第九話「星宮班の初任務」
前回までのあらすじ。
合格証書を受け取り、ついに異能戦闘技能士の認定を受けた星宮は、伊月、将駒、白石、煉の4人で班を組むことになった。
星宮班を結成して、一週間。
公式な申請も通り、
正式に俺たちは「星宮班」として
認められた。
未だ、4級異能士の俺がリーダーなのは何故かはわからないが。
とにかく、今日は俺の…
いや、俺たちの初任務だ。
任務内容はとある東京の郊外に出たと言う微小の特異点の滅却。
俺は、突入前に、点呼を取った
「えー、では、点呼を始めます!」
「伊月」
「はーい」
「将駒」
「おう」
「陽那」
「はいっ」
「煉」
「はいはい…」
「"はい"は一回ね」
「はい…」
「よし、じゃ、全員いるね。
それではこれより、突入します。」
さぁ、これから進軍だ。
楽しみだなぁ、と、ちょっと怖いなぁ
が混じっている。
不思議な感覚だ。
て言うか、なんかみんな
制服とは違う黒くてかっこいい服着てる…デザインはみんな微妙に違う
確か、戦闘服だ…俺も一応支給されたが、しっかりと採寸もしていないし、
急遽用意されました。って感じのサイズ感だが、意外と馴染む。
まぁいいか。
俺を先頭にして、ザクザクと
山の中にある道路を進んでゆく。
果たしてこんなのどかな山に本当に
特異点があるのだろうか……と、思っているとあった。
思いっきり道路の真ん中に。
「うわぁ、マジであったよ…」
と思わず口から漏れてしまう。
「ったりめェだろ。有ったから通報入ってンだよ。」
将駒さん、ごもっともです。
ちなみに特異点は、基本人工衛星で
特異点が起こりそうな魔力が発生している場所を監視しているらしい。
そして今回ここが活性化しかけているから対処しろとの事。
「あーもう!これ早くぶっ潰しちゃお!」
指をポキポキ鳴らしながら、
煉はそう叫ぶ。
出方を見るために観察しろ、
と教わったのでその通りにしていたのだが、
このお嬢様は気が短いらしい。
「ま、早い方がいっか。」
特異点の滅却。それにはいくつか方法がある。一番簡単なのは、小さい自分の結界を使って特異点を包み、結界の外郭を狭めて空間ごと消し去る方法。
もう一つは互いに打ち消し合う性質を持つ理力と魔力をぶつけ合う事。
つまりは異能力で特異点を攻撃し続けてかき消す事。
しかしこっちだと、特異点に刺激を与えて活性化させ、魔洞が湧く可能性がある。
さて、どうしたものか……
一応結界は使える。異能力の占星で使うから。ただ、使えるは使えるが…
滅却用結界は、やり方を教わってないからわからない。習えばよかったミカさんから……
「伊月、滅却結界ってできる?」
と、聞いてみた。そしたら
「結界術は基礎しかできなくて、
ちょっと無理そう…」
と帰ってきた。
白石さんは治癒結界、しかも掌で小さく展開するやつしか出来ない、
将駒と煉は、……言わずもがな
攻撃手だ、、、
見るからに不得手だ。
一応聞いてみたが、
「無理っ!!!」と返ってきた。
どうしたものか…このままでは
先に進まないと思う…
じゃあ、もうやるしか
無くなっちゃったかな。
俺は、特異点に手を伸ばして、
結界を展開してみた。
まずは包むようにして、
次に球状の外郭を徐々に狭くして、
空間を狭める。お?
意外といけるのでは?と思えるほど
中の特異点がちっちゃくなっていた。
が、
バツン!!
と言ったかと思えば、
次の瞬間、特異点がちょっと起きてしまった。
「ヤッバイ…」
後ろに飛び退いて、制式刀を抜き構える。
「総員!戦闘体制!」
と叫ぶと、皆一斉に構えをとる。
伊月は刀を抜き、平青眼に構え、
将駒は拳の手甲を
ガツンッとぶつけ合ってから、
ファイティングポーズをとり、
煉は手と手の間でパチパチと小爆発を起こさせていた。
白石さんは、後ろで待機している。
そうしていると、予想通り、
中から低級の魔洞獣
が、這い出てくる。
もうやるっきゃない!
「はぁぁぁ!!」
俺は魔洞獣を、刀で斬り倒していた、
思ったよりも通る!
これはいけるかもしれない。
特異点は出せる魔洞獣の数に限りが
あるらしい。さっき前述した通りの滅却もあるが、周りに人がいなければ、
こうして魔洞獣を全て倒すことも有効らしい。
俺たちは魔洞獣を
全て倒し切ることにシフトしていた。
俺は流星と刀を駆使して、
将駒は手甲を付けた己が拳に、
異能力《大地の響きを付与して破壊力を上げ、
伊月はお得意の《魔砲》で、砲撃しつつ、刀で近接もしっかり行い、
煉は、爆撃で一気に吹き飛ばしてくれる。
白石さんは、もしも怪我人が出た時のために待機だ。
完璧な陣形だった。
このまま行けると思っていた。
しかし、
急激に魔力が上昇した。
——ピキッ、と嫌な音が鼓膜を刺した。特異点から溢れ出したドス黒い魔力が、形を成して脈打っている。まるで巨大な心臓がそこにあるかのように、周囲の空気が重く震え出した
まるで蛹のような何かが、現れた。
「な、なに、あれ……?」
俺はあんなの初めてみたもんで、
困惑してしまっていた。
ただ、やっぱりみんなは知っているようで、ちょっと焦っている感じがあった。
「……チッ、ただのEクラスにしちゃ、このイドの濃さは異常だぞ」
いの1番にそう呟いたのは、
将駒だった。
多分このパーティにおいては、
適正ギリギリくらいの強さ。
でも、何事も例外はあるわけで
油断はしてはいけない。
そんな相手だと言うことを、
現場にいたメンバー全員が暗に教えてくれていた。
「ま、やるしか無いでしょ。
もしヤバめな奴なら…逃げる。」
珍しく伊月は真剣だった。
いつもハイテンションだから、
こんなトーンで喋るのは本当に珍しい。
横顔がいつにも増して、鋭い。
てことはマジに緊急事態かもしれない。
と思っていた。
兎にも角にも、殲滅しないことには
何も解決しない。
まずはやれるだけのことをやる。
俺たちは、この日初任務にして
初の殲滅任務となったのだ。
十五です。今回少し短いですが、
次回に繋ぐための物語ですので悪しからず
次回!第十話「蛹」




