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毒毒影分身は最強です~状態異常特化の私はVRMMOを楽しむ~  作者: ゼクスユイ


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第111話 vsポセイドン

 ポセイドンに対し、果敢に飛び込んでいくミカエルは初手から必殺の戦女神の聖槍をかましていた。いかに強力な神といえども、アテナの祝福を受けている彼女の一撃は有効打になりうるはずだった。だが、そんな彼女の一撃を持ったとしても、HPゲージはおろか本気を出したポセイドンはびくともしない。


「なんて硬いやつなんだ」


「神には神殺しの毒で!ヒュドラブレス!」


 アイリの十八番であり、神性特攻ダメージ付きのヒュドラでさえポセイドンはその体一つではじき返す。とにかく今は攻撃を続けるしかないと考え、ユーリたちはポセイドンに攻撃を加える。ポセイドンの攻撃が壊れた盾を予備の盾に切り替えたリュウにいっているため、アタッカー陣は安心して攻撃はできる。だが、いつ海神の一撃が飛んでくるかわからない状況だ。悠長にはしてられない。


「バリアブレイクも意味がないみたい」


「攻撃してもHPゲージが減らないよ!ユーリちゃん、なにか方法無い?」


「考えている!」


 ユーリの脳内にあるこれまで遊んできたゲームの知識を総動員しながら、このどん詰まりを打破する方法を考える。


 もともと逃げるための相手だから強くしている?


(いや、主神の手助けがあるなら倒せるということは、戦うという選択肢がある。ダメージ判定もある。倒せる相手なはず)


 ステや人数が足りない?


(人数差なら仕方ないけど、ミカエルの攻撃すらはじき返している時点でステどうこうの話じゃないはず)


「つまり……ステージギミックが隠されている? だとすれば……」


 鷹の目で周りのエリアを見渡しても不審なものはない。勘違いかと思った時、火山での戦いを思い出す。あのときのステージギミックは戦闘エリア内にある火山に潜らないと回復ギミックが解除されないものであった。そして、リヴァイアサン戦も似たようなものだ。


「もし、そうなら……この中で潜水スキル持っているの私とケイ以外で誰かいる?」


「私、持っているわ。海底の鉱物材料を集めるのに必要だから」


「私も薬の材料集めに」


「Chrisと一緒にとったわ」


「Chrisはここで支援してもらう必要があるから、私とケイ、LIZさん、Aoiで雲海の中を調べる。それまでの間、頑張って耐えて!」


「任せとけ、次に会うときは勝った時や!」


「リヴァイアサンの効果時間は切れとるけど、潜水なら海豚太郎にお任せや」


 イルカを呼び出したケイとユーリ、LIZ、Aoiは雲海の中へと潜っていく。真っ白い雲の中を潜っていくと、ケイのイルカがこっちだよと言わんばかりに先導していく。そのあとをついていくと、そこにはレーザーやビームを発射しそうなSFチックな潜水艦が鎮座してあった。


「わざわざステージ内にあるってことは……」


「どうする? 潜水艦の中に入るか浮上しないと酸素ゲージがそろそろまずいかも」


「OK。潜入する方向で」


「海豚太郎、潜水艦のヘイトとってな」


 イルカが先行すると潜水艦から発射される音波レーザーや魚雷を曲芸のように搔い潜っていく。その隙にと潜水艦に取りついたAoiが潜水艦の装甲を丸くくり抜いて、ユーリたちと一緒に侵入する。4人が潜入した途端、潜水艦の装甲が自動修復して帰り道が塞がれる。


「この修復速度から見るに急いで入っても5人が限度かな」


「分析は後にしましょう」


「そうよ。まずは目の前の敵を!」


 彼女たちの行く手を阻むはポセイドン兵と名付けられたトライデント持ちの半魚人。目の前には数体しかいないので迎撃は余裕だが、ここが敵艦であることを踏まえるとより多くの敵が今後出てくるかもしれない。


