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仮面騎士 第1話。

ここからは英雄が生まれる前のお話。

ラックがどうして英雄になったか過去から辿っていくお話。

王家の元に生まれた男として幼い頃から強くなりたいという想いがある彼にとって自分の生まれ持った容姿にはかなり不満があった。幼いため筋肉は少なく細い体に加えて母親に似て可愛らしい顔つきに可愛らしい声のため周りからは女の子のように可愛いと言われ続けてきた。彼にとってその評価はかなり嫌だった。特に上のきょうだいからよくその事でからかわれていたため彼はますます自分の容姿が嫌いになった。そのせいで人前で姿を表す事は滅多になくなり、外出する時は仮面をつけるようになってしまった。家族や使用人達からは仮面を外すよう何度も言われたが、彼は頑なに仮面を外さなかった。


それから時間は流れ、成長し騎士になった彼は日々の鍛錬を怠らなかった。その間も仮面を外さなかったため他の騎士達からはかなり不振がられたが、とっくの昔にそのような視線に慣れてしまった彼は気にしなかった。体つきは男らしくはなったが、顔つきはどうにもならなかった。愛らしさは減ったが童顔で実年齢よりも幼く見える上に声はあまり低くならなかったため騎士になっても仮面はつけたまま日々を過ごしていた。そのせいで人々から『仮面王子』と呼ばれているが、顔を晒すくらいならばと影でその名前で呼ばれる事を容認していた。家族や使用人達はもう彼の仮面を外す事を諦めていた。

王位継承権が低いからなのか仮面をつけて変に目立っているせいなのか他の騎士達から親のおかげで騎士になれただの醜い容姿だから仮面をつけているのだと陰口を叩かれている。しかし彼はそんな事知った事かと鍛錬を怠らず成果を出していった。実績を出し出世し騎士としての階級が上がり、やがて異例の若さで騎士団団長となった頃にはもう誰も彼の陰口を言わなくなった。


騎士団団長になった事で実力と自信がついた彼はもう自分の顔について劣等感を抱かなくなった。容姿を言い訳に卑屈になる事をやめたのだ。

しかしここで新たな問題が浮上してしまった。


仮面を外す機会がないのだ。


彼はこれまで様々な困難に直面してきた。強敵と戦う時、他の騎士達からのいじめ、急な悪天候などなど。その度に仮面が外れかける危機に陥ってきたが、その度にとっさの機転や運のおかげその危機を乗り越えてきた。

そして騎士団長となった今、彼の素顔を知る者は父と母と上のきょうだい達と数名の使用人達だけ。他の者達は彼の素顔を知らない。何せ彼は他人の前で仮面を外す事もせず、人前で仮面を紛失または破損などしなかったからだ。

そんな状況が長引いてしまったせいで続き多くの人達から仮面は彼の象徴として認識されてしまう。街で彼がいつもつけている物を模した仮面まで売られるようになってしまうくらいだ。

嫌われているわけではない。むしろ彼は優秀な騎士団団長として皆に好かれ期待されている。しかし仮面を外すか否か悩む彼にとってこの状況は大きな問題だ。今更仮面を外した時、皆からどのような反応が来るのか分からず怖いからだ。


もしがっかりされたらどうしよう。

もし何で今更外すんだよと責められたらどうしよう。

もし皆に嫌われたらどうしよう。


そんな考えが頭の中でぐるぐるとめぐってしまうため結局彼は仮面を外す事ができなくなってしまった。


しかし、ある日彼はついに仮面を外す事になる。

しかし、それは彼が素顔を見せるだけではない。別の仮面を付け替える為でもある。

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