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俺が異世界転生したら女魔法使いだったが、新制服がエロすぎたので全力で抵抗することにした  作者: 竹屋 兼衛門


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第18話:王子 VS 全校生徒

俺は、ドラゴンと化した王子と対峙している。


だが――戦場は、すでにこちらのものだ。


主導権は、完全に握っている。


俺は知っている。

あの男が、この状況で何を失っているのかを。


王子の勝ち筋。

水を奪うその一手は、イーシアが潰した。


ヴェーラも、風紀委員長も。

誰一人として、それを覆せない。


ならば――


あとは沈めるだけだ。


【ヴァトリナ】

「どうした?王子様」


【ヴァトリナ】

「もう削られるだけか?」


【王子】

「……」


【王子】

「ままならんものだな」


【ヴァトリナ】

「だろ?」


俺は微笑む。


【王子】

「何が可笑しい」


【ヴァトリナ】

「お前が認めなかった輝きが」


【ヴァトリナ】

「俺も知らなかった輝きが」


【ヴァトリナ】

「ただただ眩しくてな」


王子は吠える。


【王子】

「認めるわけにはいかん!」


一呼吸。


【王子】

「…やはり余が示さねばならんか」


【王子】

「真の輝きという物を」


【王子】

「幻獣変化! アイスドラゴン!!」


王子の色が青く変わる。


事前に聴いていた王子の使う魔法の最終形態。


氷を使うドラゴンだ。


俺は急いで予定している位置に水を移動させる。


【王子】

「アイスブレス」


王子は冷気の息を吐く。


周囲の水を凍らせる。


【王子】

「気体ではなく、個体に変えた」


【王子】

「そなたの術を封じた」


【王子】

「これが現実だ」


【ヴァトリナ】

「それは、どうかな?」


【ヴァトリナ】

「おい!ブラーサル!出番だ」


【ブラーサル】

「ホントにやりたくないんだけど……えい」


体育館に設置してあったモニュメントが燃え上がる。


そしてドラゴンに向かって倒れる。


【王子】

「ぐわ」


【風紀委員長】

「おい。もうイーシアはいい。アイツを止めろ」


【ブラーサル】

「あわわわ。早く次へ行かないと」


【ムスカール】

「風紀委員長を行かせるな」


【イーシア】

「……これ。私も風紀委員長を退治にいける展開かしら?」


【風紀委員長】

「ひぇぇ」


【ピューイ】

「風紀委員長、ここは我らが足止めします」


【風紀委員長】

「お、おう!任せた」


【サーブル】

「行かせんよ」


サーブルが杖を向けるが…。


ヴェーラの弾丸がサーブルの肩に当たる。


【ヴェーラ】

「アナタたちの相手は私です」


【サーブル】

「くっ。すまん、ブラーサル!頼んだぞ!!」


ブラーサルは風紀委員長に追いかけられながらモニュメントに火をつけて回る。


モニュメントがドラゴンに向かって倒れる。


【王子】

「くっ……」


【ヴァトリナ】

「どうだ?」


【ヴァトリナ】

「アイスドラゴンの体には、この炎はつらいだろ?」


モニュメントの火で凍った水が液体に戻る。


【ヴァトリナ】

「水もこの通り」


【ヴァトリナ】

「これが現実だ、王子様」


【王子】

「……なぜだ」


【王子】

「なぜ、凍らせたはずの水が……」


【王子】

「……」


【王子】

「罠を仕掛けていたのだな」


【ヴァトリナ】

「んな訳ねーだろ」


【ヴァトリナ】

「俺は決闘場に行こうって言っただろ」


――もちろん、嘘だ。


この場で正直になる理由もないし、

教えてやる義理もない。


【王子】

「……」


王子は総書記長を見る。


【王子】

「そなたか?総書記長」


【総書記長】

「……殿下」


【総書記長】

「これは裏切りではありません」


【総書記長】

「是正です」


そうか、言ってしまうのか。


【王子】

「なぜだ!なぜ」


【総書記長】

「殿下は権力を振るい過ぎました」


【王子】

「余はそなたを信用していたのだぞ」


総書記長は笑う。


【総書記長】

「殿下が信用を口にするのですか?」


【総書記長】

「才能ばかりにかまけて」


【総書記長】

「信用を軽んじていた殿下が」


【王子】

「……」


【ブラーサル】

「……これで、終わりだ」


【風紀委員長】

「おらぁ。捕まえた」


風紀委員長がブラーサルにタックルした。


【ブラーサル】

「痛てて。でも、ちょっと遅かったね」


油の入った燃えるくす玉がアイスドラゴンに堕ちる。


【王子】

「ぐおおおお」


アイスドラゴンが燃える。


【総書記長】

「ああ、殿下!殿下ー!」


【ヴァトリナ】

「これで終わりだ。降参しろ」


だが――


ドラゴンは炎を振り払うように、

その巨体を床へと叩きつけた。


……違う。


火を消そうとしているんじゃない。


もう一度、叩きつける。


床が――軋む。


【ヴァトリナ】

(まさか……)


