32.那奈耶の葛藤
今回はちょっとだけ長めです。
(浅山 那奈耶視点)
『ナナヤ……小生の考えが正しければ、貴女はナナノよりも弱いですニャン』
『はい、それは某自身も自覚している事実でございますニャン……』
これは、某がまだ幼かった頃の記憶。
姉さんと某にとって母方の大叔父にあたるナンドレア大叔父様から、戦闘の手解きを受けていた時のものでございますニャン。
『良くも悪くもナナノは、本気ではないとはいえあのアカネさん相手に歯向かえるだけの身体能力と胆力を持ち合わせていますニャン。……それこそ、才能だけで見れば小生やナフリーを遥かに凌ぐ程には……』
『ナンドレア大叔父様やお母様よりも、でございますニャンか?』
『ええ、将来有望な戦士ですニャン。……ですが、ナナヤにそれ程の才能は……』
『……分かってるでございますニャンよ』
某に、戦闘の才能はない……
商人でありながら戦士の才能にも秀でていたナンドレア大叔父様がそう言った以上、それは紛れもない事実でございましたニャン。
『ただし、それで戦士としての道を諦めるかどうかはナナヤ次第ですニャン……小生としては、努力で補えばそこそこ戦える様にはなれると思いますニャンけど……』
『努力で補う……それで、某は天才相手に勝てるのでございますニャンか?』
『怠けた天才相手には。……努力も怠らない天才相手に勝つのは、流石に小生でも厳しいと言わざるを得ないですニャンが……』
『……そうでございますニャンか……』
努力も忘れない姉さん相手に、某では絶対に勝てない……
……この時、それは決定事項と化したでございますニャン。
『ナナヤ、潔く諦めますニャンか?……小生は、それも1つの道だとは思いますニャ』
『いいえ!……某は、絶対に強くなるのを諦めないでございますニャン!』
『……そうですニャンか。……では、小生も本気で指導させて貰いますニャン!』
『ふぅ……よろしくお願いするでございますニャン!』
そこから、某は死ぬ気で努力を重ねたでございますニャン。
何度も何度も死にかけながら、その度に肉体を磨き上げ……
それこそ、抜群のプロポーションを維持したままに強くなる姉さんとは裏腹に、某は全身が筋肉バキバキになっていき……
まあ幸いにも見せ筋はそこまで鍛えなかったでございますニャンから、全体的なシルエットは細身のままでございましたニャンが。
とまあ、それはさておき現在。
「……すぅ……それを踏まえて某は、姉さんの様に戦えるんでございますニャンかね……」
某は前回の神魔レオ戦の記録映像を見返しながら、姉さんの凄さを改めて再認識すると同時に自分に同じ事が出来るか悩んでいたのでございましたニャン。
……むぅ、この動きは某には厳しそう……
「……某も、何か役に立たねば……いや、そもそも姉さんが受付嬢の割にやってる事がおかしいだけなんでございますニャンが……」
そう頭では分かっていても、やはり役に立てないのは気にするものでございますニャン。
……せめて、少しでも役に……
そう思ってはいても。
「ふぅ……人生、上手く行かないものでございますニャンな~」
某では力不足。
そう言われている気分になり、某はひとまず考えるのを辞めたのでございましたニャン……
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(天草 時子視点)
……昴ちゃん呼びが許されてから、数日が経過しました。
「あの~、2人とも……ここ数日、夜中に近くの公園で出没してるとかいう例の露出狂の痴女、もしかして昴ちゃんだったりしませんよね?」
「ああ、確か捕まえようとする警備員を圧倒的な逃げ足の速さで置いてけぼりにするとかいうあの露出狂の事デスよね……」
「とんだド変態が現れたと思ったけど、思い返せば昴さんもそれっぽい事を言ってたのだわ……」
あの時、昴ちゃんは私の妄言を聞いて感心した様な反応を見せていましたが……まさか、やらかしちゃいました?
私ですら、露出狂はドン引きですよ?
そう、思っていると……
「あ、時子ちゃんじゃないっすか~!」
「あ、噂をすれば……」
まさかの露出狂の痴女最有力候補もとい、昴ちゃんが現れたのでした。
「ん?……何か噂でもしてたんすか?」
「あ、いや……気を悪くしたら申し訳ないんですけど、この前から噂になってる露出狂の痴女って昴ちゃんだったりします?」
当然、この質問はただただ相手の気を悪くさせるだけのものです。
だというのに、昴ちゃんは妖艶な笑みを浮かべて……
「さ~て、どうっすかね~♥️?」
そう、言ったんです。
「あ、もしかしなくてもやらかしましたね?」
「What's!?……マジで言ってマスか!?」
「……頭が痛くなって来たのだわ……」
……怒るどころか笑って、揶揄う様な言葉を発するって……
これはもう、昴ちゃんが犯人だと言っている様なものです。
何せ、普通は露出狂の痴女に疑われてこの反応は出ませんし……
「でもでも、現行犯で捕まえない限りは証拠もないっすよ~♥️?」
「うっ……」
そこなんですよね……
現場に遺留品は皆無、監視カメラの映像も犯人の足があまりにも速過ぎてブレまくり、挙げ句の果てに目撃証言も顔なんかの個人を判別する部分は不明という徹底ぶり……
……しかし、あの時の会話からして昴ちゃんならやりかねないというのが私の考えで。
「ところで、もしアタイがその露出狂の痴女だったらどうするつもりなんすか?」
「え?……さ、流石に現行犯以外だと私にはどうにも出来ませんよ……」
「へぇ~♥️、もし捕まえてくれるんなら蜜月の追跡劇ってのも魅力的だったんすけどね~♥️」
「……ほぼ自白してませんか、それ……」
……あれ?
