第七話「いざ!認定試験!」
前回までのあらすじ
星宮は試験に受かるために、
神凪の紹介で、西園寺・J・ミカ(さいおんじ ジェーンズ・ミカ)から、スパルタ的な指導を受けていた。
挑んでボコボコにされ、挑んでボコボコにされ、
友達の協力を受けてから挑んでボコボコにされ…
しかし、2ヶ月が経ったころに、ミカからの最終試験を受けて、無事に合格をもらい、彼はついに試験へと出向くことになった。
そんなこんなで俺、星宮澄空は、
ついに認定試験の当日を迎えた。
ミカさんや、クラスメイトの仲間達も、
いっぱい来てくれて、
俺に協力してくれたんだ。
無碍にするわけにはいかない。
俺は、訓練用刀を引っ提げて会場へと向かった。
視線がいたい。そりゃそうだ
基本的にはA.S.A.U.は中等部で
もう認定資格をとってしまうのが普通らしい。
だから、中等部の制服をした子が多いのだ。
まぁ、ともかく受付嬢に受験票を確認してもらい、中に入った。
試験は、午前の部と午後の部
に分かれている。
午前は筆記。
彼は楽勝だった
……と、思いたい。
ミカさんからの個別指導だけじゃなく、
帰ってからも個人的にやったし、
実際、合ってる合っていないに
関わらず、ちゃんと全部埋められた。
うん、きっと行けたよ。
筆記が終わると次は昼食。
昼食は、なぜか将駒が作ってくれた
手作り弁当。彼、意外と家庭的なのかもしれない。
と思った。
さて、昼休憩が終わると次はついに
「実技…か、緊張するなぁ」
そう、実技だ。
筆記と違い完全なる実力主義。
どれだけお勉強できたって、
ここで合格しなければ何も残らない。
まずは、基礎運動能力を測る試験。
用は普通の体力測定だ。
これは難なく突破。
次は、拳銃の弾丸を的に当てる試験。
9mm弾を半自動式拳銃のマガジンに5発装填しているのを、スライドを引いてチェンバーに弾を込め、狙って撃つ。
簡単なことだが、問題は、
だいたい15m離れたところから
5発中3発当てなければならないと言うこと。
しかし、俺はミカさんに散々標的にされたり、動く標的を撃たされたから、止まっている的は簡単すぎる…
俺は4/5を当てたので無事突破。
ちなみにここで突破できなくても別に他のところでまだ挽回はできるらしい。
次に瞬発力テスト。
こんなのあるって聞いてなかったけど!?
と思ったが、ミカさんの動きに慣れていたせいか、全然行けた。
ありがとう!ミカさん!
そして最後は、実戦試験。
一体何が採点基準かはわからないが、
どうやら、5人一組の班を作って、
仮想都市内に点在する
特異点もどきを、チーム内の結界術師が潰す、確か専門用語では「滅却」と言うのだが、それが出来て一応クリアらしい。
ただ闇雲に潰せばいいと言うものでもないみたいだが。
ちなみになぜ5人一組かと言えば、
どのような総人数であれ、
戦闘要員と治癒要員の比率が、
4:1になる構成が理想的だし、
規則だからだそうだ。
さて俺のチームだが、
1人おとなしそうな女の子「メイ」
治癒術師兼
術者(後方から魔術を放つ役回り)らしい。
「が、頑張りましょうね!」と、
言ってくれた。
2人目は、苛烈な女の子「シキ」
「高等部だか知んないけど、
足引っ張ったら容赦しないから」と、
結構ドギツイ。そして生意気。
彼女は拳銃とサブマシンガンで戦うらしい。
3人目は真面目そうな男の子「リュウキ」
彼は結界術を使えるらしい。
「擬似特異点の滅却は任せてください」
と、言っていた頼もしい。
4人目は、元気一杯の「アキト」
二刀流の剣士。
「足引っ張んなよ!」と、
コイツも生意気だな……
さて、こんな濃いメンバーで構成されたのである。
あ、メンバーは抽選で決まるので、こっちは選びようがないのだ。
そして、リーダーは俺。
無茶だろとは思うが、これは
高等部だしいけるだろ、
と言われて仕方なくやっている。
行けるかなぁ……
まぁ、やるしかない、
試験会場は不思議な結界の中。
その結界に手を触れれば、
瞬間、仮想都市に送り込まれる!
なんだこれすごい!どう言う技術なんだろう?
魔法みたいだ、多分魔術だけど。
俺の即席チームたちも、
四者四様のリアクションをしていた。
そりゃあ驚くよね…
とは言え、俺はリーダーなんだ
しっかり引っ張って行かなきゃ
「よーし、準備できただろうから、
みんな、行こうか!」
「……」
「………」
「…………」
「…」
……あれ、テンション間違えたかな
「まぁ、そうですね!行きましょうか。」
おー!リュウキくん!君はいい子だ!
この空気を打破してくれるとは!