理解が追いつく。


こいつは――


戦場ごと、壊す気だ。


だが、止められない。


水を撃てば、炎が消える。


この優位が崩れる。


――なら、賭けるしかない。


床が持つか。

王子が折れるか。


だが――


ドラゴンは大きく跳び上がり、

その全質量を叩きつけた。


轟音。


床が、砕ける。


体育館の基礎ごと、抉り取られる。


炎も、モニュメントも――


すべてが、土の中へ沈んだ。


【王子】

「これで――」


【王子】

「火は消えた」


【ヴァトリナ】

「まさか、そこまでするとはな」


砕けた床の下。


土の中から――


ドラゴンの頭だけが、ゆっくりと姿を現す。


こちらを見据えるその瞳は、まだ死んでいない。


【王子】

「水は、個体にする」


低く、冷たい声。


【王子】

「アイスブレス」


空気が凍りつく。


俺は咄嗟に水筒を抱え込み、横へ跳ぶ。


背後で、水が凍り砕ける音が弾けた。


【王子】

「躱すか」


【王子】

「だが――」


【王子】

「お前の水は、すべて土に吸われる」


【王子】

「余の勝利だ」


確信に満ちた宣告。


だが――


【ヴァトリナ】

「やれやれ」


【ヴァトリナ】

「気が早いな、王子様」


地を蹴る。


同時に、水を束ねる。


槍に――


いや、違う。


これはもう、“最後の一手”だ。


俺はそのまま跳び上がる。


【王子】

「まだ抗うか」


氷の息が迫る。


正面から受ければ終わりだ。


だが――


水の盾を展開し、正面から受け流す。


削られながらも、止まらない。


落下。


距離は――ゼロ。


その瞬間。


水の槍は、氷へと変わる。


硬質な一撃。


そのまま――


ドラゴンの頭部へ、叩き込む。


【王子】

「ぐあぁ!」


【ヴァトリナ】

「それじゃあ、避けられんだろう?」


体勢を崩した頭部へ、さらに踏み込む。


【王子】

「だが……!」


【王子】

「これで、そなたの水は尽きた!」


【ヴァトリナ】

「だから言ってるだろ」


【ヴァトリナ】

「これで終わりだってな」


俺はドラゴンの頭に乗り――


氷の槍を、さらに押し込む。


軋む音。


貫通まで、あと少し。


【王子】

「余を――足蹴にするな!」


激しく頭が振られる。


だが――


【ヴァトリナ】

「その程度で、振り落とせるかよ」


踏みつける。


押し込む。


終わりが、見える。


【王子】

「……ならば」


その一言と同時に。


ドラゴンの巨体が――沈む。


土へ。


【ヴァトリナ】

「くっ……!」


足場が消える。


支えを失い、俺は地面へと投げ出された。


逃げられた。


完全に、仕留めきれなかった。


そして――


静寂。


水は、ない。


残っていない。


【ヴァトリナ】

(どうする)


