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俺が異世界転生したら女魔法使いだったが、新制服がエロすぎたので全力で抵抗することにした  作者: 竹屋 兼衛門


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第22話:生徒会長とバトル

生徒会長と俺は、水浸しになった決闘場で対峙していた。


足元の水は冷たく、踏み込むたびに波紋が広がる。


土の巨人と≪水蛇ヒュドラー≫が殴り合う。


空気が震える。


水しぶきが顔を叩く。


視界が、一瞬で潰れた。


俺は水で作ったサーフボードに乗り、

水面を滑るように高速移動する。


巨人の拳が水柱を上げて落ちてくるが、

その衝撃波すら風のようにすり抜けた。


対して、生徒会長の土の巨人は異様なほど硬い。


砕いても砕いても、土が蠢き、すぐに再生する。


どれだけ殴り合ったか、もう分からない。


時間の感覚が消えている。


ただ――決定打だけが、見えない。


そのうち、騒ぎを聞きつけた生徒たちが

決闘場の周囲に集まり始めた。


ざわめきが波のように広がる。


【風紀委員長】

「あの巨人がいるという事は生徒会長が戦っておられるのですね!」


風紀委員長がやってくるなり王子に問いかける。


【王子】

「おお、風紀委員長か」


【王子】

「さようだ、今、テレーヌが戦っておるのだ」


王子は風紀委員長の裏切りも気にしていない様子。


普通に答える。


器がデカイのか…。


【風紀委員長】

「相手はヴァトリナ?リベンジマッチという事ですか…。」


【王子】

「さて、そなたは、どちらを応援する?」


【風紀委員長】

「あ、いえ。俺は校則に従うだけです。

 どちらかに肩入れするつもりはありません」


【サーブル】

「よく言う」


【ムスカール】

「だから人望がないのだ」


【風紀委員長】

「ぐむむ」


風紀委員長の不憫さに王子は助け船をだす。


【王子】

「正直に言っても、咎めはせん」


【風紀委員長】

「では……生徒会長です」


【風紀委員長】

「ごらんの通り新制服を愛する者どうしですから」


王子の顔が明るくなった。


【王子】

「ほう」


【王子】

「では、共に応援しようではないか」


【風紀委員長】

「はっ」


【風紀委員長】

「フレー!!フレー!!生徒会長!!」


……うるせぇ。


土の巨人の指先から弾丸が俺に向かって降る。


俺はそれを高速移動で躱し、弾丸の発射された穴に向かって水を打ち込む。


【ヴァトリナ】

「武器は壊させて貰う」


土の巨人の指先が崩れる、が直ぐに再生する。


【生徒会長】

「無駄ですわよ」


【生徒会長】

「ですが、そうウロチョロされても面倒ですわね」


いくつもの土の壁が生える。


【ヴァトリナ】

「それも無駄だっての」


水蛇ヒュドラーが唸りを上げて突進し、土壁を紙のように全て裂いた。


どちらも攻撃が通らない。


本体への攻撃をするキッカケが見つからない。


【生徒会長】

「見えてきましたわね」


【生徒会長】

「貴方の能力の弱点が」


【ヴァトリナ】

「ほう、この俺の弱点を見つけたってわけか?」


【生徒会長】

「ええ、操れる水の条件ですわ」


【生徒会長】

「血は操れない」


【生徒会長】

「そして泥水も操れない」


そうだ、俺はある程度の透明度がある水しか操れない。


【生徒会長】

「つまり、飲める水しか操れない」


…何だって?


【風紀委員長】

「つまり、アレを飲むだと!?」


【風紀委員長】

「それって、それって」


【風紀委員長】

「…俺の性癖に新たな可能性が開けた!!」


【サーブル】

「こんな変態が風紀委員長をやっているのか?この学園狂ってるぞ」


【王子】

「性癖?どういう事か?」


【ヴェーラ】

「殿下!この人の言う事を聴いてはいけません!!」


【総書記長】

「では私が解説しましょう」


【ヴェーラ】

「辞めてください総書記長!」


なんだかあらぬ誤解が広がっているような…。


【ムスカール】

「おい!ヴァトリナ!!

 本当にそんな選別方法なのか?」


【ヴァトリナ】

「ち、違うわボケ!!

