第十三話「今日は魔術のお勉強」
あの日から、はや3日が経っていた。
その間にも、俺たちは
事後処理任務やちょっとした殲滅任務など、俺たちでも十分こなせる任務を請け負っていた。
ただ、この日は任務を受ける日ではない
この日はちょっとした勉強会なのだ。
主催は伊月。題して『みんなちょっとは魔術を使えるようになろうよの会』
だそうだ、名前が長い。とても長い。
まぁ、要するには前の戦いで、
まともに魔術が使えるのが
伊月一人だと言うことに、
これはやばいと焦りを覚えたのだとか。
白石さんは回復要因だから護身用程度のレベルでいいが、
俺たち戦闘要員は少しは使えるようになった方が身のためなんだとか。
ホントかなぁ?
まぁとにかく、休日で時間もあるし、
と言うことで、
メガネ(多分伊達)をかけた伊月が、俺たちしかいないから
めっちゃがらんとした会議室のホワイトボードに、キュッキュッと、いろいろ書いた後、こっちに向き直って
フフンッと言いたげな顔で話し始めた
「さてさて、今日は授業で習ってる魔術について、私から基礎をまたおさらいする講義を執り行いたいと思います!」
皆で一応拍手をする。
「じゃあまず、基礎から…」
伊月が言うには、
まず魔術と言うのは、理力の流れを完全に外界に接続して、外界の理力を操作する術であるのだと言う。
魔洞を除いた、この星の森羅万象には全てに理力が宿っていて、それに干渉できる術が魔術だと。
その基本となる第一魔術は、空気中の理力の性質を
詠唱によって変えると言うもので、
「魔砲」なんかも同じことらしい。
そして、第一魔術は基本的に
五大元素というものに変質させる。
五大元素とは、
火、水、土、風、光。と言った具合だそうで、それ以外の元素は基本その五つの派生だという。
そしてそれらに詠唱を通じてさらに属性を加えたり、二つ以上の元素を合わせた複合魔術もある。との事
ちなみに、光魔術は光属性ではなく、無属性でありその理由は純粋な理力の光であるから。その辺がごっちゃになりがちなのだそう。
また、魔術の詠唱は、
そのイメージを持つことによってより
形成しやすくなっているそうだ。
次に第二魔術。これは将駒が一番得意とする魔術なようで、
これは形のない理力ではなく、
すでに形のあるものに干渉する魔術で、
物体の操作や、状態の変化、
性質の変化などを行えるらしい。
かつて錬金術と呼ばれたものもここに属しており、その方法は要するに、
魔術的に干渉して、石を粉々に砕いた後にその中にわずかにある銀などの成分に全て塗り替える。と言うことをして、
石を銀や金に変えていたそうだ。
凄いことをできるものだ。
と思ったが、それは今では国際法で禁止になっているとの事。価値が落ちるからだそう。当たり前である。
でもわからないこともある。
「質問です。伊月先生」
「はい!星宮くんなんでしょう?」
「なんで干渉したものを浮かせて
投げられるんですか?」
将駒がやっていた謎技術。
物体に干渉出来るってだけじゃ説明が付かないんだもん気にもなる。
だが返ってきた答えは
「えー、わかんないや。
私も出来るは出来るけど、マジ不思議」
マジか、今の魔術界隈でも謎技術なのか。
使った将駒本人でさえわからないらしい。
そしてどうやら教科書には載ってるけど、原理を説明できる学者がいない
との事だったので、
多分これはかなりの厄ネタだろう。
触れないでおこう。
次は第三魔術
これは結界術。境界で外界と分断して、
その結界の内界に効果を付与したり、
空間を固めて見えない障壁を作ったり、
便利な反面、
汎用性はあまり高くないんだと。
理由は難易度。練習すれば、手のひらの上で簡易的なものを出来る人が多いが、それを天蓋のように人を包めるほどの大きさまで展開できる人は少ない。
ただ努力次第では、いろいろ出来ると。
例えば治癒魔術は結界術の一つだし、
結界に異能力を流して運用したり。
最後は第四魔術
これは、第二の異能力と言われる。
基本的には先天的に刻まれる魔術。
謎が多いらしい。
「講義は以上。じゃ、みんなで実践に行こうか!」
「いや、もう終わろうぜ、昼だしよ」
と将駒が言ったことにより、
この日の授業は終わった。
ただ俺はちょっと個人的に、
基本の「魔砲」だけを教えてもらった。
「火を出すわけじゃないから大丈夫だ。これなら……」
少しはトラウマを克服できるかもしれない…と考えたからだった。
その日はずっと魔術漬けで、とても疲れた。




