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真相 1

とうとう解決編です!

 その日の夕方。リビングには、和歌山県警の二人と卯月、そしてもう一人の人物がいた。伊勢崎は、向かい合って座ったその人物に向かって話し掛ける。


「山下志保さんを殺害したのは、あなたですね。……大道さん」


 大道進は、困ったような笑顔でふうと息を吐くと、静かに言った。


「……出来る事なら、まだ捕まりたくなかったんですけどね。否定し続ける気力も無い……。そうです、私が山下さんを手に掛けました」


 伊勢崎は、静かに頷いて言葉を続ける。


「詳しい事は署で伺いましょうか。バスは後で署の者に引き上げさせましょう」


 立ち上がりかけた大道は、ふと思いついたように言った。


「そう言えば、何故私が犯人だと分かったんですか?……ああいや、犯行がバレずに済む方法を知りたいとかじゃないんです。ただ純粋に疑問に思ったもので……」


 伊勢崎は、考えるように宙に視線を彷徨わせた後、落ち着いた声で答える。


「まあ、少し署への移動が遅くなるくらい良いでしょう。……白鐘さん、説明をお願い出来ますか?」


 伊勢崎の左隣に座っていた卯月は、頷いて口を開いた。


「あなたを疑うきっかけとなったのは、西尾若葉さんの疑問に対するあなたの反応でした」

「私の反応?」


 卯月は、淡々と言葉を続ける。


「昨夜二十時頃、西尾さんは男性の悲鳴を聞きました。そして先程リビングで、結局あの悲鳴の原因は何だったのかと西尾さんは問い掛けましたね。その時、高嶋洋太郎さんはすぐに悲鳴を上げたのは自分じゃないと答えました。でも、あなたは何も反応しませんでしたね。何故否定しなかったんですか?」

「え、それは……悲鳴を上げたのは私じゃ無いとすぐに分かってもらえると思って……あ……!」


 大道は、言い終わらない内に目を丸くした。卯月は、不敵な笑みを浮かべる。


「気が付いたようですね。あなたが悲鳴を上げていないと判断する理由として考えられるのは、悲鳴の声が甲高かったから。あなたの声は低く、とても甲高い声を出せそうにないですからね。でも、どうしてあなたは悲鳴が『甲高い』と知っていたのでしょう? 私が事情聴取した時は、何も不審な物音を聞かなかったと言っていたのに」


 卯月は、コレクションルームで秀一郎から聞いた推理を思い出していた。




 秀一郎は、椅子に座ったまま真顔で言う。


「大道進が悲鳴を聞いていたのに聞いていないと言った理由。それは、悲鳴が聞こえる位置にいた事を知られたくなかったからだ」

「どういう事でしょう?」


 卯月が聞くと、秀一郎は腕組みをして答えた。


「恐らく、大道進は堀江君が悲鳴を上げた時、東の上階段の辺りにいたんだろう。目的は、302号室にいる山下志保と何らかの話をする為。しかし、堀江君達が廊下で話を始めたので、一旦引き上げたんだ。何の為に三階に来たのか聞かれたくなかったんだろうな」


 そして、皆がいなくなったのを確認した大道は改めて302号室を訪問。どんな経緯があったのかは知らないが、彼は突発的に山下志保を殺害。


 301号室にいた西尾若葉が争う物音を聞いていない事等を考えると、応接室かどこかに志保を呼び出して殺害し、遺体を302号室に運び込んだのかもしれない。

 その辺りは、本人の供述を聞いてみないと分からないが。


あと残り2話!

最後までお付き合い頂けると嬉しいです!

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