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異世界リロード 〜没落貴族ですが、現代FPS知識で戦場を無双します〜  作者: 雪消無
第9章 : 『王国の闇と真実の探求』

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告白と、揺るぎなき絆

 王都での戦いが終わり、街はレオンハルト新国王の下、少しずつ秩序を取り戻し始めていた。ストームウィングの改修と補給も完了し、砂漠連合への出発の日は目前に迫っていた。仲間たちは、来るべき決戦に向けて、それぞれの準備を進めている。


 セレスティアは工房に籠り、エレノアは砂漠連合に関する情報を集め、セリナは剣の稽古に打ち込み、リシアは回復薬の調合に余念がない。誰もが前を向いていた。


だが、俺の心だけが、重く沈んだままだった。


 黒幕が俺と同じ世界の人間だと知ってから、ずっと胸に突き刺さっている棘。この世界の危機は、俺たち「異物」が持ち込んだのではないかという罪悪感。そして何より、このかけがえのない仲間たちに、自分の正体を偽り続けているという、耐え難い苦しみ。


(このまま、黙って旅立つことなんてできない…)


 彼らは、俺を「レナード・アルバート」として信じ、命を懸けてくれている。その信頼を、これ以上裏切り続けることは、俺にはできなかった。黒幕との決戦を前に、俺は、俺自身の全てを彼らに差し出し、その上で、共に戦う覚悟を問わなければならない。


 俺は、意を決して、仲間たちを王城の一室に集めた。レオンハルト、セリナ、リシア、エレノア、そしてセレスティア。俺が最も信頼し、共に死線を越えてきた、かけがえのない仲間たちだ。


 集まった仲間たちは、俺の深刻な表情に、ただならぬものを感じ取っていた。部屋には、緊張した沈黙が流れる。


「みんな、集まってくれてありがとう。今日は…どうしても、話しておかなければならないことがある」


俺は、ゆっくりと、言葉を選ぶように話し始めた。


「俺は…お前たちが知っている、レナード・アルバートではないんだ」


 その一言に、部屋の空気が凍りついた。リシアが息を呑み、セリナが眉をひそめる。レオンハルトとエレノアは、表情を変えずに、ただ静かに俺の次の言葉を待っていた。

俺は、全てを話した。


 自分が「高槻レン」という、この世界とは異なる「日本」という世界の人間であったこと。不慮の事故で命を落とし、気づけばこの世界の「レナード・アルバート」という少年に生まれ変わった『転生者』であること。


 俺が使う奇妙な戦術が、全て「FPS」という、前の世界の「遊戯ゲーム」で培った知識であること。


 そして、王都で対峙した黒幕もまた、俺と同じ世界の人間であり、俺の過去を知る人物である可能性が高いこと。


「この世界の危機は…帝国との戦争も、神聖王国の異端審問も、そして今回の王都の混乱も、元を辿れば、奴や…俺のような『異物』がこの世界に存在していることが、原因なのかもしれない」


俺は、俯き、絞り出すように言った。


「俺は、お前たちを騙していた。俺は、お前たちとは違う、この世界の理を歪めるだけの、招かれざる存在なんだ。それでも…」


俺は顔を上げ、一人一人の顔を見つめた。


「それでも、俺は、この世界が好きだ。お前たちと出会って、初めて仲間というものを知った。守りたいものができた。だから…こんな俺でも、お前たちと共に戦うことを、許してくれるだろうか…?」


震える声での告身を終え、俺はただ、仲間たちの審判を待った。拒絶されても、軽蔑されても、仕方がない。それが、俺が背負うべき罰なのだから。


 重い沈黙を破ったのは、意外にもセレスティアだった。彼女は、腕を組んだまま、呆れたようにため息をついた。


「…んだ、そんなことかい。あたしはてっきり、借金でもあるのかと思ったぜ」


「え…?」


「あんたがどこの世界の誰だろうが、知ったこっちゃないね。あたしがあんたを認めたのは、あたしの技術を、誰よりも信じてくれたからだ。あんたが『ストームウィング』を夢物語じゃないって言ってくれたから、あたしは今ここにいる。それ以上でも、それ以下でもないよ」


ぶっきらぼうな、しかし最高に温かい彼女の言葉に、俺は言葉を失った。


 次に口を開いたのは、エレノアだった。彼女は、冷静な、しかしどこか安堵したような表情で言った。


「…正直に申し上げますと、レナード様の知識と思考体系が、この世界の常識から逸脱していることには、以前から気づいておりました。その源泉が、異世界にあると仮定すれば、全ての辻褄が合います」


彼女は、俺の告白を驚きもせず、一つのデータとして受け入れていた。


「ですが、それと同時に、あなたがその力を、常に誰かを守るために使ってきたことも、私は知っています。あなたの存在が『異物』なのではなく、その特異性こそが、黒幕という最大の『歪み』を正すための、この世界の『希望』なのだと、私は確信しています」


「エレノア…」


「そうよ!」


セリナが、力強く言った。彼女の瞳は、まっすぐに俺を射抜いていた。


「お前がどこの誰だろうが、私が認めた好敵手ライバルであることに変わりはない!お前のその奇妙な戦術も、仲間を信じる甘さも、全部含めてレナード・アルバートだ!それに…」


彼女は、ふいと顔をそむけ、頬を染めながら小さな声で呟いた。


「私は…そんなお前だからこそ、ずっと…」


その先の言葉は、聞こえなかった。だが、その想いは、痛いほどに伝わってきた。


 そして、レオンハルトが静かに口を開いた。


「レナード。私は、かつてお前の非合理な『絆』の力に敗れた。そして、その敗北から、真の王道を学んだ。お前が異世界から来たというのなら、むしろ納得がいく。お前の存在そのものが、この世界の停滞した常識を打ち破る、天の啓示だったのかもしれないな」


彼は、穏やかに微笑んだ。


「お前の秘密が何であれ、私がお前を友と認め、この国の未来を託した事実に、何一つ変わりはない」


最後に、ずっと俺の手を握りしめていたリシアが、涙ぐみながらも、満面の笑みで言った。


「私、嬉しいです、お兄様」


「え…?」


「だって、お兄様が、ずっと一人で抱えていた一番大切な秘密を、私に、私たちに、話してくれたのですから。お兄様がどこの誰であろうと、私にとっては、世界で一番優しくて、強くて、大好きな、たった一人のお兄様です。それだけは、この世界がどうなっても、絶対に変わりません!」


 仲間たちの言葉が、温かい光となって、俺の心の奥深くまで染み渡っていく。罪悪感と孤独という、重く冷たい枷が、音を立てて砕け散っていくのが分かった。


俺は、一人じゃなかった。


俺の居場所は、確かにここにあったんだ。


「…ありがとう」


溢れ出す涙を、もう堪えることはできなかった。俺は、仲間たちに深く、深く頭を下げた。その顔には、もう迷いはなかった。


(俺は、高槻レンであり、レナード・アルバートだ。そして、このかけがえのない仲間たちと共に、この世界を守る)


 黒幕を倒し、この世界を救う。それはもはや、異世界から来た者の責任などではない。この世界に生きる一人の人間として、愛する仲間たちと共に未来を掴むための、俺自身の戦いとなっていた。


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