(25)再会、ビューティペア
〇ボルデメに通じるコの字階段
「くっそぉ、「かみかぜ」のみんなに会って、再会を喜び合うだけの冒険でよかったのに・・・何なんだよ、あの白い三角錐!」
オレはつい今朝のことを思い出しながら、文字通り脇目も降らずボルデメに続くコの字階段を登り続けた。やがてボルデメのハッチが見えてきた。
「よし、もう少し!」
と、声に出して気合を入れた瞬間、ガチャンッっと音がして、おもむろにハッチが開いた。そして、
「やぁ、久しぶりだね、キミ」
と声を掛けられた。
「え、千早・・・かける・・・さん?」
いきなり現れた見たことのある顔に驚いて、思わずつぶやくと、
「ブブー、めぐる、です」
と訂正された。
「あ、ごめん。まだちょっとわからなくて・・・」
そう言いながら、はぁはぁと荒い息のままボルデメに上がり込んで、ハッチを閉めた。
〇大津ボルデメ管制室内
「ごめん、あの、久しぶりとか、そういう挨拶をしなくちゃなんだろうけど・・・」
オレは、ちくのケージを降ろしながら、大空洞での出来事を説明しようと話し始めたら、
「あの白い三角錐、なんなの?」
とかけるから言われた。
えっと思わず顔を上げてかけるを見ると、彼女は、モニタの地底湖に浮かぶ三角錐を指さしていた。
「あ、カメラがあるんだ?」
「まぁ、色々あったからね。君のようにまた無断で入ってくる人がいないとも限らないから、ところどころ監視カメラを設置したのよ」
とかけるが言う。
「今日も、君が天の原から入ってくるところから、階段を必死に上がってくるところまで、ずっと見てたわよ」
とはめぐる。
「そうだったんですか! え、あ、じゃさっきあの三角錐が光ったり振動したりしたのも見ましたか!」
「見てたわよ。慌てたキミたちが階段を登り始めたところもちゃんと見てた」
「ホントはね、ボルデメの運用が始まったから、ここはもう管制要員以外は立入り厳禁なの。けど監視カメラの映像見てて、湖にいきなり白いのが現れて、キミが逃げるように上がってくるのが見えたから、大泉さんに連絡したのよ」
とめぐるが説明してくれた。
「大泉さんに?」
「そ。そしたら、緊急避難に該当するから入れてやれって、OKもらったわ」
「あ、ありがとうございます」
オレはぺこっと頭を下げ、モニタに映る三角錐を見つめながら、
「あれは、何なんでしょうか」
と聞いた。
「さぁ。それを今日、調査するらしいわよ。ってか、ちくわの変な能力が呼び寄せたんじゃないの? あの白いの、ちくわに向かって反応してたでしょ?」
「あ、してました、してました。スンスンしたら急に震えだして・・・」
「「かみかぜ」がもうすぐ浮上してくるはずだから、そしたら何かわかるかもね。それまで大人しくそこに座ってて」
「大泉さんたち、こっちにっ向かってるんですか?」
「うん。あと30分くらいだって」
それまでは通常任務がある、というビューティペアの仕事を邪魔するわけにはいかないので、オレはモニタの中の、ピクリとも動かない三角錐を見つめていた。ちくはケージから出していいと言われたので、出してあげたら、例の置きっぱなしの鉱石をまたガシガシし始めた。
しばらくすると、オレの隣にやってきて、モニタに映る三角錐を見始めた。
・・・モニタを眺めるちく。
「かみかぜ」の大泉さんの部屋で、舞鶴湾沖に展開する東亜艦隊の映像を見ていた時と同じだと思ったら、ちくの目が光りだした! あの時のように!
ちく、今度は何を見ている、何が見える!
ちくが凝視するモニタの中に何があるのかとオレも見てみたら、三角錐の後ろの方が泡立ちはじめ、やがてゆっくりと大きな、鉄紺色の物体が浮上してきた。
「今度こそ「かみかぜ」だ・・・」
オレは思わず声に出して呟いた。なんだか無性に安心した。




