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毒毒影分身は最強です~状態異常特化の私はVRMMOを楽しむ~  作者: ゼクスユイ


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第110話 三大天使降臨(Part4)

 飛行機での一件以外、何事もなかった修学旅行が終わり、愛理たちの学校は夏休みへと入っていく。LIZの予定も空いているこの日、【桜花】メンバー勢ぞろいで南の雲海エリアへと向かっていた。雲海は地面と同様に歩くことができるが、潜水系のスキルを持っていれば潜ることも可能な特殊な地形だ。といっても、今は潜るメリットもないので、全員が陸を歩いている。


「へえ~、そっちの高校は修学旅行北海道なんだ」


「私たちは沖縄です」


「夏の沖縄って暑くない?」


「そんなことないわよ。湿気が少ないから、むしろ過ごしやすい。北海道はどうなの?」


「思っていたより暑かったよ」


「そうそう。心なし低いかな程度」


「ワイらは来年やな。北海道のどこに行ってきたんや?」


「私たちは函館→小樽→札幌だったよ」


「2000円越えの海鮮丼食べたけど、これだけあればガチャ何回分って考えちゃう」


「ゲーム中毒やん」


「お土産買ったんか?」


「〇い恋人とかなら。近くに住んでいたら渡しに行けたのに」


「大阪には面〇い恋人というものがあってやな……」


「次は沖縄の話やな」


 リュウの大阪自慢が始まる前にケイが遮り、Chrisたちの沖縄の修学旅行の話を聞くが、こちらはアイリたちとは異なり、飛行機の中でも騒いでいたようだ。土産話に花を咲かせていると、モンスターが出現する。


「この辺りは海に出てくるモンスターの強化版が多いよ」


「わかった。行くよ!」


 襲い掛かるサメやら凶暴な魚、亀のモンスターをなぎ倒しながら、奥のエリアへと入っていく。そこにいるのは本来のボスモンスターはおらず、神々しい巨人が人間たちを使ってモンスターを狩らせ、青い髪の女性の天使が人々を癒していた。

 そんな中、ぼろぼろの衣服をまとった男性が力尽きて倒れる。女性の天使が回復魔法を使っても起きないところから疲労が原因かもしれない。


「HPがあるなら戦わんかい!」


「む、むり……24時間ずっと戦わされているんだ。や、やすませてくれ!」


「HPが0になったら休め!それまでは働かんかい!」


 青い巨人が雷をおとし、歯向かった男性を黒焦げにするも女性の天使の回復により、HPが全快する。文字通り精魂尽きるまで戦わせるようだ。その光景をみた【桜花】が男性たちの前に割り込む。


「立てますか?」


「ち、力が入らん……」


「何も食べてないんだ……」


「ずっと戦わされっぱなしだったから……」


「リュウくん!」


「おう、ミカエルが来るまで耐えるで!」


「ミカエル? なるほど、アテナの差し金か」


「だったら、犬畜生みたいなやり方を改めてくれる?」


「ふん。罪人をいくらこき使おうとも儂の勝手や」


「この人たちが裏切り者なんですか?」


「違う!俺たちはただ普通に暮らしていただけなんだ」


「信じてくれ!」


「歯向かう元気があるのであればまだ使えるな」


「ルシフェルさんもそうだけど、罪のない人たちを苦しめるなんて!」


「ふん。人間とは生まれた時より7つの大罪を背負っておる。すなわち、生きている時点で罪なのだ。ならば、儂ら神々がどう扱おうと勝手であろう。なあ、ガブリエル?」


「……ええ、その通りです」


 ポセイドンに逆らえないガブリエルは不服そうな顔をしつつも従順な態度をとる。そして、ポセイドンとガブリエルの上部に敵モンスターであるアイコンとHPゲージが表示される。


「汝らに裁きを与えよう。すなわち、死である!」


 ポセイドンが大津波を引き起こし、アイリごと飲み込もうとしたとき、リュウのシールドから巨大なバリアが発生し、後方にいる人たちごと包み込んでいく。ポセイドンの津波攻撃をリュウが歯を食いしばりながら耐える。


「その輝きはアテナの……!?」


「アイギスや!」


 リュウがポセイドンにアテナの姿を模した刻印が刻まれている盾をおもむろに見せる。期末テストや修学旅行さえ終われば、学業はほとんど無いに等しいリュウたちは夏休み前でも素材集めに奔走し、つい先日に偽アイギスを作ったところだ。


「少しばかりは面白うなったわ。ガブリエル、あいつらに手を出すな。儂がひねりつぶしてくれる」


「では、回復だけでも」


「それでええ。アテナがこんなにも肩入れしているなら、儂が直々に叩きのめさないとな!」


 ポセイドンが手にしたトライデントがリュウに襲い掛かるも、今度はサブの盾で耐える!


