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天星UNFOLD〜占星術士の群青戦記〜  作者: 逢松十五
第1章 A rising stars編
10/29

第六話「異能戦闘技能士試験対策」

前回までのあらすじと今回のあらすじ

なんとか実習で覚悟を示せた星宮だった。

が、しかし、まだ問題は残っている。

それは、彼がまだ異能力を使って戦える者として

公式には認められていない。という事。

あの時の異能発動による撃退も、

一応正当防衛としては認められたが、

本来は取り締まりを受けるものだった。

転入からだいたい3日が経った。

この日、

俺は、衝撃の事実を知った。

そう、学校に入校したはいいものの、

異能を使って戦うには、

異能戦闘技能士資格という免許をとはなければならないと、

神凪先生から聞かされた。

そのきっかけとなったのは、

学生が受けられる任務を受けようとした時の事で、

登録データに資格取得の欄がなかったから受けられなかった。一応任務を受けないと単位が取れないらしいから、本当に困っていたら、電話がかかってきていまに至る。


学校の客間で、俺はいま、神凪先生と

対面している。


「あの、神凪先生…

なんで早く教えてくれなかったんです?」


「えへ、ごめーん!悪気はなかったんだけど、ちょっとこっちもゴタゴタがね?」


それで忘れていたと……ほんとにテキトー教師だなこの人。

一回はぶん殴りたくなるぞって言ってた

将駒の言い分がわかる気がする。


「そうですか、じゃあ、俺は、

資格試験勉強をしろって事ですよね」


「わぁ!物分かりがいーい!」


ため息をついてしまっていた。


「まぁまぁ、私も悪かったと思っているよ。だから、……ミカ入っておいで」


と、誰かを神凪先生が呼び出すと、

扉が開いた。

入ってきたのは、思わず目が奪われてしまうような……パンツスーツ姿の、

綺麗なエルフのお姉さんだった。


「紹介するよ、私の─」


「秘書です。西園寺(さいおんじ)J(ジェーンズ)・ミカと申します。」

「今回、この神凪総司令の命により

あなたの試験勉強を

お手伝い致すこととなりました。」


へぇ……え、神凪先生じゃないの!?