ちょっと出だしは不発だったが
とにかく、最終試験開始だ。
──────────────────
さて、試験開始から15分が経過しようとしていた矢先、擬似特異点と擬似魔洞獣の群れを発見した。
それを見るや否や、メイは魔術を
始動させる。
『神なる息吹よ、
その力は一つへと集約し、
敵を貫く矢とならん』
「【風の矢を放つ魔術】!!!!」
メイがそう唱えると、
メイの周りで風が渦巻き、
まるで矢の様に、圧縮した風を
放っていた。
それが魔洞獣に当たり、怯んだ隙を皮切りに、アキトとシキが突っ込み、
リュウキは支援用結界を展開する。
完璧な陣形だ。
でも俺の指示じゃない。俺は
「各々の得意なことをやってくれ」
と、リーダーとしては最低な
丸投げな命令をしたのだが、
彼らはすごい。
そんな命令でもちゃんと動けてる。
俺も負けてられない。
刀を抜いて、まっすぐ走り出す。狙いは
結界術師が、特異点に近づく為の道を作ること。
俺はとにかく、流星弾と剣戟を駆使して
道をこじ開けた。
ミカさんの動きと比べれば、
こんな魔洞獣大したことない!
「せぁぁぁ!!!」
あとちょっとで、擬似特異点だ。
「リュウキ君!今…」
後ろのリュウキくんに、
そう、言いかけた瞬間だった。
ズドーン!!!と、
擬似特異点のある場所から
音と地響きが聞こえた。
そして、
ガァァァァ!!!
と叫んで、
瓦礫を投げてくる。
俺はそれを受けてしまい、吹き飛ばされ、結構酷い怪我をしてしまった。
「あが……っ、くそっ…なんだこれ……」
リュウキが近づいてきていた。
ダメだ…こっちにきたら……
お前もやられる……
そう言いたいのに、痛すぎて声が出せない……
「大丈夫ですか!?…今メイの所まで運びますから!」
運ぶ?君1人で?一体どうやって…
『二点の位相は今重なり、一つとなるだろう。』
「【転送魔術】」
そういうと、俺と彼のいる空間の地面に
魔術陣が展開して、
蛍光色の緑の光に包まれていた。
次の瞬間には、メイのいる瓦礫の裏に転送されていた。
メイは、リュウキから、何かを言われると、頷いて俺の横に来て、
手を胸の前で組み、詠唱を始めた
『豊穣の女神よ聞き入れたまえ。
私が望むは、癒しの加護。
我が願いのもとに、
その御力で、かの者を癒したまえ』
「【治癒魔術・強】」
俺の周りに半透明の緑色の結界が展開され、優しい光に俺は包まれた。
と同時に、俺の傷はだいぶ癒えていた。
まだ完全じゃない傷もあるが、それでも動けるだけマシだ。
「ありがとう….…とりあえず、あいつを倒さなきゃね…」
とはいえ、出てきた魔洞獣は
でっかい猿みたいな、赤いバケモノ。
魔力の濃度が結構濃い
多分体長3メートルは裕に越すと思う。
この試験こんなのも出るのか…と身構えていたら、
リュウキは衝撃的なことを口にする
「しかし、あれをですか?
あれは中級の魔洞獣、
猩々型の『ヴァスィコキノ』です。
俺たちじゃ到底……」
なるほど、異常事態なのか…
2人萎縮してる。
俺だって怖い…でも、
シキとアキトは戦ってる、
通用しないってわかっても…
ならこのチームの年長者が
そんなのでいいわけない。
中等部のみんながこんなに頑張ってるんだ、俺が一番格好悪い姿を見せるわけにいかない!
しっかりしろ!
相手はこっちを舐め腐ってる。そんな動きをしてる。
もしそうじゃないなら、今すぐにでも殺されてる。
フゥー、と息を吐く、
そして、支給された無線通信機で、指示を出すことにした
『シキ!アキト!俺を援護してほしい!
こいつの相手は俺がするから!
そして、
その間に、リュウキ君は特異点
を潰して!
メイちゃんは、もし俺が吹っ飛ばされた時にすぐに回復をお願い!』
そう指示すると、皆は頷いてくれた。
怖いだろうに、逃げたいだろうに。
だから、俺が仕留めなきゃいけない。
俺が、彼らの希望にならなきゃいけない。
俺は、真っ正面から走り出した。それを確認したデカブツは、長い右腕を横薙ぎに振い、俺を掠め取ろうとした。
だが、
『土を練り上げ固め、
我らを守る為の、
牙城を築け!』
「【石壁を築く魔術】!!」
メイがそう唱えると、俺の足元の地面は隆起して、一気に1メートルほどの
固い土の壁が生えてきた。
その反動を利用して俺は飛び上がり、その腕を避ける。
そして、懐に潜り込んで横薙ぎの一閃を喰らわせた。
が、
ガギン!
デカブツは思っていた以上に硬く、
弾かれてしまう。
だが好機だ。
今ので俺は後ろに回り込んだ。
デカブツは俺を見失ってる。
この瞬間に、もう一回【石壁を築く魔術】で飛び上がって、今度は首を掻き切る
可動する関係上、首はどうしても柔くなる筈。いける…!
メイちゃん!もう一回!
