エピローグ
まだ、朝霧が出ているころグレンたちは門の前にいた。朝早くだから歩いているヒトは少ない。そんな中でキリーはついさっき発行された魔導新聞の1面の記事を読んでいた。
魔導新聞。
魔導新聞とはペンドラゴンを中心とする都市で回っている情報誌である。魔術によって文字が書くのに手間がなくなり格安で量産できるようになってから庶民にとっては数少ない娯楽になっている。その魔導新聞の一面には大きい記事が載っている。
『エレイド最高幹部の息子リーオ・エレイドの遺体が発見。また、私兵たちは全滅しており父親であるヘンゲル・エレイドは行方不明である。犯人は不明であり犯人の情報を知る者は支給、騎士団第2部署へ。』
その記事を読むとキリーは、自分たちが犯人だとわかってないことに安堵し魔導新聞を閉じる。
「よかった〜まだ、あたしたちのことわかってないみたい。」
「当たり前だ。そのようなヘマはしない。」
「あの、もう少しゆっくりしていったら・・・」
名残惜しそうな声でステロが言う昨日から既に何回を聞いているセリフだ。
「いつ、バレるかわからないのにその場に留まるのは愚考だ。・・・何度、言わせれば気がすむんだ?」
「でも、たいしたお礼も出来てないですし・・・」
「お礼なら既にキリーの防具を買ってもらったことで話はついている。」
キリーの今の服装 は駆け出しの冒険者が付ける革鎧に短剣と剣を腰に差している。いつまでもボロボロの鎧では今後の旅で危険だとキリーが言い出しグレンも同意の元装備を整えようとしたところに問題が生じた。グレンの持っている貨幣では売ってくれなかったのだ。なぜかというと、グレンの持っていた貨幣は余りに古い物でこんな物は使い勝手が困るからしい。グレンは門のところでは使えたことを話すと稀に歴史研究者が発掘された物しか持って来ていないことがあるらしく門では使えるようにしたらしい。この話を聞いたグレンは仕方なく同伴していたステロに買ってもらうことで借りを無くすことにしたのだった。
「でも、こんな物ではとても・・・」
「くどい。きさまが満足してなくともこちらが満足しているんだ。それでいいだろ?それに、高価の物を貰っては困る。」
「・・・わかりました。」
ステロは、しぶしぶ引き下がる。
「次の行き先は決めているのですか?」
ステロがグレンに次の旅先を聞く。
「ああ。ヴァンパイアを狩るつもりだ。」
グレンはキリーが持つ魔導新聞を取りある一面をステロに見せる。
『ヤクヤ村付近にヴァンパイア現れる。ランクC冒険者募集中。』
その声に僅からながら怒りが混じっているのをキリーだけが気がついた。




