表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺が異世界転生したら女魔法使いだったが、新制服がエロすぎたので全力で抵抗することにした  作者: 竹屋 兼衛門


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/23

第16話:選挙の時間だ

俺が生徒会長をぶっ飛ばしてから、十九日後。


旧制服支持派は53%になっていた。


俺は署名を持って生徒会室に行く。


【ヴァトリナ】

「こんちはー。署名持ってきました」


ドアを開ける。


【ブラーサル】

「おい!ノックしてから開けろって」


ブラーサルは細かい事を気にしすぎだろ。


【総書記長】

「…そうですね。ノックしてください」


本当にノックすべきだったかな?


まあ良い。


署名を総書記長に渡す。


それを総書記長は丁寧に確認する。


【総書記長】

「旧式の制服も可とする、ですか?」


【総書記長】

「旧式の制服のみにするのかと思っていましたが…」


【ヴァトリナ】

「まあ、俺は目のやり場に困るんだが

 着たい奴の意思まで捻じ曲げるのは違うと思ってな」


王子様は新制服にご執心だったし、妥協してはやる。


【総書記長】

「そうですか…」


総書記長は少し残念そうに見える。


【ヴァトリナ】

「とはいえ、新制服が良いなんて思ってるのは少数派だったから」


【ヴァトリナ】

「どっちにしろ同じだろうよ」


別に新制服でなければならない、って考えの奴は居なかった。


せいぜい、王子様と生徒会長と風紀委員長くらい。


あとはルールだから従ってるだけの奴だらけだ。


【総書記長】

「では、二日後に選挙を行います」


【総書記長】

「それで過半数の票が入れば可決されます」


【ブラーサル】

「やったね! ヴァトリナ。これで革命完了だ」


だーかーら。総書記長の前で物騒な事を言うな。


【総書記長】

「革命ですか…」


総書記長は遠い目をする。


【総書記長】

「確かに革命ですね」


【総書記長】

「私には殿下を止められなかった」


【総書記長】

「近くで見ている事しかできませんでした」


総書記長は拳を握った。


爪が食い込むほど強く。

その沈黙は、言葉よりも雄弁だった。


【ヴァトリナ】

「まあ、結果オーライだろ」


【ブラーサル】

「そうそう殿下も考えを改められて万事解決だね」


総書記長はブラーサルを冷たく見る。


【総書記長】

「殿下は、心替わりなどしていません」


【ブラーサル】

「ええ?諦めてくれたんじゃないの?」


ブラーサルは俺を見る。


【ヴァトリナ】

「あー。諦めてくれたと思ったんだけどな」


なんとか王子様をやり込めたと思ったんだけど

やっぱり無理だったか。


総書記長は俺に視線を向ける。


【総書記長】

「殿下は選挙結果の発表時にアナタに決闘を持ち込んで廃案にしようとします」


【ヴァトリナ】

「…まるで、未来が判ってるような口ぶりだな」


【総書記長】

「はい。私がそう仕向けます」


……。


どういう事だ?