「今度は対物理特化の盾や!数少ない防御特化タンク舐めんな!」


「儂と同じしゃべり方すんな!」


「それはこっちの台詞や!おっさん!」


「おっさんやない、神や!」


「髪? そのシャンプーハットみたいなやつとったらハゲとるんかあ?」


「この性悪なガキ、はったおしてやるわ!」


 関西弁の罵りあいが始まり、ポセイドンの攻撃を受けていくリュウと回復で支援するミミ。彼らの奮闘の合間にアイリたちは回復役のガブリエルに標準を定める。


「ヒュドラブレス!」


「エンチャント問題なし!ギガサンダー!」


「浄化の水流」


 ガブリエルの前に巨大な水が噴き出て彼女たちの攻撃を遮る。天界においてはほとんど意味をなさないが、名前が意味する通り、あの水はアイリお得意の毒攻撃すらも浄化し無効化する能力も持つ。


「だったら背後からの攻撃はどう!迅雷の太刀!」


「ちび太郎、上空からや!アクアプレス!」


「その程度の攻撃通用しません」


 ガブリエルの周りに氷のバリアが現れて攻撃を防ごうとした瞬間、LIZのハンマーで氷の壁があっけなく崩される。バリアを失ったガブリエルに彼女たちの攻撃が直撃する。


「うっ……」


「よろけた今なら、カースインフェルノ!【連続魔法】でもう一度!」


 アイリの波状攻撃でガブリエルに大ダメージを与えるもレイド仕様のため、HPゲージの減少量は小さい。これは長丁場になりそうだと思っていると、天馬に騎乗したミカエルが乱入してくる。


「ガブリエル、あいかわらず情けない面をしているな!」


「ミカエル!」


「そんな面するなら堕天使落ちでもしちまえ」


「はあ? 何言っているの!私たちは秩序を守る大天使!私たちが秩序を乱すわけにはいかないのよ!」


「だったら、そこで倒れているこいつらの顔を見ながら、同じこと言えるか!」


「そ、それは……」


「自分の信念貫けない奴が戦場に出るんじゃねえよ!」


「……あなたは良いわよね。アテナ様に仕えてぇぇ!!」


「はは、少しはマシな顔をするようになったな!」


「あんただけは許せない!!」


 ガブリエルが水や氷の弾丸、水龍を召喚してミカエルに全力で攻撃するも、天馬を巧みに操るミカエルはそれらを悠々と躱していく。ポセイドンに言われたのは「プレイヤーへの攻撃禁止」であり、ミカエルへの攻撃は可能だ。ゆえに神を裏切る行為には当たらず、全力を出すことができる。


「すごっ……あれだけの攻撃を軽々かわしとるで」


「私たちと戦ったとはかなり手加減していたんだね」


「そうみたい。ガブリエルが嫉妬で周りが見えてない今が攻撃のチャンス!」


「行くよ、みんな!ヒュドラバイト!」


「乱舞の太刀!」


「サンダーブレード!」


「グレイテストスタンプ!」


「ちび太郎、リヴァイアサンで攻撃や!」


「強化型爆弾!」


【桜花】メンバーの攻撃がさく裂し、ガブリエルの意識が【桜花】に向けられるもポセイドンから攻撃が禁じられている彼女にとっては攻撃の手が緩み、隙だらけとなる。立場と良心の板挟みを知っているミカエルであっても、戦場にいる限りは容赦はしない。


「戦場を駆け抜けるはアテナ様より授かりし我が聖槍!戦女神の聖槍(アテナ・ミカエル)!」


 炎をまとったミカエルの槍がガブリエルの腹部へと突き刺さる。血しぶきをあげながらも、ガブリエルが自身を回復させ、ことなきを得るも息は荒く、体力はごっそりと減った様子だ。