「私は、ほら、ちょっとアレなんだ、

教師業の前に、総司令としての仕事が山積みだ。だから面倒を見てやることが難しいんだなっ♪」


だなっ♪じゃ無いのですが。

この人、教師としての責務を放棄していないか。


「神凪先生、それはちょっとあんまりですよ。」


「ごめんねー!こっちにも事情があるんだよぉ〜…じゃ、

ミカちゃんよろしくね♪」

そう言われた彼女は、

「……全く、あの方は。あなたが『彼』に似ているからと、これほどの手間をかけて……」とぼやいた。

そして彼女は俺に向き直り、こう言い放った。

「はい、御意に…では、星宮さんは

私についてきてもらいます」


「えーーーーー!?」


―さて、そんなこんなあって、

俺は、ミカさん指導のもと

試験に向けた訓練をしていた。

猶予は2ヶ月。

2ヶ月と一週間後に認定試験があるみたいだ

訓練といっても、先ずは

筆記の指導であったのだが

これは割とできた。

そもそも割と歴史の授業や数学や科学を混ぜたような科目に近しく、

資格の認定試験レベルであれば、

中学までの基礎がなっていれば全然

できる程度…と思っていたら、

後半は何を言ってるかちんぷんかんぷんだったので、基礎から教え込んでもらった。

次に実技、

基本的に、必須科目は体術、基礎運動能力、銃撃術、そして刀、ナイフ、槍、薙刀等々、A.S.A.U.に認められている刃物の中から選択する近接武器と、


俺はそもそも基礎運動能力はともかく、

体術があまり身についていない。

なので、みっちりと、しごかれた。


毎回放課後、ボコボコにされて寮に戻るので、結構心配された。


四週間後、

俺は割と実技も身についてきた。

それでも、まだミカさんには届かない。

例えば、初めて武器を使った訓練をした時、

俺は刀なのに対してミカさんは徒手空拳、勝てると思った。体術同士なら技量が大きい方が勝つから俺は負ける。

でも刀を持ったらリーチ分俺に分があると思った。でも、

首をとらえたと思ったら、視界から消えて下から蹴りが飛んできた。

どんな体勢からでも彼女は蹴りを出せた。崩したと思っても、それはわざとで、思わぬ位置から蹴りがくる。

なぜ勝てないのだろうと考えたが、

何も浮かばなかった。


「はー……俺の刀も全部避けられるしなぁ……ほんっと、強すぎるよ…」


「ため息ついてちゃ、幸せ逃げちゃうぞー?」


おっと、この元気そうな声は…


「伊月!!」


どうやら伊月は事後処理の任務を終えてきたらしい。


俺は、伊月に相談した。

どうすれば勝てるのか…と、


「アンタ、覚悟決める前は

及び腰だから、行動が遅れてしまって見切りやすいんじゃない?」


「常に覚悟決めろってこと〜?…

無理無理…アレ疲れるから」


星辰天環(せいしんてんかん)、あれは多分身体強化とか

精神調和の作用がある。何回か使って分かったことだった

でも、流石にずっとはキツい。

一戦闘に一回できたら良い方なのだから


「そうじゃなくて、別にずっと覚悟する必要はないんだってば、相手をよく見て、呼吸を整える。

星辰天環(アレ)を使わなくても、それならいけるでしょ?」


マインドセットってことか、

確かにそれならいける!


と、思っていた。

確かに焦ることは無くなったが、

愚かにも突っ込んでいったことで、

ミカさんの得意技の蹴りを喰らっていた。


「痛い……まだ頬が腫れてる…」


ミカさんの異質さやステップの独特さに気づいたのは

しばらく経ってからだった。

ミカさんは足や体を折りたたむようにした状態から、見えない角度からの蹴りを繰り出してくる。なんかどこかで見たことがあるなーと思った。

そこで、訓練終了後、ミカさんに

その体術について聞いてみた。

すると、彼女は教えてくれた。

なんでも、躰道(タイドウ)

カポエラを極めたことがあるらしく、

その二つの混ぜ合わせが今の体術だそうだ。そうだ、昔動画投稿サイトで躰道の先生の動画を見かけたんだった。と思い出した。


攻め込めばカウンターが、

守りに入ってもするりと抜けて蹴りが入る。

トリッキーすぎて難しかった。


でもかっこいいと思ったのも事実。

なので、休憩時間に教えてもらえないか尋ねた。でも、


「今のあなたは、まず両足を接地した状態でちゃんと戦える基礎を身につけるべきです。ですので、基本をかなり応用している躰道の技は、あまり推奨しません…」


と言われてしまった。

でも、普通の蹴りは教えてくれた。

体重の乗せ方とか、パンチより全然乗せやすかった。バランス崩して後ろにすってんころりん。

なんて事もあったけれど。


そんなこんなで、もう1ヶ月が過ぎようとしていた。


「うっ、ふぅっ、あ、あの!

あ、あと……あと、何秒ですか!」


俺は、プランクをさせられていた。

体幹を鍛える目的のようだけど、

もうかれこれ一億年はやってる感覚だ。

実際は1分だけど、

それでもきつい。最初は1分きっかりだったけど、

俺が軽々出来たので、試されてるわけです。


「腹が下がっているぞ、

ほらどうした!もっと根性見せてみろ!」


あと、この人開始後一週間も経たないうちに、メッキが剥がれたのだが、

スパルタでした。

この時点で、もう2分を超えています。

誰か助けて欲しいものです。

と、思っていたら、

クラスメイトが来た。

風丸くんだ。


よかった、助けが…と思ったら、

なんか風丸くんもし出してしまった。


「やぁ!星宮君ではないか!

殊勝だな!もうかれこれ3分はしているじゃないか!ゼェハァいっているが、

それでもまだ耐えているのはセンスがある!」


ごめん、風丸くん、

俺今もう死にそうなんです。


「はーっはっはっ!おっとすまない!

教官殿!割り込んでしまって!」


「いいえ、ご友人が一緒にいた方が、

星宮様も研鑽できると言うものです。

今度他のクラスメイトも呼んできてください…いいですよね?星宮様。」


「は、はひっ……」


バタンッ!!


