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31.昴は道を踏み外す

本日の更新はこれで最後です。

(前話の日の夜、鈴宮 昴視点)


「……へ、へへへ……ヤバいっすヤバいっすヤバいっすよ~!……こんなの誰かに見つかったら、社会的に死んじゃうっす~!」


「だから辞めておいた方が良いって言ったんスよ、この馬鹿主人格!」


アタイは今、組織の拠点近くの公園に居たっす。


……膝下までの丈がある、ぶかぶかのフード付きコートとマスクだけ(・・)を着用して。


「は、ははははは……このコートを脱いで全速力でダッシュしたらアタイ、いったいどうなっちゃうんすかね~?」


「どうなるも何も捕まるだけッスよ!?」


「へへっ!……なんちゃって、冗談っす!」


「……それは、どういう意味での冗談ッスか?」


「え?……捕まるなんて、そんなヘマはしないって意味っすけど?」


「……冗談であるべきはそこじゃないッス……」


まあ、言いたい事は分かるっす。


……でももう、アタイはこの体験で得られる快感が過去最高のものになると確信しちゃってるんすよ。


現に今だって、アタイはこの露出徘徊(・・・・)で得られるであろう背徳感を欲してるっす。


「ってか、神魔側がアタイを悪堕ちさせようと差し向けた筈の"影"が、この件をアレコレ言うのもおかしい話っすよね?」


「……な、何が言いたいんスか?」


「ま、この話は深掘りしないでおくっす。……この体験がアタイをどう変えるか、それはやってみてのお楽しみっすから♪」


ーバサッ!……タッ!


「ほ、本当にやりやがったッス!?」


そうしてアタイはコートの前部分を思いっきり開き、全速力で爆走を始めたっす。


まあ何か、"影"は最後まで文句たらたらだったっすけど。


……にしても、これ……


「へっ♥️……へへへへへへへっ♥️!……ああこの肌に直接風が当たる快感♥️……それも本来なら絶対に当たらないところに当たるこの感覚はたまらないっすぅ~♥️!」


ータッ!タッ!タッ!タッ!タッ!


「……もういっそのこと捕まってしまえッス!」


「うっひゃ~♥️!……最高っすな~♥️!」


「うんぎゃぁぁぁぁぁ!……こんな形でストレス発散すんじゃねぇッスゥゥゥゥゥゥ!」


ああ、"影"の言葉も気にならないっす♥️……


アタイ今、過去最高に風になってるっす~♥️!



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(翌日、武巌原 軍破視点)


「あァ?……昨夜、ここの近くの公園で露出狂の痴女が全力疾走してただァ?……放っとけ、そんな変態に構ってる暇はねぇんだよォ」


「……いや、そんな雑な対応してエエ案件やないやろ、これ……」


ったく、何なんだよマジで……


何たって、この近くでそんな変態が出るんだァ?


「ハァ……にしても、露出狂の痴女かァ……まさか下手人の正体は時子だったとかねぇよなァ?」


「幸い、それはなさそうや。……件の下手人の足の速さは、間違っても時子はんなんかと比べもんにならん程には速かったらしいし……」


「そうかァ……」


「ま、そこは安心して良さそうやな?……って、軍破はん?」


足が速い、かァ……


……まさか、いやでもなァ……


あいつに限って、こんな変態行為に及ぶなんて事はねぇと思いてぇし……


……ま、この話は終わりだ終わりィ!


「……どっちにしろ、露出狂の痴女については後回しだ後回しィ!……んな事より、過去の資料を読み漁って分かった事があんだァ」


「な、何か分かったん?」


「それがなァ……神魔レオが死に際に暗躍を匂わせやがった神魔ゲミニ……こいつの侵攻時には、必ず最低1人は当時の魔法少女が裏切ってたんだァ」


「なっ……つまり、今回もそれが起こるって言うつもりかいな!?」


過去の記録でも、厳重に秘匿されてやがった情報。


……それは、過去の魔法少女が神魔ゲミニ侵攻の度に最低1人は裏切ってたって信じられねぇ事実だったァ。


「勿論、次の侵攻でも同じ事が起こるだなんて確証は何処にもねぇ。……が、起こらねぇって確証も同じぐらいねぇんだよなァ……」


「せ、せやけど……過去の魔法少女は、何で裏切ったん?……それに、その魔法少女達はどうなったんや?」


……まァ、当然それを聞くよなァ……


「動機はバラバラ……つっても、共通点として各々の心の闇を増幅されたみてぇな言動をしてたらしいって記録は残ってらァ……」


「こ、心の闇って……そんなん、誰やって大なり小なり抱えてるもんやろうに……」


「それで裏切っちまったら救い様がねぇよォ。……で、そいつ等がどうなったかはお察しの通り……全員、当時の他の魔法少女達が犠牲を出しつつ始末したって記録には残ってたなァ……」


「……そ、そうかいな……」


流石に魔法少女が裏切ったなんて記録は公には残せなかったんだろうなァ。


表向き、裏切った奴は偽物で本物は既に殺されてたって事にしたみてぇだがァ……


「あ、一応言っとくが裏切った奴等は本当に軒並み始末されてっから、空席の13番目が神魔や天魔の力を得てまだ生きてるとかはねぇみてぇだぞォ?」


「……それは、安心してエエんか残念に思ったらエエんか分からへんなぁ……」


「確かに、まだ生きてるってのが理由なら納得は出来たんだがなァ……後、裏切った奴等は殆んどが聖別巫女ってのを名乗ってたらしいがァ……流石にそれ以上の事は記録に残ってなかったなァ……」


「ほな、ラビィリンはんに聞いてみるか?」


う~ん、確かにラビィリンは歴史の生き証人だァ。


過去何度もこの箱庭の外郭を縮小する羽目になりつつも、人類を守って来てくれた信用に値する相手でもある。


だがなァ……


「……とっくに聞いた上で、良い答えは出て来なかったんだよなァ……強いて言えば、裏切った奴等が天魔みてぇになってたってぐれぇしか……」


「さいか……」


……そのラビィリンをもってしても、よく分からねぇってのが現実だァ。


もう悩ましいなんてもんじゃねぇぞォ?


「ともかく、今代の魔法少女で心の闇を増幅されかねねぇ奴は居るかァ?」


「っ……今のところ、1人だけは思い浮かぶわ~」


今のところ1人、かァ……


そいつはもしかしなくても……


「……昴、かァ?」


「ご名答や。……あの娘、かなり魔法少女って立場に不満持っとるやろ?」


「だよなァ……抱き込まれるなら、やっぱそこしかねぇよなァ……」


少なくとも、他の奴等は自分なりの我を通し切ってて心の闇を増幅されたからって裏切るタイプじゃねぇ。


だがなァ、昴だけは別なんだよなァ……


「あの娘も何か、心の闇を溜め込まずに済むストレス発散方法を持ってたら良かったんやけど……」


「無理だろなァ……ってか、陸上選手の夢を絶たれたあいつが心の底から笑える走り場なんて存在しねぇんじゃねぇかァ?」


「せやよな~。……それこそ、全然違うアプローチで新しい楽しみを覚えんと厳しいやろうし……」


「……しばらく、あいつは監視下に置くかァ?」


「いいや、十中八九バレるから下手な監視はせん方が良さそうやわ……」


結局、オレ達は明確な答えを出せぬままに、時折昴のカウンセリングを行う事で話を纏めたァ。


……こうしている間にも、昴が駄目な方向に進んでるんじゃねぇかと、心配しながらァ……

ご読了ありがとうございます。


昴、完全に違った方向に道を踏み外しました。


気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。


後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。

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