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幕間『この手を離さないように』
夕焼けの道を、メルと並んで歩く。
手が繋がってる。
ちゃんと、しっかりと。
あったかい。
でも胸の奥がくすぐったくて、苦しくなるくらいドキドキする。
メルは、あんまり喋らないけど
たまに私の顔を見て、ちょっと赤くなって、
でも手は離さないでいてくれる。
それがすごく嬉しい。
すごく、大切。
私、こんな風に誰かと歩けるなんて思わなかった。
怖いこと、悲しいこと、思い出したくないこと
いっぱいあるのに。
でも、メルと一緒にいると
思い出すのが怖くなくなる。
私、ひとりじゃないんだって思える。
「彼女」って言ってくれた。
「俺の彼女だから」って、手を繋いでくれた。
……ねえ、メル。
私ね、すごく幸せだよ。
すごく嬉しいんだよ。
恥ずかしくて、言えないけど。
顔が真っ赤になって、声が震えそうで。
でも……いつかちゃんと、言えるようになりたい。
「私も、メルのこと、すごく好き」って。
「メルの彼女でよかった」って。
「一緒にいてくれてありがとう」って。
だから、頑張るから。
怖くても、泣きたくなっても、
メルと一緒に、ちゃんと歩いていけるように。
この手を、絶対に離さないように。