一瞬。


思考が止まる。


だが――


すぐに気づく。


まだ、ある。


ここに。


この場に。


【ヴァトリナ】

「おい!」


【ヴァトリナ】

「水だ!」


【ヴァトリナ】

「持ってる水、全部寄越せ!!」


その一言で――


空気が、止まった。


【イーシア】

「水?」


【サーブル】

「我ら水など携帯しておらんぞ」


【ヴェーラ】

「まさか……」


【ムスカール】

「いや……つまり……」


全員の視線が、ゆっくりと俺に集まる。


そして。


【ヴァトリナ】

「あるだろうが!!」


【ヴァトリナ】

「腹の中の――下の方に!!」



…………。


――完全沈黙。


一瞬前まで乱闘していた体育館が、


嘘みたいに静まり返る。


誰一人、動かない。


誰一人、呼吸すらしていない。


【ブラーサル】

「それはダメだって!!ヴァトリナ!!」


ようやく現実に戻ったツッコミが、体育館に響く。


【風紀委員長】

「そうか……」


【風紀委員長】

「アレだな」


風紀委員長はニヤける。


【ブラーサル】

「アンタ殿下側だろ!!嬉しそうにするな!!」


その瞬間――


ざわっ。


理解が、波のように広がった。


【生徒A】

「何考えてんだこいつ!!」


【生徒B】

「ふざけんな!!誰がやるか!!」


【生徒C】

「絶対イヤだ!!」


ブーイングが爆発する。


【イーシア】

「頭おかしいんじゃないの?」


イーシアは本気で引いていた。


完全に距離を取られている。


だが――


一人だけ、違った。


【風紀委員長】

「静まれい!!」


場を裂く怒号。


さっきまで変態だった男とは思えない威圧感。


【風紀委員長】

「殿下は設備破壊という校則違反を行った!!」


【風紀委員長】

「これは取り締まらねばならん!!」


【風紀委員長】

「決闘中であろうともだ!!」


……理屈は通っている。


悔しいが、正論だ。


【風紀委員長】

「だが――」


【風紀委員長】

「殿下は、俺より強い」


一拍。


【風紀委員長】

「ならば」


【風紀委員長】

「ヴァトリナに協力し、捕縛する!!」


――裏切った。


完全に。


【ピューイ】

「ええ!?」


【ジュレン】

「嘘だろお前!?」


王子側の風紀四天王が崩壊する。


【風紀委員長】

「まさか俺自身が」


【風紀委員長】

「歴史的瞬間の当事者になるとは……!」


うっとりしている。


【ブラーサル】

「アンタやっぱ気持ち悪いよ!!」


その時――


地面の下で、ドラゴンが動く音。


ゴゴゴゴ……と、地面が揺れる。


【ヴァトリナ】

「来るぞ!早く!!」


【風紀委員長】

「よし!!」


風紀委員長が、胸を張る。


やたら堂々としている。


【風紀委員長】

「全校生徒、注目!!」


一斉に視線が集まる。


【風紀委員長】

「3……!」


誰も動かない。


【風紀委員長】

「2……!」


ざわつく。


【風紀委員長】

「1……!」


妙な一体感だけが生まれる。


【風紀委員長】

「放水!!」


――……。


…………。


しん。


ぽた。


ぽた。


ぽた。


来た。


確かに来た。


だが――


圧倒的に、足りない。


【ヴァトリナ】

(少なっ)


【風紀委員長】

「何故だあああああ!!」


絶叫。


【イーシア】

「当たり前でしょ!!」


次の瞬間――


風紀委員長がボコボコにされた。


【ブラーサル】

「だから言ったじゃん!!」


【生徒A】

「ふざけんな!!」


【生徒B】

「最低だ!!」


【生徒C】

「やるかそんなもん!!」


怒号が飛び交う。


完全に収拾がつかない。


その中心で。


俺は――


【ヴァトリナ】

(……チッ)