「まずはどこに向かうか……【鷹の目】」


 潜水艦のマップを確認して、敵が最も密集している場所を探す。敵が侵入していることが分かっているのであれば、管制室にしろ動力室にしろ最も大切な場所こそ警備が厳しくなるはずだからだ。


「よし、場所を確認。そこがキーポイントかは分からないけど、あてなく彷徨って消耗するよりかはマシしょ」


「そうね。行きましょう」


 次から次へと湧いて出てくるポセイドン兵をなぎ倒しながら、密集地へと突き進んでいく。


「レインソード!」


「乱舞の太刀!」


 LIZとユーリが広範囲攻撃でポセイドン兵を倒し、うち漏らしをAoiとケイが片付ける。4人の無敵の行進は目的地まで続き、アイテムで回復した後、中へと入っていく。

 そこにあったのは、ただ広い部屋の中央にポセイドンコアと表示された丸い球体。そして、侵入者が入ってきたことで、ポセイドン兵が部屋の中へと転送されていく。


「あれを壊せば弱体化するなり、クリアってことかしら?」


「多分そう。LIZさんとAoiでコアに攻撃。私とケイでポセイドン兵を倒すよ」


「やったるで!」


 コアと雑魚掃討、手分けして攻撃をしていく4人。コアの外装を壊すためにLIZが大槌をぶんぶんと振り回して何重にも重ねられた装甲をへこましていく。


「Aoiちゃん、ここに攻撃して!」


「わかりました。サンダースピア!」


 貫通力のある長槍に切り替えたAoiのひと突きがコアに突き刺さり、内部コアを露出させる。それに一、二発加えると、外部装甲がたちまち修復される。


「回復能力が高い!」


「でも、ユーリもケイも、外で戦っているみんなのためにも!」


「「退くわけにはいかない!」」


 少しずつ、時間をかけながらもポセイドンコアのHPを減少させていく。雲海上では満身創痍となったリュウを休ませるため、アイリやミカエルがポセイドンの攻撃を代わりに引き付けて回避タンクの役割を果たしている。だが、どちらも本業はアタッカー。タンクとしての役割はそう長くは持たない。

 倒せる希望はある。だが、人手不足という【桜花】、ひいては小規模クランの弱点がここにきて襲い掛かる。無論、ポセイドンの撃破をあきらめて通常クリアを目指すというのも選択肢にはあるのかもしれない。だが、【桜花】メンバーはそんなことを考えている者は誰もいない。だからこそ、『神』は彼らに奇跡を起こすことを許す。


「寡兵で民を助けたばかりか、荒ぶるポセイドンに挑み、一歩も退かぬとはな」


「えっ、誰!?」


 ユーリが振り向くと、そこには2頭の狼を引き連れ、帽子を深くかぶった謎の槍兵がいた。表記は味方のNPC、名前は?????と不明だ。


「俺の正体などどうでもいいことだ。今は鎮めることが優先だ。行くぞ!」


 謎の男性がド派手なエフェクトと共にポセイドンコアに向けて槍を投げつけると、外部装甲がすべてはじけ飛ぶ。そのあまりの威力に敵・味方の手が一瞬止まるほどだ。


「俺の槍を受けた今、自己再生にも時間はかかるだろう。そこの赤魔導士」


「はい!」


「こいつらを貸してやる。俺にはやらなければならんことがあるのでな、失礼する」


 Aoiは【ゲリ&フレキ召喚】を一時的に覚えた


「ゲリ、フレキってえええええ!!?」


「さっきの男、もしかして――」


「話は後、今は最大の攻撃のチャンスよ!」


 一瞬で消えた男によって召喚されているゲリとフレキが雑魚モンスターを寄せ付けないほどのスピードで翻弄しつつ、必殺と言わんばかりに鋭い爪で切り裂いていく。そしてひとたび息を吹きかければ氷の彫像が乱立する。彼らのおかげで雑魚掃討にかける戦力をすべてコアの破壊に向けられる今を逃すわけにはいかなかった。