「な、星宮君!?星宮君!?

しっかり!」


俺は限界を迎えて倒れてしまった。

結局、5分はプランクが続いたらしい。

十分すぎる、成果だった……


次の日から、将駒も来るようになった。

どうやら風丸くんが、

「星宮君が1人で頑張っている!

皆んなも時間があれば、彼を応援してやって欲しい!」と、

言ってくれたそう。

ありがたいけど、プレッシャーです。


「ちっ、テメェだけマンツーマンで

ミカ教官の試練を受けるとか、

ズリィんだよ

テメェに出し抜かれンのは腹立つんd…!?」


ボカッっと、誰かが将駒の頭をどつく。


「将駒!素直になりなさい」


「あ゛?だがよヒナ…」


「はいはい、負けず嫌いはいいから、

『俺も混ぜてください』。リピートアフターミー?」


「ちっ、俺も参加すんぞ…星宮ァ」


また鉄拳が下る。


さて、1ヶ月と三週間が経つ頃には

将駒と白石さんだけじゃなく、

交流のあった煉や景虎くんも来てくれた。

ちなみに、風丸くんは、彼の率いる

風丸班との訓練もあるから、そんなに長くはいられないらしかった。ちょっと寂しい。


でも、仲間との紆余曲折様々あって、

俺は大分強くなった気がする。


「あー、疲れた……」


この日俺は、あまりにも疲れていて、

寮に帰るや否や、

ベッドに転がり込んでいた。

そしたら、部屋のベルが鳴った。

出てみると、伊月と、将駒がいた。


「やっほ!澄空くん!」


「よ、来たぜ、星宮」


突然の訪問、何があったんだろう?

とにかく部屋に入れた。


「何があったの?」


と聞くと、2人は目を合わせ、

ちょっと頷いていた。

何だ?まじで


「別に?何もねェよ…」


「ちょっと、そうじゃないでしょ!」


「あー!わーってるよ!」


そう言って将駒と、伊月が取り出したのは、

ラッピングがされたプレゼントのような小袋だった。


「え、これって…」


「おまえ、今日誕生日だってな、

神凪センセーから聞いたぜ…」


「だーかーらー、」


「あーもう、わーったっての!」


せーの、と伊月が小声で言うと、


「誕生日おめでとう!」

「誕生日、おめでと。」


あ、そっか、今日か…

そう、何を隠そう

今日4月24日は…

俺の16歳の誕生日だ。

何で忘れてたんだろう……


ってことは2人は、


「テメェが、何が好きかとか、言わねぇし、わかんねぇから、テキトーに

買ったんだよ、悪かったな…

あんまし期待すんなよ……!」


「え、マジ嬉しい……」


思えば俺は、誕生日の日に、

家族からしかプレゼントを貰ったことがない。

友達からLIINのメッセージカードをもらいはしても、こう言うのは初めてだ。


「ありがとう…俺っ、

どんな物でも嬉しいよ!」


と、言うと、伊月は、

やったじゃん!と言わんばかりに

将駒の肩を叩き、

将駒はバツが悪そうに目を逸らしていた。

のちに開けてみると、

翔駒からのプレゼントは「高級な砥石」

伊月からは、「星型のペンダント」おそらくはお守りだろう。

砥石は…使うかはわからないが、手入れに必要だろうさ、ペンダントは…異能力の媒体に良さそうだった。

ここに来て、よかった。


―さて、


かくかくしかじかあったが、

もう、2ヶ月が来ていた。

今日の日は、最終試練。


もし、今日ここでミカさんを倒せれば、

試験に行く許可を貰える。


倒せなければ、もう2ヶ月……

そんなに待っていられない!

やるしかない!この戦い!

負けられない!この戦い!


