。
また、あの時みたいに思考がクリアになった。
あの時と順序は逆だが、
確実に、それで何か変わるわけじゃない…勝てないかもしれないと思ったと同時に、負けはしないんじゃないか
とも思っていた。
俺は、腰の訓練用刀を抜いて、
青眼(真正面)に構えた
「なんだよ、これ……
テメェは、何者だ…?いや、なんなんだ?」
(おかしいだろ、異能力ってのは普通……)
ズドンッ!
「……!?」
(このぬるま野郎……
俺が理力を足に込めて爆発させたのを、
真似した?いや、まて、
これは…剣道の踏み込み…!)
ダンッ!
刀は、将駒の右の肩口に
振り下ろされる。
間一髪、彼は避けたが……
(なんで、コイツァ……こんなに…
こんなにも…)
目に曇りがねぇんだ!?
そう、感じた瞬間、彼の中で何か闘志のようなものが湧いた。
「クッソガァ!《大地の響き(フォースオブマグナ)》!!!」
そう叫ぶと、彼の理力がブォンっと
震える。
「ハァァァ!!!」
俺は、刀を翻して、横一閃を繰り出す。
だが、彼の拳は俺の刃を真っ正面から捉えて、裏拳で弾いた。
ガァァン!!
「っ…!?!?」
異質だった……彼の腕の重さが、
何百キロにもなった気がした……
確か彼の異能力は、質量を操る能力か
と言うことは……彼は腕の質量を変えたのか?
なんと言う…暴挙……
しかも、訓練用とはいえ、一応結構硬いだろう刀の刀身を素手で弾いた……
「タァァァァ!!!」
「ウラァァァ!!」
2人の咆哮が重なった、
星宮の剣速は正直言って、
普通より少し早いくらい
異能力者の剣速に慣れている
将駒にとって、ぬるい。
ぬるすぎる。はずだった。
それなのに、全て鋭い。
ように感じた。
「クソが!」
半歩下がって、星宮の前のめりな剣戟
の体勢を崩してから、そのまま蹴りで、
剣ごと腕を蹴り、弾き飛ばしていた。
「っ!?」
弾き飛ばされた!俺の刀が!
体勢も崩されてヤバいっ、
やられるっ
蹴りが飛んでくるのが、視界にうつる。
そのまま顔面で、蹴りを受けて吹き飛ばされてしまった。
地に伏せている。
地面と視界が近い……
「クソ、マジで、何なんだ……何で…
まだ立てる?!」
そう、次の瞬間には、俺は立っていた。
何でだろう、何でこいつに、
認められたいと思っているのだろう。
でも、コイツが認めてくれないと
俺はこれからこの学校で過ごせない。
そんな漠然とした気持ちが、あった。
あの時、追い詰められた時の、
あの感覚に近い。
体の芯が、熱をもつ感じ。
ドクンッ……
と、心臓が鳴る。
将駒は勘づいていた。
何か、来ると。
(ちっ、まだなんか隠し持ってやがるか!)
ドッ!
将駒は一瞬で距離を詰めて、
殴りかかるが、
少しだけ遅かった。
キィィィィン!!!
と言う甲高い音が鳴って、
星宮の掌から、
青白い流星が、将駒の右頬をかすめてゆく。
でも、それと同時に、星宮は左頬に
彼のストレートを直に食らった。
ガッ!!
そして、蹴りを水月に、
モロに食らった。
マジに全ての空気が肺から出てくる。
「カヒュッ…」
と言う掠れた呼吸音ののちに、
かなり咳き込んでしまうが、
まだ沈んではいない。
でももう満身創痍。
神凪は、気が気でなかった。
(助けた方がいいか?
でも、彼は、星宮は、
大丈夫だと言った。
つまりこれは、儀式のようなもの。
私は、生まれの関係上、
そう言った儀式は、邪魔立てできない……だって、彼がそう望んで、
受け入れてるんだから。)
ぎゅっと唇をかみしめて、見守るしかなかった。
一方で、将駒は戦慄していた。
目の前の相手は、苦しそうに伏せているのに、
こちらをその群青に輝く瞳で、
睨んでいる。
「くっ………」
「マジで……何で…っ!」
「ケホッ…ヒュー、ヒュー、
桐生……俺はっ
助けられる可能性のある力を、使えるものにするために、ここに来たんだっ!!!」
ゆっくりと立ち上がり、
星宮は、そう宣言する。
(なん……て、熱い目をしてやがる……
すまし顔の優男がしてた顔か?これが……血みどろになっても、ボコボコになっても……立ち上がりやがる……)
不屈。それは、星宮が剣道部で、主将クラスになれずとも、ある程度の強さの地位を築くまでに手に入れた精神。
掌の上、彼の周りの空間。
そこにある
星のようなものがいっそうの輝きを放つ。
それは、流星を放つ前兆。
将駒は…
「っー……クソ、負けだ負け……」
え?……勝った?……
「持久戦出来ねぇわけじゃねぇけど…
正々堂々…俺と戦った……それは認めるぜ……」
マジか!俺、じゃあ!
「認めてもらえるんだね!桐生くん!」
「うるせぇ!別に完全に認めたわけじゃねぇぞ!」
「……!うん!!」
俺は多分めちゃくちゃ笑顔になってたと思う。なんか嬉しかった。
「ちっ、後桐生くんはやめろや…」
「じゃあ何て…呼べば…?」
「将駒ならいい……ぜ…」
(技術もスピードも俺が上だ。だが、こいつの瞳に映る星は、俺の拳じゃ叩き割れねえ……)
素直じゃない、実に素直じゃない。
しかし、将駒は確かに、
星宮に心を開きつつあった。
「……!将ちゃんって呼んでいい?!」
「何でだよ!いきなり馴れ馴れしいし気持ち悪りぃ!ボケ!
やっぱやめろテメェ!死ね!」
いや、余計なことをしたせいでちょっと閉じてしまった。
何はともあれ、星宮は
このクラスの仲間として、認められた。
なお、この後星宮は、ぶっ倒れて
治癒された。
十五でーす!
ここまで見てくれた愛読者殿!
ありがと!
桐生くんは最初は作る予定なかったキャラでしたが、
やっぱりライバルはいた方がいいよね!
では次回予告!
次回、第六話「異能戦闘技能士試験対策」
乞うご期待!!!