もしかして私、また何かやっちゃいました?
いえ、まだ王魅ちゃんの時は新しい性癖の扉を開いちゃっただけで実害は出ませんでしたが、今回は露出狂の痴女と化しちゃってますし……
……前回よりマズいのでは?
「アタイ、これでも時子ちゃんにはとっても感謝してるんすよ~♥️?……お陰で、これまで溜め込んでたストレスを発散出来たっすし♥️」
「その代償に大きく道を踏み外してる様な……」
「そう言われても、どうせ踏み外すならこっちの方が実害も少ないっすし♥️」
「え、本来なら何するつもりだったんです?」
え、この人怖いです……
魔法少女って割に闇が多かったかと思えば、今度は闇が消えた代わりに変態になってるし……
加えて、本来はもっとヤバい方向に行ってたとか……
見た目は可愛いのに、闇抱え過ぎでは?
「ま、あり得なくなった未来の事はひとまず脇にでも置いとくっす!……で、時子ちゃん達の方はどんなもんっすか?」
「え?……いやまあ、ボチボチ変わりなく……」
「そうっすか~♪……じゃ、アタイはもう行くっすね~♪」
ータッ!タッ!タッ!タッ!タッ!
「……えぇ、何だったんですか?」
何でしょう。
私達が一方的に圧倒されっぱなしでしたね……
……でも、可愛いですしハーレムに加えたくもあるんですよね~♥️。
「時子、また気持ち悪い事を考えてマス?」
「躾、されたいのだわ?」
「あ、2人ともそんな目で見ないでくださ~い!」
それにしても、どうやって堕としましょう。
昴ちゃん、結構攻略難易度高そうなんですよね~。
とか思っていると……
「あ、時子さんにレベッカさんに王魅さん……何やら楽しそうでございますニャンね?」
「あ、那奈耶ちゃん!……って、また着ぐるみ姿ですか……」
……今度は那奈耶ちゃんが、いつもの着ぐるみ姿でやって来ました。
「……ほんと、改めて皆さんは凄いでございますニャンね……さっきまで神魔レオ戦の映像見てたんでございますニャンが、本当に皆さん勇敢で……」
「それを言ったら那奈耶さんも凄いんですよね?……何せ、あの菜々乃コーチの妹さんで……」
「……姉妹でも実力差はございますニャン。……特に、某と姉さんの間では……」
「あ、ごめんなさい……」
あ、これ。
もしかしなくてもコンプレックスでしたか?
「……姉さんの才能は、大叔父様やお母様を遥かに凌ぐ程のもの。……対する某は凡才……差は明らかでございます」
「……つ、強く生きてください……」
「そのつもりでございますニャン。……ふむ、気晴らしに今夜は強者にでも戦いを挑んでみるとするでございますニャン」
「……強者って、誰ですか?」
「ふふ、秘密でございますニャン」
ースタスタスタ……
……那奈耶ちゃんは言いたい事を言うと、静かにこの場から立ち去ってしまいました。
「……何だったのでしょう?」
「分かりマセ~ん」
「不思議な気分なのだわ……」
そして、後には狐につままれた様な、とても不思議な感覚だけが残ったのでした……
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(その日の夜、鈴宮 昴視点)
さて、と……
ータッ!タッ!タッ!タッ!タッ!
「ふぅ~♥️!……マジ最高っす~♥️!」
「本当にどうかしてるッス!」
今日も今日とて、公園での露出徘徊に興じるアタイ。
だけど、今回はいつもと違ったっす。
それは……
ーシュッ!
「っすっ!?」
ーダンッ!
突然、道の横に生えてる生け垣の影から飛び出した着ぐるみの拳。
……それは、とても見覚えのあるものだったっす。
「……露出狂の痴女さん、某のお相手をお願い出来るでございますニャンか?」
「ハァ♥️……ハァ♥️……ほんと、そういうの最高っすね~♥️!」
現れたのは、着ぐるみを被った浅山 那奈耶ちゃん♥️。
……何が目的かは知らないっすけど、捕まる訳には行かないんすよ!
「……では、お覚悟よろしいでございますニャンか?」
「ああ、良いっすよ良いっすよ~♥️!」
そうして、夜中に始まったアタイと那奈耶ちゃんの勝負。
どちらが勝つか負けるかは、神のみぞ知るっす……
ご読了ありがとうございます。
露出狂の痴女 (昴) vs那奈耶の勝負が開幕です。
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後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




