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冷遇された奇跡の調香師は、氷の辺境伯に溺愛される ~私をゴミのように捨てた実家は、聖なる香水が作れなくなって没落したようです~  作者: kanatoka


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奇跡の調香師は、氷の城で永遠に愛される

王都のボルドー伯爵家が完全に没落したという報せは、風の噂でアスラン辺境伯領にも届きました。

偽物の香水でヴィンセント公爵夫人を危険に晒した罪により、ボルドー家は爵位を剥奪され、全財産を没収。借金まみれとなった元父親と妹のリリアは、今や王都の片隅で、その日暮らしの過酷な労働に追われているそうです。

かつて私を冷酷に地下室に閉じ込め、私の成果を横取りしてマウントを取っていたリリア。彼女は今、自慢だった手がボロボロに荒れ果て、「お姉様、助けて、戻ってきて……!」と毎日泣き叫んでいるのだとか。完全に因果応報、自業自得ってやつですね。

また、元婚約者のセドリック様も、詐欺まがいの婚約破棄騒動と公爵家の信用失墜の責任を問われ、次期公爵の座を追われて辺境の開拓地へ送られたと聞きました。人生のステータス、無事死亡です。

私をゴミのように虐げ、利用するだけ利用して捨てたクソ人間ども。

彼らが今、どのような地獄にいるのか――それを知っても、私の心にはもう、何の感慨も湧きませんでした。

だって、完全にアウトオブ眼中(死語)ですし、今の私はそれどころじゃないのです。


「エレナ。仕立て屋が、お前の結婚式用のドレスを持ってきてくれたぞ。どれも美しくて選べなかったから、職人を丸ごと一人雇って、一から新しい絹で織らせることにした」


「……ギルバート様。さすがに、それはやりすぎではないでしょうか?」


きらびやかなアスラン城の自室で、私は呆れ半分、嬉しさ半分でため息を吐きました。

私の前に立つギルバート様は、今日も今日とて、私をこれでもかと甘やかす(過保護モード)に全力を注いでいます。何この顔面国宝、今日も距離感がバグってます。

あの日、荒れ果てていたアスラン領は、私の調香水によって完全に呪いが浄化されました。

枯れかけていた大地には瑞々しい緑が戻り、今や特産の薬草がかつてないほど豊作(チート並みの収穫量)を迎えています。領民の皆さんは元気を取り戻し、街は毎日がお祭りのような活気に満ち溢れていました。

私はギルバート様から贈られた、最新の設備が整った最高級のホワイト調香室で、毎日大好きな香りの研究に没頭しています。

私が作る新しい『癒やしの化粧水』や『魔力を回復するアロマ』は、領内だけでなく、隣国からも注文が殺到するほどのガチ特産品となっていました。完全なる内政無双です。


「やりすぎなものか。領地を救い、俺の凍りついていた心を救ってくれた最愛の正妃だ。世界中の富を集めて飾っても足りないくらいだ」


ギルバート様は私の腰を優しく引き寄せ、その額に愛おしげに口づけを落としました。

ひえっ……! 息をするように胸キュン台詞を吐くの、本当に心臓に悪いからやめてほしい。


「っ……、もう、すぐにそういう恥ずかしいことをおっしゃるのですから……」


実家では、名前すらまともに呼ばれず「無能」「出来損ない」と罵られていた私が。

今は、世界で最も気高く、そして世界で最も私にだけ甘い男性の腕の中で、キャパオーバー寸前の幸福に包まれています。

◇◇◇

数日後。

アスラン辺境伯領の歴史に、深く刻まれるであろう盛大な婚約パーティー、および結婚式が執り行われました。

城のバルコニーから私とギルバート様が姿を現すと、広場を埋め尽くした何万人もの領民から、地を揺らすようなクソデカ大歓声が沸き起こりました。


「エレナ様――! 私たちの奇跡の調香師様万歳――!」


「アスラン領の女神様、お幸せに――!!」


空には、私がこの日のために調合した、お祝いの『光華の香水』が魔法で打ち上げられていました。

大輪の光の花が夜空にド派手に弾けるたび、どこか甘く、どこか爽やかな、人々の心を芯から幸福にする極上の香りが優しく降り注ぎます。ナウシカのラストシーンか何かかな?

歓声に包まれる中、ギルバート様は私の前に跪き、そっと私の右手を取りました。

かつては薬草の灰で汚れ、タコだらけだった私の手。

今は、彼の深い愛によって白く、滑らかに、そして世界で最も美しい輝きを放つ、アスラン辺境伯家代々の『青いダイヤモンドの指輪』がその薬指にガッツリ嵌められています。


「エレナ。俺の生涯をかけて、お前を愛し、守り、世界で一番幸せな女にすることを誓う。……俺の妻になってくれて、ありがとう」


「はい、ギルバート様。私を暗闇の地下室から連れ出してくださって、ありがとうございました。私も、あなたを生涯愛し、この香りで、あなたの隣をずっと支え続けます」


私が柄にもなく微笑むと、ギルバート様は嬉しそうに目を細め、たくさんの光華が舞い散る中で、私たちの唇が優しく重なりました。

私を捨てた実家は、もう二度と戻らない栄華の幻を追って泣いている。乙!

けれど、本物の奇跡を手に入れた私は、大好きな香りと、私を世界で一番愛してくれる旦那様と共に、この氷の城で、どこまでも温かい限界突破な幸福未来を歩んでいくのです。

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