第十七話「琥珀」
今日、俺は少しだけ調べたいことがあって、
A.S.A.U.防衛大学の中にある大図書室に来ていた。
その調べたいことというのは、
魔洞獣の種類についてと、その対処法だ。
教科書には出てこないものも多いので、もし仮に出てきた時に少しでも足止めしてから逃げられるように準備しておきたいと思ったのだ。
「ふむふむ……まぃ……あんどろす…?
神代からいるけど、最近はあんまり見かけないのかぁ……じゃあこれはいいかな…」
と、ぶつぶつ言っていたら、
「こーんにちわ!面白そうなの読んでますね」
と、後ろからいきなり肩を掴まれ、そして声をかけられた。その声は女性にも男性にも聞こえた。
びっくりして後ろを振り向くと、そこには、自分より少し身長が高く、そして
琥珀色髪の毛と同色の目の色をした
ヨーロッパ風な顔立ちの人が立っていた。
服装は……A.S.A.U.の防衛大学のもの、
白いブレザーに……その上から褐色ベージュのコートのようなマントのような……そんな感じの上着を羽織っていた。そして腰にはシンプルな諸刃の西洋剣を帯びている。
年代はおそらく自分と同じくらいか、
それより少し上。
とても、美しいと思った。
ただ、顔を見てすぐに男の人だと分かった。それでも美しいと思えるほど、
まるでおとぎ話から出てきたような見た目をしていた。
「ごめんごめん、びっくりさせるつもりはなかったんだよ?……僕はルイスベルジュ・マルティネス。ヨーロッパ…その中でもイギリス出身で、このA.S.A.U.防衛大学の生徒さ」
防衛大学生?彼はどう見ても16か17にしか見えない顔立ちだが、相当童顔ということなのだろうか?
「あ、あの…つかぬことをお聞きしますけど、おいくつですか…?」
「ん?あぁ、僕はね、今年で17歳だよ。」
17…?17…!?
17歳で大学に在籍しているのか!?
もしかしてそれって、
「飛び級って、奴でしょうか…?」
「あはは、そんな年違わないんだし畏まらなくていいのに…ま、そういうことです。僕は飛び級でここに入学したんです。」
そんな事、出来るのか……飛び級制度もあるのか……
「あはは、驚いてますね、まぁ無理もない。」
どうやら、彼はヨーロッパにある西洋魔術師協会及びその魔術学校で経験を積んでから、異能力教育の最高峰だと言われている日本で、異能力についても学びたいと思ったそうだ。
「ま、僕の異能力はちょっとしたものなので、あれですけどね」と自嘲気味に話していたが、多分飛び級できるレベルの人のちょっとしたは、だいぶすごいことができると思うのだ。
「あ、そうそう、言い忘れていましたが、僕は西洋魔術師協会の中枢メンバーでもあります。この前も会合がありましてね……」
「え、待ってください、中枢メンバーなんですか!?」
西洋魔術師協会の事は全く知らなかったが、それでも中枢メンバーと言われれば驚く。つまりはその組織の背骨を担う存在なのだから、そんな人が何故ここにいるのか甚だ疑問である。
「まぁ、正確には中枢の一柱『土卿』だけどね。土の魔術師とも呼ばれることがある。……
さて、君はそんな僕が何故ここにいるのか、それを知りたいようだねぇ?」
図星だ。実際知りたい
めちゃくちゃ知りたい。
だってそんなすごい人がこの場にいるのはかなり気になる。
「教えてください…ここに来た目的を…!」
「それはね、……」
ごくり、と生唾を飲み込む。
「それは……?」
「それは……この日本が大好きだからだよ!」
おや、思っていたよりも普通だ
「まぁ、勉強のための留学というのは建前でね、僕は普通に日本に住みたくて、その為の手続きをちょこちょこ進めてるんだけどね!─」
と、彼の熱弁は凄まじかった。
日本のアニメ漫画が大好きで〜とか、
日本人の使う魔術の詠唱がなんかカッコよくて〜とか、
ていうかグリーンシティすごくない!?
こんなちゃんと理想のグリーンシティなのすごいよ!魔道具もいっぱいでさ!とか、とにかく彼は盛り上がっていた。
「こほん……と、僕がここに来たのは、以上の理由です。」
30分にわたる熱弁は終わった。
俺はなんというか、すごく疲れた気がした。
「ごめんね、付き合わせちゃって……
あ、そうだ。お礼にと言ってはなんだけど、僕が得意な土生魔術を教えてあげるよ。」
土生魔術!今まで触れたことがなかったけれど、結構使ってみたいかもしれない!
俺はその条件を飲むことにした。
「今日は……もう次の時間講義があるし、放課後もあまり時間がないから、明日の放課後また会おうね!」
というわけで、次の日にまたここ集合で
彼から土生魔術を教わることになった。
…あ、そういえばLIIN聞くの忘れてたな。