「火遁・葬送業火の術!」


「グレイテストスタンプ!」


「ギガサンダー!」


「アクアプレス!ワイバーンスラッシュ!」


 各々が持つ強化バフをのせた一撃がコアへと吸い込まれていき、ついにコアが砕け散る。それと同時にポセイドン兵も光の粒子となって消えていく。


「なんとかできた」


「謎の男……というより、オーディン(仮)が来てくれなかったら負けていた」


「なにかしらの条件を満たしたっぽいけど、検証とかはあと、あと!」


「早く戻らんと……ってちび太郎、拾い食いはあかんで」


 ケイのアクアドラゴンがポセイドンコアの破片をパクリと食べる。ケイが注意するもそれを聞かずにパクパクと食べる様子を見て、ため息をつきながら食べ終わるのを待つ。

 大きな破片だけ飲み込んだアクアドラゴンが突如として光りだし、さらなる力を得ていく――



 一方そのころ、コアを撃破したことでポセイドンの身体が黄金から黒い鉄の色へと変貌していた。しかも防御力が落ちた上に、先ほどまでほとんど減らなかったHPの上限値も大きく減っていく。


(力が入らん……まさか、儂の本体を……)


「みんな、あと一息頑張ろう!」


 ポセイドンの突然の弱体化に雲海に潜ったメンバーが何かしたことは明白であった。そのことに勇気づけられ、満身創痍となっても海上組の気力は十分だ。


「【ヒュドラの主】!」


「ヒュドラを召喚したか。だが、天界にいる限り、儂に毒は通用しない!」


「それはどうかな」


「なにっ!?」


 アイリのヒュドラの毒は低確率とはいえ毒無効を貫通する。もし、この場にガブリエルがいれば毒状態を回復できただろうが、それが叶うことはない。チームプレーができなかった時点でこの結果は見えていたのかもしれない。


「毒された程度でやられる儂でない!海神の裁き!」


 青空は消え失せ、荒らしが巻き起こる。上空で起こる雷鳴は雲海にいるアイリたちを狙う矢のように降り注ぐ。


「カースバリア!」


「チンケなバリア、無駄や!」


「バリアが……!?」


 数本の雷が当たるだけでアイリのカースバリアが破壊される。そして、これが本命の攻撃と言わんばかりの雷、いや電撃の柱と呼ぶべきものがアイリの上空から降り注ぐ。


「そうはさせへんで!」


 アイリの頭上に何かが割り込み、代わりに攻撃を受ける。声からケイが何かしたと思われるが、逆光になっていてその全貌はよくわからない。そして、雷が晴れたとき、アイリの目の前にあったのは黄金の鎧を纏い、一角の角が生えたリヴァイアサンであった。


「ふう、なんとか間に合ったで」


「ケイ、あのリヴァイアサンは?」


「あれはちび太郎がポセイドンの力を取り込んだ更なる進化形態、メタルリヴァイアサンや」


「メタルリヴァイアサン」


 頼もしい仲間が増え、【桜花】メンバーは一人欠けることなくポセイドンの前に並び立つ。生まれも育ちも年齢もバラバラではあるが、ポセイドンたちとは違い心は一つであった。そんな彼女たちに気圧されそうになるのをぐっとこらえたポセイドンは振り払うかのように、轟く雷鳴の中、流星群のような拳のラッシュを彼女たちに浴びせようとするが、巨大なアイギスの盾に阻まれる。