「はい!任せてくださいっ!」
『土を練り上げ固め、
我らを守る為の─』
「え……」
その瞬間、詠唱を阻止する様に、
デカブツは地面に落ちていた瓦礫を、
メイに向かって投げつけていた。
デカブツは俺を見失ったんじゃない。
的確に判断して、
攻撃が通らない俺よりも、
その俺を支援する術者であるメイを先に潰そうとしているのだ。
やばい…この位置じゃ間に合わな……
ガキン!!
「メイ!!早よしろ!あの人を打ち上げるんだよ!」
メイを守ったのは、アキトだった。
「うぉぉぉ!!!」
そのままアキトは、真っ正面から
近づいて、飛び上がってデカブツの目を
一対の剣で潰していた。
そしてメイは静かに頷くと、
再度詠唱を唱える
『土を練り上げ固め、
我らを守る為の、
牙城を築け……』
「【石壁を築く魔術】!!!!」
その瞬間、俺の足元からまた石壁が生えてくる。今度は2メートル級。
だいぶ頑張って理力を捻出してくれたみたいだ。
頑張ってくれたのなら報いなければ
俺は飛び上がった。
でもそれだけじゃ首には届かない。
一歩でも近づきたい。
そう思った瞬間、
流星の理力が、足元に篭り、
推進力を得て俺は近づいていた。
土壇場だ。無意識だ。
でも、運が俺にここまで味方してくれた。
あとは自分の実力で…首を切る!
「でぁぁぁぁ!!!!」
右から左への横薙ぎの一閃。
食い込みはしたが切れない……
くそっ、ここまでか…
否、諦められるはずがない。
このまま押し切る!
さっき流星が足に宿って推進力を得た。
なら刀の刀身もいけるだろう。
「星辰天環……
流星剣!!!」
今咄嗟に考えた名だが、
我ながらいい名前だと思う。
そして、刀の刀身に青白か光る粒子を集まったかと思うと、キィィィィン!!と甲高い音をあげ、流星の如き尾が噴出して、まるでジェット推進の様に刃が進む。
デカブツは
ガァァァァ!!!と、
叫んで抵抗する。
振り回されて落とされそうだ。
そりゃそうだ、見たところ普通に生きている魔洞獣だ。痛みもあるんだろう。
でも、こっちだって
「死ぬわけには……行かないんだよ!!!」
そう叫ぶと、さらに光が強く、
推進力もまた一段と強くなり
そのまま、振り抜き、
奴の首を掻き切った。
魔洞特有の、赤紫ぽい血液が、
噴出する。
「う、うぉあぁぁ!?」
力なく巨体が前に倒れる。
俺も、一緒に地面に転がり落ちてしまった。
「いってて……あ、リュウキは!?」
背中から落ちて、痛む背中をさすりながら、
俺はリュウキを探した。
そしたら、
「オレはここに居ますよ。
擬似特異点も無事、滅却しました。」
よかった。
これで終わったんだ……
その時、試験監督が走ってきた
「皆様方ー!!大丈夫ですか!?」
「はい!大丈夫です。あの魔洞獣はもう倒しましたので!」
魔洞獣は、体の大半が塵と化し、
硬質な牙や素材になる結晶などを残し
崩壊していく。
「そうですか、それはよかった…… なぜあんなものが紛れ込んだのか、至急調査します……
さて…今回は異常事態でしたので、
安全のため、私が転送しますね」
色々あったが、無事、試験は終了した、
中東部の4人とは、別れ際連絡先を交換した。
あぁ、今日は疲れた…帰ったらベッドで寝よう。
──────────────────
ヴァスィコキノの残骸が残る
実戦試験会場に、怪しい影が二つあった。
1人は、
コットンキャンディの様な派手な髪色で、ピンク基調の女児服に身を包んだ、まるで渋谷にいそうな装いの女の子だ。
「フフッ…ねぇねぇ、あの子、凄かったねぇ♡
あーんなにおっきなヴァスィたんを
倒しちゃったんだから♡」
るんるんとした足取りで、小躍りしながら、魔力の残滓が残る地面に近付いていた
「おい、ララ…
オレたちは遊びに来たんじゃねぇんだぞ、」
彼女をララと呼んで、諫めたのは
黒髪短髪で、襟足が長く、襟足のインナーカラーは青色で、白シャツに革ジャン、青いジーパンという装いに身を包んだ、少し背の高い切れ長の青い目を持つ美少年…に見えなくない女の子。
その名は…ジェミラ。
「わかってるよ♡ジェミたん♡
ウチらの仕事は、この子の魔力の残滓集めだもんね♡」
そういうと、残滓に手を伸ばし、
回収をした。
「んふ♡…すっごい濃い♡…」
「おい、なに堪能してんだバカが。
とっとと行くぞ」
「はぁい♡…」
澄空達が試験を突破した裏では、
何かが始まろうとしていた……
いつもありがとう!十五です!
今日は星宮君が試験に行きましたね!
試験といえば、高校入試で合格するために、
先生の方のサポートをめちゃくちゃ受けたのを覚えています。
さぁ!次回予告です!
次回第八話「星宮班結成」
乞うご期待!