【ブラーサル】

「総書記長は新制服派って事?」


【総書記長】

「違います」


一拍。


【総書記長】

「……強いて言えば」


さらに一瞬の沈黙。


【総書記長】

「反第一王子派です」


空気が固まる。


【ヴァトリナ】

「言って良いのか?」


【総書記長】

「はい。先日の貴方の国家を思う忠義の言葉に敬意を示して明かしました」


……ふざけるな。


本当の――

革命に巻き込まれた。


【ブラーサル】

「ヴァトリナ! なに言っちゃったの!?」


【ヴァトリナ】

「例のアレ」


ブラーサルは少し考えると頭を抱えた。


【ブラーサル】

「ああ、やっぱり僕も付いていくべきだった」


総書記長の目は本気だ。


あれは交渉の目じゃない。

覚悟を決めた人間の目だ。


聴かせた以上、俺が逃げる事は許さないようだ。


【ヴァトリナ】

「それを俺に聴かせて何をさせたい」


【総書記長】

「殿下の決闘を受ける条件に殿下の廃嫡をいれてください」


【ブラーサル】

「それは過激すぎだよ。せめて退学くらいで…」


【総書記長】

「…そうですね。それでも王位継承の順位は下がるかもしれません」


【ヴァトリナ】

「せめて、やり直し出来るくらいの罰じゃダメなのか?」


【ヴァトリナ】

「折角、覚悟決めて諫めたのが無駄になる」


ヴェーラの後ろ盾だしな。


中央の平民の為にも残ってくれた方が良いかもしれんし。


【総書記長】

「あれは王になってはならない男です」


【総書記長】

「我が王国は立憲君主制を採用し、王家は権力を手放しました」


【総書記長】

「ですが、あの男は――」


【ヴァトリナ】

「待て待て、難しい話は無しで頼む」


立憲君主制っては前世の記憶で知ってはいるが

そんなに勉強できるタイプじゃなかったから、わからんぞ。


【総書記長】

「では、貴方に関係のある話にしましょう」


【総書記長】

「サーブル・ド・レペ」


【総書記長】

「彼の家は長く王国に尽くしてきた忠義の家です」


【総書記長】

「それを少し能力が上の者が現れただけで、切り捨てると言った」


ヴェーラか。


少しどころではないんだがな。


【ヴァトリナ】

「なるほど。いきすぎた能力至上主義が問題だという事か?」


【総書記長】

「ええ。彼は人の才能しか評価しません」


確かにサーブルはヴェーラに比べれば戦闘能力は数段落ちる。


それに最初は感じの悪い奴だと思った。


でも話してみれば、なかなか面白い奴だった。


ムスカールとも仲良くしてるしな。


人は才能だけじゃない。


【ヴァトリナ】

「わかった」


【総書記長】

「それでは――」


総書記長は安堵の表情を浮かべるが…


【ヴァトリナ】

「だが、廃嫡うんぬんはそっちでやってくれ」


【ヴァトリナ】

「俺は才能だけじゃない勝ち方で反省を促す」


総書記長は困惑している。


【総書記長】

「それは一体…」


【ヴァトリナ】

「それは、これから決める」


【ヴァトリナ】

「総書記長。作戦会議をしよう」


総書記長は冷たい表情に戻る。


【総書記長】

「拒むと思いませんか?」


俺はわざとらしくため息をつく。


【ヴァトリナ】

「俺の勝利を勝手に利用してくれて良いって言ってんだぜ?」


まぁ、王子様はヴェーラが守ってくれるだろう。


【総書記長】

「……」


総書記長もわざとらしくため息をつく。


【総書記長】

「わかりました。

 そうさせて頂きましょう」


【ヴァトリナ】

「じゃあ、まず王子様の使う魔法を教えてくれ」


こうして二日後に王子様を倒すための話し合いが始まった。


……いや。

正確には――


「どうやって負けさせるか」の話だ。


【ブラーサル】

「ええ?それ、えぐいなぁ」


【ブラーサル】

「僕、休んで良い?」


【ヴァトリナ】

「ダメだ」


楽しい作戦会議が進んでいった。


――


次の日。


体育館。


投票結果を発表する場所。


俺達は発表を祝う装飾を付けるという名目で罠を仕掛けている。


表向きは祝祭。

裏側は完全に戦場だ。


まあ罠と知っているのは俺とブラーサルと総書記長だけだ。


ムスカールとサーブル含む転校生の諸君が忙しく働く。


【ヴァトリナ】

「おいムスカール。無理するな。他の奴にも運ばせろ」


【ムスカール】

「むぅん。だが筋肉はもっと負荷を求めている」


【ヴァトリナ】

「労働を筋トレに利用すんな」


サーブルの指示で色々なモニュメントが設置されていく。


【ヴァトリナ】

「サーブルよ。転校生組は妙に慣れているじゃんか。士官学校の教えの賜物か?」


【サーブル】

「ああ、陣地構築のカリキュラムの応用だ」


戦闘はからっきしでも、あるじゃん才能。


王子様も、これを捨てるなんてとんでもない。


【総書記長】

「くす玉に入れる垂れ幕の文章は何にしましょうか?」


【ヴァトリナ】

「ヴァトリナ勝訴とか?」


【ブラーサル】

「それじゃ裁判だよ」


【総書記長】

「…祝と書いて続けて新校則の名前、というのが通例ですが」


【ヴァトリナ】

「なら旧制服派勝訴だな」


【ブラーサル】

「なんで!そんなに勝訴したいの!?」


【総書記長】

「では旧制服派勝訴で」


【ブラーサル】

「総書記長まで?ふざけ過ぎ!?」


まあ、どうせ、このくす玉は開かないんだからふざけても良いだろ。


罠だからな。


【総書記長】

「書けました」


上手な字だ。


書記をやるだけの事はある。


これを皆に見せられないのは残念だ。


【総書記長】

「では、サーブルさん。これを天井に吊り下げてください」


サーブルは天井を見上げる。


【サーブル】

「士官学校名物、人間階段用意」


【ブラーサル】

「人間階段?なんだよそれ」


転校生組とムスカールが組体操のように階段を作り出そうとしていく。


【総書記長】

「…普通に梯子を使ってください」


【サーブル】

「えぇー」


人間階段を組もうとしていた生徒達からもガッカリする声が零れる。


【サーブル】

「ヴァトリナに我らの凄さを見せたかったのだが」


【ヴァトリナ】

「なんで俺だよ」


【サーブル】

「士官学校へ勧誘するためだ」


【ヴァトリナ】

「行かんぞ俺は。水魔法を研究するんだから」


【サーブル】

「だが貴様も、やってみたくなっただろ?」


【ブラーサル】

「なんだよ、その自信」


【ヴァトリナ】

「ちょっとだけな」


【ブラーサル】

「ちょっとでも湧くの!?アレに?」


前世の運動会を思い出して懐かしくなったんだよ。


そんな驚くな。


【総書記長】

「ははは」


総書記長は笑う。


普通の学生のようだ。


――だからこそ、怖い。


王子を廃嫡しようとしている人間には、

到底見えない。


【総書記長】

「申し訳ありません。では人間階段でお願いします」


【サーブル】

「おおっ!」


俺は人間階段が組み上がっていく姿を見ていた。


いよいよ明日だ。


王子との対決。


だが――


まだ知らなかった。


あの王子が、

“それだけ”で終わる男ではないことを。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