「ビッグシールドでアイギスを巨大化や。言ったやろ、ワイがおっさんの攻撃を全て受け止めるってな」


「せやったな。なら、壊れるまで殴り続けるまでや!」


「ウチらのこと忘れたらあかんで!ポセイドンブレス!」


 ポセイドンの力を得たメタルリヴァイアサンのブレス攻撃でポセイドンがよろける。体勢が崩れたところにフレキたちがぶつかり、しりもちをつかせる。


「今が攻撃のチャンス、火遁・葬送業火の術!」


「ヒュドラバイト、【連続魔法】で追加のヒュドラバイト!」


「グレイテストスタンプ!」


「プロミネンスバーン!」


「戦女神の聖槍!」


【桜花】の最大攻撃がポセイドンに叩き込まれていく。起き上がろうとしても、メタルリヴァイアサンやフレキたちがそれを阻止しようと動く。もはやポセイドンに逆転の目はなく、彼のHPが尽きるまで攻撃が続くのであった。



 シークレットクエスト【ポセイドンの鎮圧】をクリアしました

【桜花】メンバー全員にスキルポイント200ポイント付与

【桜花】メンバー全員にスキル【ポセイドンの権能】(潜水時間を大幅に向上させ、水属性の技・魔法の能力をアップさせる)を付与

 Aoiは【ゲリ&フレキ召喚】を正式に覚えた(効果は変わりません)

 ケイはスキル【超進化(海竜神)】を正式に覚えた(効果は変わりません)

 スキルの習得に伴い、【海竜神の加護】が強化されます


 世界初シークレットクエスト【ポセイドンの鎮圧】クリアボーナス

 クラン【桜花】に所属しているメンバーに選択スクロール並びにランダムスキル書を付与


「やばっ!? 大型イベント並みにポイントもらえるんだけど!」


「すごいね」


「苦労したかいがあったわ」


「PVPイベント直前でこのポイントは大きいで」


 ポセイドン戦の勝利を喜んでいると、倒れていたポセイドンがゆっくりと起き上がる。完膚なきまでに叩き込まれたこともあり、ポセイドンからは敵対しようという意思は全く感じられない。


「儂の負けや。煮るなり焼くなり好きにせえ」


「だったら、奴隷扱いをやめてアテナさんと協力してください」


「コアがないと性能が落ちるし、修復できるのはヘパイストスの愛弟子であるアテナくらい……わかった、人間を奴隷するのはやめよう」


「だからってエルフやドワーフはOKとか言うのはNG」


「ぎくっ……いや、まさかそんなことするわけあらへん。儂の曇りなき眼を見てみ、そんなことする奴やないやろ」


「前科一犯の目やな」


「……終わったことはお互い水に流そうや、リュウ」


「ポセイドンだけにか?」


「ふっ……」


「寒いねん。新喜劇を見て学べや!」


 リュウがポセイドンにツッコミを入れたところで、クエストは正式に終わる。ログアウトするまでの時間はまだあるが、激戦を戦い抜いたこともあり、今日は解散する流れとなった。



「せっかくいっぱいポイントもらったし、マーサさんに魔法を教えてもらおう」


 はじまりの街からマーサの家へと向かっていく。道中すれ違うプレイヤーもいることから、PVP戦で有用な状態異常系の魔法を覚えに来たのかもしれない。新たなライバルになるかもしれない人の顔を見つつ、マーサの家へと入る。


「マーサさん、面白そうな魔法教えてください!」


「ふぇふぇ、儂が教えられる魔法だともう……待っとれ。ヴィヴィを呼ぶからのう」


 マーサが奥の部屋に入っていき、少しした後、ヴィヴィがドアを開ける。紅い月の日限定でしか会えないと思っていたから、少し意外だ。


「マーリンから貴女の活躍は聞きました。そして、マーサから特殊な魔法を覚えたいと」


「はい!天界だとイマイチ活躍できなくて……それにPVPイベントもあるから、アッと言わせるような魔法を覚えたいです」


「なるほど、あっとですか……戦闘向きではありませんが、それでも覚えますか?」


「大丈夫です」


「特殊な魔法なので、実演しながらの説明をしましょう」


アイリは外に出て、ヴィヴィからその魔法を扱い方や注意点などを教えてもらうのであった。

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