豹変
とうとう花音が本領を発揮!?
その後、皆は食堂に集まり、一緒にレトルトカレーを食べた。食事が終わると、花音が雅人に向かって言う。
「……あの、堀江先生。一緒にお手洗いまで付いて来てくれませんか? こんな状況ですし、一人だとちょっと……」
雅人は、頷いた後卯月の方に向かって声を掛けた。
「二人でお手洗いに行くのは大丈夫ですよね、白鐘さん」
卯月は、「はい」とだけ言って頷いた。
花音と雅人が食堂を出て行った一分後。卯月もトイレに行こうと食堂を後にする。トイレの前まで来た卯月は、目を見開いた。花音と雅人がいない。トイレのドアは、三十度くらいの角度で開いたまま。
何かあったのか。卯月は、内心焦りながら部屋を見て回った。美智留と大道には申し訳ないが、寝室、リビング、キッチンを覗く。誰もいない。
卯月が二階まで上がった所で、大きな声がした。
「え、犯人の目星がついた!?」
卯月は、一瞬足を止める。この声、コレクションルームからだ。卯月は早足でコレクションルームの前まで行き、ドアをバンと開ける。思った通り中には花音と雅人がおり、二人は目を見開いてこちらを振り返った。
「……お二人共、コレクションルームに行くなんて聞いてませんよ。勝手な行動は慎んで頂きたいのですが」
卯月が眉を顰めて言うと、申し訳なさそうに雅人が頭を下げる。
「すみません、白鐘さん。木下さんから二人きりで話したい事があると言われて、つい……」
花音も、「すみません……」と頭を下げた。
卯月は、小さく溜息を吐く。二人が無事で良かった。……ところで、先程雅人は、聞き捨てならないセリフを言わなかっただろうか。
「……堀江先生。あなた、先程『犯人の目星がついた』って言いませんでした?」
聞かれた雅人は、言葉に詰まりながら花音の方を見る。
「えーと……それは……」
花音は、少し考えた後、雅人の方に向き直って言った。
「堀江先生。事件については、あの人が説明します。その……交代出来ると思うので……」
交代? 何の事だろう。雅人は、心配そうに花音を見て「本当に大丈夫?」と聞いている。
花音は、ゆっくりと頷いて答えた。
「はい。椅子に座って落ち着けば、交代出来ますから」
そして、花音はコレクションルームに一脚だけある木製の椅子に腰かける。次の瞬間、花音の目が虚ろになり、しばらくするとまた彼女の瞳に光が宿った。
彼女は、鋭い目付きで雅人と卯月を見つめると、胸の前で両手の指を絡ませる。そして、怪しい笑みを浮かべると、こう言った。
「やあ、こんにちは、堀江君。そして、初めまして。捜査一課の白鐘卯月君」
花音が豹変!
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