舌打ちした。


少し恥ずかしいが演説してやる。


――この程度の恥、今更だったな。


【ヴァトリナ】

「頼む!」


【ヴァトリナ】

「力を貸してくれ!」


【ヴァトリナ】

「こいつを止めるんだ!」


【ヴァトリナ】

「王子様がこのまま王様になっても良いのかよ!」


一瞬、空気が揺れる。


だが、まだ足りない。


なら――もう一歩踏み込む。


【ヴァトリナ】

「アイツはよ!」


【ヴァトリナ】

「強い奴しか見てねぇ!」


【ヴァトリナ】

「才能がある奴しか見てねぇ!」


【ヴァトリナ】

「それ以外は――全部、切り捨てる!」


【ヴァトリナ】

「そんな奴に、上に立たれて――納得できるのかよ!」


ざわっ――と空気が動く。


【ヴァトリナ】

「サーブルはどうだ!」


【ヴァトリナ】

「ムスカールはどうだ!」


【ヴァトリナ】

「ここにいる奴ら、全員どうだ!」


【ヴァトリナ】

「才能“だけ”で測られて――切り捨てられていいのかよ!!」


【ヴァトリナ】

「俺は嫌だね!」


【ヴァトリナ】

「そんなルール、気に入らねぇ!」


拳を握る。


【ヴァトリナ】

「だから俺は戦ってんだ!」


【ヴァトリナ】

「一人でも、逆らえるって証明するために!」


一瞬、息を吸う。


そして――


【ヴァトリナ】

「……なあ」


【ヴァトリナ】

「お前らも、そうだろ?」


静寂。


――ここで、決める。


【ヴァトリナ】

「怖いのは分かる」


【ヴァトリナ】

「恥ずかしいのも分かる」


【ヴァトリナ】

「こんなバカみたいな方法、嫌なのも分かる」


一拍。


【ヴァトリナ】

「――でもよ」


【ヴァトリナ】

「俺もやったんだからよ!!」


体育館に響く。


【ヴァトリナ】

「一人だけ逃げるなよ!!」


【ヴァトリナ】

「全員でバカやろうぜ!!」


【ヴァトリナ】

「そっちの方が、絶対――面白ぇだろ!!」


【ヴァトリナ】

「責任は俺が取る!!……たぶん!!」


静寂。


誰も動かない。


誰も――応えない。


【ヴァトリナ】

(……やっぱダメか)


ほんの一瞬。


諦めがよぎった、その時。


【風紀委員長】

「俺も責任を取る!!」


【ブラーサル】

「うわっ。復活した」


だが――


誰も乗らない。


【ヴァトリナ】

(ダメだこいつ、人望がねぇ)


空気は、冷えたまま。


……終わりかけた、その瞬間。


【ムスカール】

「……ここまで言われてはな」


低く、響く声。


【ムスカール】

「筋肉もまた――覚悟を示す時」


【サーブル】

「ムスカールばかりに格好つけさせん」


一歩、前に出る。


【サーブル】

「奴の言う“バカ”とやら――」


【サーブル】

「一度くらい、乗ってやる」


【ブラーサル】

「いや待って!?そこ格好良く言うとこじゃないから!?」


【サーブル】

「ふん。ブラーサルめ」


【サーブル】

「所詮はブラーサルだな」


【ブラーサル】

「なんだそれ!!雑すぎるだろ評価!!」


【ブラーサル】

「僕はもうヴァトリナに捧げ済みだぞ!!」


【サーブル】

「……お前だけには負けられんな」


【ムスカール】

「ブラーサルにも筋肉の覚悟を見せる」


【ブラーサル】

「だから見せなくていいって!!」


――ざわ。


空気が、動く。


【生徒A】

「……ちっ」


【生徒A】

「ここまで言われて、黙ってられるかよ」


【生徒B】

「どうせ怒られるなら、一緒だ」


【生徒C】

「やってやるよ、クソが!」


一人。


また一人。


そして――


【風紀委員長】

「よし……流れは来た」


なぜか仕切る。


【ブラーサル】

「いやアンタ何もしてないよ!?」


【風紀委員長】

「全校生徒、注目!!」


無駄に通る声。


【風紀委員長】

「せーの――」


一瞬の“間”。


【風紀委員長】

「放水!!」


――ざああああああああああああああ!!


来た。


今度は、本物だ。


体育館を満たす音。


さっきまでの沈黙が、嘘みたいに弾け飛ぶ。


【ヴァトリナ】

(……来た)


視界が、変わる。


足りなかった水が――


今は、溢れている。


【ヴァトリナ】

「――いいじゃねぇか」


笑う。


心の底から。


【ヴァトリナ】

「それでこそ、人間だ」


両手を広げる。


水が応える。


全ての水が、俺に集まる。


【風紀委員長】

「おお……」


【風紀委員長】

「俺の性癖を――」


【風紀委員長】

「天元突破していく光景だ……!!」


鼻血。


涙。


完全に限界突破。


【風紀委員長】

「んんんんんん……ッ!!」


【風紀委員長】

「エレクチオン!!!!」


【ブラーサル】

「アンタ役に立ったけど最低だよ!!」


水が集束する。


頭上に、巨大な水球が生まれる。


重い。


だが――


軽い。


【ヴァトリナ】

(――1人じゃ、届かなかった)


【ヴァトリナ】

(だから――負けるわけにはいかねぇ)


地面の下で、音がする。


ゴゴゴゴ……。


王子が来る。


一直線に。


【ヴァトリナ】

「行くぞ、王子様」


一歩、踏み出す。


【ヴァトリナ】

「これが――」


水が唸る。


【ヴァトリナ】

「才能だけじゃねぇ」


さらに一歩。


【ヴァトリナ】

「“全員の力”だ!!」


【ヴァトリナ】

「――才能だけのお前には」


一拍。


【ヴァトリナ】

「絶対に、届かねぇ力だ!!」


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