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十連敗から始まる逆転生活  作者: masa


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3/4

第三話 勝負の日

 千円札四枚と小銭。

 それだけのはずなのに、俺の胸の奥は今までになく熱かった。


「……やれる」


 十分後の未来を見る力。

 たったスクラッチ一枚で証明された。


 



 翌朝、俺は競輪場に戻っていた。

 昨日とは違う。

 闇雲に買うんじゃない。

 金属片を握り、十分後の自分を覗く。


  三連単、8-2-4。

 払い戻し窓口で、笑顔の自分が札束を受け取っていた。


「マジかよ……」


 試しにその番号を買う。

 数十分後、レースは未来の通りに決着した。

 馬鹿みたいに跳ねた配当。

 気づけば俺の手には十万円近い大金があった。


 


 それからは早かった。

「十分後の自分」が選んでいる券を、そのまま追う。

 躊躇は不要。未来の通りに券を買えば、当たりは確実だ。


 昨日まで、帰りの電車賃にすら困っていた俺が、今は十万円を握っている。

 いや、これはまだ序章にすぎない。


 競輪場には一日に12レース。

 つまりチャンスは12回もある。



 金属片を握りしめ、十分後を覗く。


 それを繰り返すだけで、俺の財布はみるみる膨らんでいった。


 


 昼過ぎには五十万円。

 夕方には百万円。

 最後のレースで大穴を当てたときには、手元に積まれた札束は三百万円を超えていた。


「はは……嘘みたいだ」


 たった一日。

 200円のスクラッチがきっかけで、俺の人生はここまで跳ね上がった。


 



 駅の改札を抜けるとき、俺は笑いをこらえきれなかった。

 昨日は電車賃がなくて立ち尽くしていた男が、今日は財布の重さに肩を落としている。


 未来は変えられる。

 俺はその証明を、自分の手で掴んだのだ。


「次は……もっと大きな舞台だな」


 競輪だけじゃない。競馬も、株も、ギャンブル以外だってある。

 十分後の未来を見る力があれば、世界を相手にだって戦える。


 俺は改札を抜け、夜風を吸い込んだ。

 始まったばかりの新しい人生の匂いが、胸を震わせていた

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