29.受付嬢はボヤく
今日は1時間おきに3話程度更新する予定です。
(天草 時子視点)
神魔レオとの戦いを終えて、数日が経過したでしょうか。
「あ~、労働って超絶クソだニャンろ……」
「菜々乃コーチ、荒れちゃってますね……」
今日も今日とて魔法少女組織の受付で受付嬢をやってる菜々乃コーチは、滅茶苦茶荒れてました。
「いやもう神魔レオとの戦い以降、全身の筋肉が悲鳴上げてるんニャンよ……いわゆる、筋肉痛ってやつニャンよクソボケカスナス……」
「そ、そうなんですね……」
「しかも、そんな状態でも受付嬢やれって上司から言われて……正気ニャンか?……出来る事なら有給使って休みてぇニャンよアバズレ共……」
「あはは……」
菜々乃コーチ、大変そうです……
普段なら絶対に飛び出さない……飛び出さない?暴言が山程出て来ちゃってます……
「ハァ……ハーレム志願変態女も、こうなりたくなかったら適度に運動しとくと良いニャン……あ~クッソ全員死に晒せニャン……」
「え、えっと……それじゃあさよならまた明日!」
ータッタッタッ!
私は、一目散にその場から逃げました。
……というか、ここ数日の菜々乃コーチはあんな感じなんですが!?
もう限界っぽくて見てられません!
と、受付から少し離れたところで……
「あ、時子デ~ス!」
「また受付に行ってたのだわ?……悪い事は言わないから、当分は近付かない方が良いわよ?」
私は、レベッカちゃんと王魅ちゃんの2人と合流しました。
……にしても、2人も受付から近寄りがたい雰囲気を感じ取ってるんですか……
ハァ……
「勿論、私だって分かっているんですが、やっぱり菜々乃コーチが心配で……」
ずっと恨み言を吐き続ける菜々乃コーチ。
……今ここに神魔レオ戦での頼もしさは微塵も見る影がなく、激しい筋肉痛による苦痛の怨嗟を周囲にばら蒔いちゃってます。
それこそ、本気で休みをあげた方が良いレベルで。
「……いやほんと、あんなのが受付を担当してるとか結構ヤバめデ~スよ?」
「普通に撤収させるべきなのだわ!」
「あ、そう思いますよね?……軍破さんは、何を思って菜々乃コーチをあそこに配置して……」
「……実は、オレも内心では後悔してらァ」
「「「っ!?」」」
おっと、噂をすればブラック上司の軍破さん!
菜々乃コーチに滅茶苦茶恨まれてますよ?
「あ、誤解すんじゃねぇぞォ?……菜々乃が本気で休みてぇんなら、オレをハリセンでぶちのめしてでも休みをもぎ取る筈だァ」
「た、確かに……言われてみればそうですね!」
「いや、2人の中で菜々乃コーチってどういう扱いなのだわ?」
「ただ間違ってもないんデスよね……」
軍破さんの言う通り、菜々乃コーチが本気で休みたかったら手段は選ばない筈……
なのに、無理をしてまで出勤してると。
「……何が目的なんでしょうね?」
「さぁなァ……あいつの考えてる事はオレにも分からんからなァ~……」
う~ん……
菜々乃コーチの考えが読めません。
ただまあ、何か狙いがあるのは確実と……
「あ~もうクッソ……頼むニャンから、さっさと定時になってくれねぇニャンか~?」
「……本当に狙いなんてあります?」
「んなもん知るかァ……」
……本当に狙いなんてあるんですかね?
まあ、私が気にしても仕方のない話ですが……
「……で、軍破さんは何しにここへ?……まさか、今の話をするためな訳もないでしょうし……」
「ん?……あァ、それなんだがなァ……時子、ちょいと誰でも良いから毒牙にかけてくんねぇかァ?」
「「「ふぁっ!?」」」
……えっと、何ですって?
誰でも良いから毒牙に?
……軍破さん、遂に頭がおかしくなりました?
「あの、軍破さん……私が言うのも何ですが、遂に頭がイカれましたか?」
「そう言われても仕方ねぇとは思ってるが、生憎真剣な話だァ」
「おぉ……」
まあ、理由は何となく分かりますけど……
分かりますけどねぇ!
「……時子、嬉しくなさそうデ~スね?」
「てっきり泣いて喜ぶんじゃないかと思ってたのだわ」
「いやだって、大方あの不思議な力を発現させるのが目的なんですよね?……つまり、私の淫行で今後の人類の運命が左右されると……そういう事なんですよね!?」
「お、察しが良いなァ……って事は、その責任の重大さにビビっちまったかァ?」
「当たり前じゃないですか!」
私の淫行で、今後の人類の運命が左右される。
そのプレッシャーに、私が耐えられるとでも!?
