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冒険者ギルドが十二歳からしか入れなかったので、サバよみました。  作者: KAME
冒険者の死

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作戦会議

「お帰りなさい。そして遅ればせながら歓迎させてください。ようこそ来てくれました、冒険者のみなさん。どうでしたか、遺跡の方は」


 早足で戻ったけれど兎人族の里に帰れたのはもうほとんど暗くなってしまってからで、里の入り口で神官さんが迎えてくれた。

 袖と裾が深緑色の神官服と、ピンと伸ばした背筋。いつもの神官さんだけれど、僕には少しだけ上機嫌に見えた。


「遺跡の入り口も分からんかったぜ」

「よくもあそこまで放っておいたな」

「中のお宝も囓られてそうだ」

「だから頼りになる冒険者たちを呼んだのです」


 たぶん集会所に入ってくる前にだろう。ウェイン、ニグ、ヒルティースはもうすでに簡単な挨拶はしていたらしくて、軽く手を挙げながら文句を言う。


「駆逐は数日がかりになりそう」

「最終的に解決できるのであれば、時間より確実性を優先してください」


 シェイアの見解は端的だ。けれど神官さんが一番聞きたいことだろう。

 少し時間はかかるが可能。それだけ分かれば十分には違いない。


「こ、このたびは依頼いただきありがとうございますー。誠心誠意がんばりますのでー、どうかお任せくださいー」

「ありがとうございます、イズス神官。ですがわたくしも兎人族のみなさまも戦いますので、あまり無理はしないように」


 ユーネはさすが、同じ神官だけあって丁寧だ。対する神官さんの受け答えもしっかりしている。なんだかユーネが怯えている気がするのは、やっぱり辺境巡回神官という役職のせいだろうか。彼女にとって神官さんは、たぶんヒリエンカの教会で最高に偉い人と同格くらいの立場くらいなのではないか。


「えっと……久しぶり、神官さん」


 僕はどう声をかけようか迷ってしまって、結局普通の挨拶をする。


「ええ、キリ。久しぶりです。息災でしたか?」


 この里の様子を見れば分かる。神官さんはきっと、今日まですごく大変だったんだろう。けれどそれをおくびにも出さず、僕に微笑を見せる。

 こういう人なのだ。


「うん。前より、冒険者らしくなったと思う」


 なんだか懐かしくて、どうしてか聞かれてないことまで答えてしまう。

 この一年でいろいろと経験したし、ランクも上がったし、たぶん強くなってる。だから本当のことだ。

 まあ……もちろん、あの神官さんが大樹を殴ったときに求められた強さには、まだ全然届いていないだろう。だからちょっと、余計だったかなと恥ずかしくなったけれど。


「良いですね。では、活躍を期待しています」

「うん。……うん!」


 神官さんにそう言われて、僕は頷く。

 期待してくれる。なら頑張ろう。特に今回は、以前よりも成長したところを見てもらいたい。僕でもけっこうやれるようになったところを知ってもらいたい。そうして安心してもらいたいし、今回こそは神官さんと肩を並べて戦いたい。

 ――前のように、ゴブリンの大群を前に一人だけのけ者にされて逃がされるような、あんなのはもうゴメンだから。






「蟻は集まっているところを火炎球の魔術で一気に叩くのがいいと思う」


 全員を集めた作戦会議で、シェイアはそう切り出した。

野外での、月光の下での会議だ。全員というのは僕ら冒険者と、ラミルン、里長のサノ、そして神官さんのことで、計十五人。これだけの人数が集まれる場所は兎人族の里だとあの集会所だけだけれど、残念ながらコルクブリズが前里長を含む怪我人たちを説得できなかったため使えない。

 そのため村の中央にある広場で話し合うことになった。


「蟻は夜は巣で休むらしい。朝になったらワラワラ出てくるだろうから、そこにシェイアが火炎球をぶち込めばけっこうまとめて倒せるだろ。それを何回か繰り返して、とにかくまずは数を減らす。ま、単純な作戦だな」

「そうだね。誰でも分かるほどにシンプルで、だからとても有効な作戦だ」


 帰り途中で説明されたから、偵察組はすでにシェイアの考えを把握している。なのでウェインが補足すると、ペリドットが頷いた。

 たぶんウェインでも分かることを擦ってるんだろうけれど、ウェインは戦いに関してはけっこう鋭いところがある。


「ふむ。それならシェイア君を固定砲台にして、周囲を護りに長けた者たちで固めてパーティを作るのはどうだろう」

「まあそうなるだろうな。重戦士のダルダン、護りの術が使えるコルクブリズともう一人前衛、ってところか? とりあえず俺とお前どっちが行く?」

「君に任せるよ。僕は動く方が性に合ってるからね。あとは警戒と連絡役に兎人族の耳があると嬉しいけれど、ラミルン君お願いできるかい?」


 流れるようにメインのパーティが決まっていく。魔術はけっこう遠くまで届くけれど、近い方が威力的にも魔力効率的にも有利だ。

 何発も撃ち込むならシェイアはある程度蟻の群に近づく必要があるから、強い人たちで護りを固めるのは当然。そこにラミルンが入っているのは、テテニーに別の役目があるからだろうか。


 僕はペリドットの意図を考える。ペリドット、テテニーをメインに配置しない理由……たぶんメインパーティが不意打ちを受けないよう、周囲警戒に回るのだろう。

 巣穴の出入り口が一つとは限らないから、メインパーティが不意打ちを受けたりいつの間にか囲まれたりなんて事態もありうる。そういうのを未然に防ぐために動き回る役だろうか。

 もしそうなら、僕もその役になりそうだ。


「少しいい?」


 寄せ集めのような一行だけれど、四日も行動を共にしていれば話し合いの時などの役割もできてくる。

 慎重な意見を言うのはチッカの役割だ。


「火炎球を使うのは反対だよ。威力がありすぎる。蟻は遺跡に巣を作っているらしいけど、蟻らしく地中に巣を広げてるんでしょ? 最悪、遺跡が崩壊する」


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― 新着の感想 ―
[一言] 神官さんの前で子供っぽくなっちゃうキリくんかわいい
[一言] 退治目的なら埋まってもOKかなぁ
[一言] アリの巣にはやっぱ水攻めだよなぁ?
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