「ミカエルううう!!」


「まだ戦えるならいくらでも攻撃を受けてやる。我が愛馬とアテナ様のアイギスの盾がある限り、私は無敵だ!」


「当たれ、当たれ、当たれええええ!!」


 女神とは呼べないような形相でガブリエルがミカエルへ加える攻撃がさらに激しくなり、さすがのミカエルもアイギスの盾で受け止めざるを得ない状況だ。


「もういちど、攻撃行くよ!」


【桜花】メンバーの一斉攻撃がガブリエルに襲い掛かり、HPを順調に減らしていく。攻撃を受けまいとしてもLIZがバリアを破壊していく。


「なぜ、防げない!」


「上級鍛冶師専用かつ大槌専用スキル、バリアブレイク。職業も装備も限られる分、効果は絶大よ!」


「こやつさえ倒せば……勝てるというのに……!」


「おかげでステータスが伸び悩んでいるんだから、バリバリ活躍させなさい!」


 LIZの攻撃の後に、【桜花】とミカエルが猛攻が続き着実にダメージを与えていく中、裏ではポセイドンとリュウwithミミのどつき合いは続いていた。


「儂の攻撃をこうも防ぐとはやるやんけ!」


「そういうおっさんもな!中々のもんもっとるやんけ!」


「度胸のあるガキは嫌いやない。けど、そろそろシマイや」


「ミミ、くるで!」


「わかっています。いっぱい魔法使います」


海神の一撃(ポセイドンインパクト)!」


「アストラルシールド!」


 ポセイドンの巨大な拳がリュウの無敵の盾を砕きながらも、その勢いは衰えることを知らない。


「バリアブレイクか!だったら防御アップや」


「その矮小な身体で耐えるとでも!」


「ビッグシールド!」


 左手に装備した盾を投げつけると、巨大化してポセイドンの拳を受け止める。だが、瞬時にひびが入り、ほんのわずかな時間しか止められない。


「ワイの後ろにはな!守る者がおるんや!海の神だろうと守ってやるで!!アイギス、至上の盾なら見せつけてやれ!」


 アイギスで巨大な拳を防いでいるリュウの後ろには目を閉じ、おびえている人々の姿があった。ポセイドンからの一撃を受け止め、後ずさりしながらもリュウは耐える。耐えなければならない。


「ああ、もう終わりだ……」


「終わりじゃありません!リュウお兄ちゃんががんばっているんです」


「でも……」


「信じてください!」


「……わかった。でも、俺も魔導士の端くれだ。ちょっとしたバフならかけられる」


「そうだ、俺も祝詞をかけるくらいは……」


「すまん、剣士の俺には彼を後ろから支えることしかできない」


「無理をしないでください」


「男にはなあ……無理をしてでも道理を通さないといけない場面があるんだ!」


「ちっちゃいお嬢ちゃんに負けるかよ!」


「せや!ワイらは一人で戦っているわけじゃないんや!うおおおおおお!!」


 気合を入れなおしたリュウがポセイドンの拳を跳ね返す!渾身の一撃をはじき返されたポセイドンは目を見開き、死力を尽くしたリュウを見る。


「アテナが目を付けたことだけのことはある。汝の名を聞いていなかったな」


「ワイは【桜花】のリュウや!」


「認めよう、リュウ。そして【桜花】よ。汝らは儂が全身全霊をかけるのにふさわしい相手と見た。弱き者はこの場から立ち去るがよい!」


「気分が変わらないうちに逃げて下さい」


「ああ、わかった」


「お前たちも逃げろよ」


「生きて帰れ、絶対だぞ」


 奴隷労働させられた者たちははいつくばってでも、この場から去っていく。最後の一人までこのエリアから退去した奴隷たちをみたポセイドンは金色の肌へと変貌していく。その間、攻撃を受け続けていたガブリエルもついにHPが0となる。


「申し訳ございません……」


「その忠誠心、確かに見届けた。下がってよいぞ。ここから先は儂一人でやる」


 ガブリエルはふらふらと羽ばたきながら、戦闘エリアから離脱していく。この場に残ったのは【桜花】とミカエル、そして敵のポセイドン。そして、モンスターや配置物扱いになっていない数羽の海鳥や2匹の鴉が空を飛んでいるだけだ。


「ここから逃げればクエストは終了だとは思うけど」


「そんなことはしないよね」


「ここから面白くなるところや。もやもやしたままの決着なんてする気ないで!」


「せやせや。せっかくやるなら最後までトコトンやるで」


「Chrisも当然やるわよね」


「もちろんです」


「私もこんな叩きがいのある相手、そうなんども戦えないもの」


「いっぱい、がんばります」


「気合入れろよ、【桜花】!」

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