「私は気楽に酒池肉林な百合ハーレムを築きたいんであって、私の淫行次第で人類の運命が左右されるとか嫌なんですよ!」
「まァまァ、そう言うなァ……」
「なら軍破さんに手を出しても良いと!?」
「出せるもんなら出してみろやァ」
「あ、すぅ~……冗談ですよ冗談!……あはは……」
軍破さんに手を出すのは現実的でないとしても、やっぱり力目当てに誰かを毒牙にかけるのは……
……うん、ゲボ吐きそう。
「ま、あくまでサブプランなんで気ぃ背負い過ぎんなよォ?……こんな奇跡、本命にする方が馬鹿馬鹿しい……」
「は、はぁ……」
結局、そんな会話を最後に軍破さんは行ってしまいました。
……それにしても魔法少女組織の上層部、相当追い込まれているみたいですね……
「……軍破さん、キツそうデシたね……」
「この先も神魔が来ると考えたら、ああもなるのだわ」
「……私にしてみれば、誰かを毒牙にかけろなんて言われる側の事も考えて欲しいものですけどね」
勿論、軍破さんの気持ちも分かります。
もはや藁にも縋る思いで、先程の提案をしたのでしょう。
そんなの、私には微塵も関係ありませんが。
とまあ、そんなこんなで駄弁っていると……
「おや?……そこに居られるのは時子さんに王魅さんにレベッカさんではございませんニャンか?」
「あ、那奈耶ちゃん……」
突然、那奈耶ちゃんが話しかけて来ました。
……なお、その服装はいつも通りの着ぐるみ姿。
私としては、いつか那奈耶ちゃんのご尊顔をハッキリクッキリ眺めてみたいんですけどね~♥️。
「むむむ?……何やら気持ち悪い視線を感じるでございますニャンね~?」
「ギクッ!」
「「時子……」」
「レベッカちゃんも王魅ちゃんも、今即座に私って判断しましたか!?……いやまあちゃんと正解なんですけど!」
私に対する負の信頼が凄い……
とはいえ、私だって負の信頼の半分以上が自業自得だって事は自覚していますが……
それにしたってぇ……
「……やはり、時子さんは茜叔母様みたいな人でございますニャンね……」
「ん?……あ~、菜々乃コーチと那奈耶ちゃんの叔母さんですか」
「はい。……年がら年中可愛い女の子を見つけては目を♥️にして下心マシマシでアタックした末に恋人達にボコられる……そんな何処に出しても恥ずかしい、一族の恥みたいな叔母でございますニャン」
「えぇ……よく縁を切ってませんね……って、ん?」
ちょっと待ってください。
つまり、私はそんな人にそっくりだと判断されてるんですよね?
……orz。
「あ、時子が打ちひしがれマ~シた!」
「自分がどう見られてるのか客観視出来てて何よりなのだわ」
「まあ、時子さんは茜叔母様だけじゃなくてお父様みたく感じる時もございますニャンが……特に、満更でもない相手からごり押しされた結果なし崩し的に性的関係を増やしそうなところとか……」
「菜々乃コーチと那奈耶さんの父親、いつ聞いても爛れてますね……」
……確か、ハーレムを築いてるんでしたっけ?
私が言える立場ではないとはいえ、よくそんな環境下でマトモに育ちましたね……
「姉さんから聞いてると思いますニャンが、某達のお父様は何というか……何が良いのか分からないのに何故かモテまくるタイプのモブ男って感じの見た目でございますニャン……」
「辛辣ですね!?」
「父親に対する評価に聞こえマセ~ん!」
「そんな奴の子供がアレだなんて、到底信じられないのだわ……」
……王魅ちゃん、ちょっとそれは失礼では?
「ま、その結果として姉さんと某には沢山の弟妹が居る訳なんでございますニャンが……」
「え、それはつまりその……そういう事ですか?」
「そういう事でございますニャン」
「お、おぉ……ハーレムとは聞いていましたが、まさかの子沢山……」
……うん。
これ以上、その辺の話には踏み込まない様にしましょう。
……闇は深くなさそうですが、爛れてはいそうなので!
「ただ、だからこそ皆のお姉さんとして堂々としてる姿ばかりを見て来た姉さんがあそこまでボヤいてる姿を見るのは新鮮というか何というか……どうにかならないでございますニャンか?」
「それを私達に言われても……」
「無理なものは無理デ~ス!」
「同じくなのだわ!」
「そうでございますニャンか……ハァ~……」
……最終的にそう吐き捨て、那奈耶ちゃんも何処かへと行ってしまいました。
ほんと何と言いますか……どの方々も苦労してそうですね……
「……現実逃避にイチャつきたいです」
「逃げてはいけマセ~ん」
「気持ちは分かるけど、我慢なのだわ」
「そんな~!」
……こうして、今日も何だかんだ平和?な1日が幕を開け、そして終わっていくのでした。
裏で暗躍する者に、気付きもせず……
ご読了ありがとうございます。
菜々乃と那奈耶の家族関係については、あまり気にしなくても大丈夫です。
気が向いたらいいね、ブックマーク登録してくれるとありがたいですが、あくまでも気が向いたらで大丈夫です。
後、皆様がどんな事を思ってこの小説を読んでいるのか気になるので、感想くださるとありがたいです。