さて、お互い位置につき

向き合っている。

審判は伊月、

赤色のタグがミカさん、

白色のタグが俺だ。


しかし、やっぱり隙がない。


どうすればいいものか……


と澄空考えている最中、

ミカは思っていた。

(…たった2ヶ月、それでこの隙のなさ…若いっていいわね…吸収が早くて…)

と、


お互い一定の距離が空いた状態で、

縄張り争いをする猫のように、

お互いの出方を探っていた。

俺は切先を相手に向けて、牽制をする。


対するミカさんも、手先を青眼に構え、

牽制をしてくる……


初めに動いたのは、俺だった。


理力強化を足に集中させ、

爆発させる。

でも、その爆発力は最小限じゃないといけない。

何故なら、悟られるから。


一流の異能力者は、最大限の出力でも

悟られないらしい。

それだけ波風立てないような理力操作をするらしい。

俺にはまだそれが出来ない。


だから、最小限の出力をして、

最初の助走と、途中の加速に使う。


今までまともに理力を使ったことがないから、下手に理力を使った攻撃は

すぐに読まれてしまう。

だから、

なるだけ理力を使わずに

決める。


距離を詰め、逆袈裟斬りを仕掛ける。

が、やはりしゃがみ込んだ状態から、

蹴りを仕掛けてくる。でも、

これは何度も見た、

左足がありえない角度から飛んでくる。


「…!」


でも間一髪、体の線を外して


避けた——いや、(かわ)し切った!


そのまま、上段に構えた剣を、

上体を起こしているミカさんの

左肩に向けて、


振り下ろす―


でも、左肩の線を外して

地面に左手をつき、

さらに頭の位置を低くして、

右足を蹴り出す。

俺の頭に向かって…

これは、躰道の代表的な技…

『卍蹴り』…を

彼女なりにやりやすい方法で

組み直したオリジナルの奥義

天翔帰脚(てんしょうききゃく)

と、教えてくれた。


それが放たれる。


左頬が蹴り飛ばされるギリギリで

体を捩りながらの後ろへの側転で

何とか避け切った。でもちょっとかすってしまった……

体勢を立て直して、

刀を構え直す。


「あっぶな……」


「今のを避けるとは……流石に

訓練で見せすぎたか…素晴らしい…」


いや、結構ギリギリだったんですけど。

でも、認められてる!


なんか嬉しい!


俺は不思議と笑顔になった。

その顔を見たミカさんも、楽しそうに微笑んでいた。


俺はそのまま、剣を振り、攻撃を続けた。

その度体を翻したり沈めたりで、

ヒュンヒュン避けられる、

カウンターも来る。

でも、防御は崩さない。

絶対に。


(この少年…星宮君は……かなり

洗練された動きをしてるな。うん、

素養はあったのだろうな……

神凪様…この子は予想以上の出来です。)


「あぁぁぁ!!!」


俺は、闇雲に剣を振り回すフリをした

隙を作るためだ。

全部避けられるが、

ミカさんが後ろにバック転をして避け、着地してできた大きな隙を

俺は見逃さなかった。

すぐに距離を詰めて

上段から振り下ろす。

そして、立った状態で

蹴りを繰り出そうとするミカさんの首筋に刃(殺傷能力ゼロ)を立てる。が、

それと同時に、ミカさんの足も

俺の首筋を捉えていた。


これは…一寸の差で負けた…?


と、ミカさんが足を下ろし、

練習用のジャージの裾を払いながら、

俺に言った


「……これにて

試験は終了です。さ、判定を」


「……」


沈黙……やっぱり判定負け……?

と、審判を務めていた伊月が、俺の

タグの色の旗をあげた。


「合格です…おめでとうございます。

では、一週間後の試験。

頑張ってくださいね」


俺は、パッと笑顔になっていた。


「……っ〜!ぃよっしゃぁぁぁ!!!!」


嬉しかった。心の底から。

報われた気がした。


「こほん……ただし、まだ本番は

来ていません。油断なさらぬように…」


「っ……!はいっ!」

この時、ミカは考えていた。

(澄空さん…あの時に起こした最小限の出力での静かな加速…まだ荒削りですが素晴らしい…)と。しかし彼らはそれを知る由もない…


こうして俺は、試験を受けられることとなった。試験は一週間後。

対策はギリギリまでしよう。

どうもこんにちは十五です!

まずは読んでくれてありがとうございます!

次回は、ついに試験本番!


次回!第七話「いざ!認定試験!」ゲームスタンバイ!

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