 透明度だ、透明度!」


言ってしまった。


だが、変態扱いされるよりマシだ。


【生徒会長】

「なるほど。なるほど」


【生徒会長】

「それでは、この攻撃は通用しますわね」


生徒会長は地面を揺らす。


いや、違う。


土を水に溶かしていっているんだ。


水が濁り、鼻に土の匂いが刺さる。


水蛇ヒュドラーが維持できなくなる。


【ヴァトリナ】

「不味い。これは本気でヤバい流れだ」


俺は水の流れる元へ移動する。


まだ汚されていない水のある川へ。


【生徒会長】

「おーほっほっほ」


【生徒会長】

「逃がしませんわよ」


とはいえ――


土の巨人の移動は水面移動をする俺より速くはない。


距離が出来る。


【ブラーサル】

「あれ?ヴァトリナ、苦戦してる感じ?」


岩で川を堰き止めている場所までたどり着いた。


【ヴァトリナ】

「ああ。とんでもないぜ。あの生徒会長」


【ブラーサル】

「じゃあ、降参しちゃう?」


【ブラーサル】

「生徒会長が新制服を着る事が出来るようになるだけなんだし」


【ヴァトリナ】

「そうもいかなくなっちまってな」


【ブラーサル】

「でも、ここから何とかする方法ってある?」


【ヴァトリナ】

「新必殺技だ」


【ブラーサル】

「え?研究中のアレをやるの?」


俺がこの魔法学園で今まで研究してきた魔法だ。


前世の知識を応用した至高の魔法。


【ヴァトリナ】

「そうだ、アレだ」


【ブラーサル】

「うーん。アレ未完成だったでしょ?

 それに威力強すぎない?」


【ヴァトリナ】

「そこは大丈夫だろ。めちゃ頑丈な相手だからな」


【ヴァトリナ】

「……多分」


【ブラーサル】

「おい!」


俺は新必殺技の為に魔力を練る。


――これ、外したら終わるな。


いや。


当たっても、どうなるか分からん。


生徒会長の操る土の巨人が見えてきた。


【生徒会長】

「あらあら、鬼ごっこはお終いですわね」


【ヴァトリナ】

「ああ、ここでお前を倒す」


俺は川の水を操り土の巨人を包み込む。


【生徒会長】

「泥水は操れないのでしょう?」


巨人の足元から泥の汚れが登ってくる。


【ヴァトリナ】

「なんの!」


俺は水流で巨人を持ち上げる。


【生徒会長】

「こ、このパワー…」


【生徒会長】

「しかし、持ち上げたくらいで何が出来るというの…」


その声には焦りが混じっていた。


【ヴァトリナ】

「――見せてやるよ」


【ヴァトリナ】

「水ってのはな」


【ヴァトリナ】

「ただ濡れるだけのもんじゃねぇ」


水が、震える。


細かく。

細かく。


目に見えないほどに。


【ヴァトリナ】

「圧縮して――」


【ヴァトリナ】

「ぶっ壊すもんだ」


水が、軋む。


空気が、鳴る。


耳じゃない。


身体の内側で鳴っている。


――嫌な音だ。


一点。


水が集まる。


そして――


光った。


【ヴァトリナ】

「≪水鳴爆光ソノルミネッセンス≫」


――閃光。


次の瞬間。


【生徒会長】

「くっ…」


【生徒会長】

「うわあぁぁぁぁ!!」


土の巨人が――


内側から、崩れた。


鈍い破砕音が連なり、

巨体が音を立てて瓦解していく。


遅れて――地面が揺れた。


水面が跳ねる。


空気が、遅れて震える。


……やりすぎたか。


これ、やっぱり――

人に向けていい魔法じゃない。


【ブラーサル】

「やったか?」


返事はない。


誰も、動かない。


水の音だけが、やけに大きく響いている。


静寂。


その中で――


“音”がした。


瓦礫の奥から。


何かが、動いている。


【生徒会長】

「……本当に、これで終わりだと思って?」


崩れた土の奥。


砕けた巨体の“中”から、


ゆっくりと――姿が現れる。


【生徒会長】

「たいした攻撃でしたわ。ヴァトリナさん」


【ヴァトリナ】

「これを耐えられるとは、お前の防御力もたいしたもんだよ」


【生徒会長】

「ふっ、でも…もうワタクシの魔力は尽きましたわ」


【ヴァトリナ】

「ははは、奇遇だな。俺もだよ」


【生徒会長】

「でしたら、決着の付け方は…」


【ヴァトリナ】

「そうだな、やっぱり」


【ヴァトリナ&生徒会長】

「殴り合い!」


【生徒会長】

「ですわ!」


拳が、ぶつかる。


音が、消える。


世界が、白く弾けた。


――そして。


誰かが、息を呑んだ。


――魔法なんて、関係ない。


ここからは、人間の勝負だ。


どっちが勝ったかなんて――

この瞬間、どうでもよかった。


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