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恋愛請負人・鉄平完結編 ―最後の相手は女神様!? 異能バトル世界の恋愛ミッションに挑めー  作者: 強炭酸
一章 退魔師連合

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第4話 凛のバレー応援。炸裂、必殺サーブ!?

 別の日。


 凛がバレーボールの練習試合に出ることになった。

 ハンバーガー屋での雑談で、試合を見に行く約束をしていたのだ。


 高身長で経験者。

 それだけで、コートでは目立つ。


 有望株――その言葉が、しっくり来る立ち姿だった。


 俺と白狼、そして翠鳥が観客席に陣取る。


「勇は研究所の仕事で来られないってさ」


 翠鳥が足をぶらぶらさせながら言う。


未来(みらい)おねえも任務だって」


 未来(みらい)


 話には聞いていたが、俺はまだ会ったことがない。

 おそらくヒロインのひとりだ。

 やっぱり、簡単には会えないらしい。


 そう思った瞬間。


 視界の端に、半透明のウィンドウが浮かび上がった。


【サブイベントミッション発生】


【ヒロイン:(さかい)未来(みらい)を確認せよ】


【目的:白狼ルートの本命候補を把握する】


「……出た」


 思わず、声が漏れる。


 悪鬼の時。

 水霊の時。

 そして、今。


 このルートは本当に、選択肢ではなくミッションで進んでいく。


 しかも今回は戦闘じゃない。

 誰かを倒せでも、訓練を突破しろでもない。


 ――ヒロイン候補を確認しろ。


 つまり、未来という人物は、それだけ白狼ルートにおいて重要だということだ。


 白狼も、わずかに視線を上げていた。


 たぶん、同じミッションが見えている。


 けれど、白狼は驚いた顔をしなかった。


 代わりに、少しだけ得意げにスケッチブックを開く。


『幼なじみ』

『超強くてかっこいい』


「幼なじみ!?」


 思わず声が裏返った。


 何その強ヒロイン属性。


 幼なじみ。

 強い。

 かっこいい。

 しかも翠鳥の激推し。


 情報量が急に殴ってくる。


「鉄平と未来おねえ、面識まだないよね」


 翠鳥がニヤニヤしながら続ける。


「勇の双子の姉でさ、クールビューティーで……もう、たまんないのよ」


 完全に妄想の世界に入っている。

 涎、垂れてるぞ。


 俺は念のため、翠鳥の頭上を見る。


 ――攻略対象のアイコンは、ない。


「なあ、翠鳥」


 俺は少し声を落とした。


「俺の役割、分かってるよな。白狼の恋愛を成就させる“友人枠”だ」


 翠鳥が、ぴたりと動きを止めた。


「……つまり」


 ゆっくりと、こちらを見る。


「私は、おにいを攻略できないってこと?」


「そうだ」


 間髪入れずに答える。


「攻略する気だったのかよ……」


 翠鳥は少し考え込み、


「攻略対象外でもワンチャン……」


「ねーよ」


 即答。


「……じゃあ、どうせ推すならおねえがいいな」


 (さかい)未来(みらい)


 勇の姉。

 白狼の幼なじみ。

 超強くてかっこいいらしい。


 なるほど。

 その子が、白狼の本命候補か。


 ミッション表示まで出た以上、ただの名前だけ登場したキャラではない。


 白狼ルートを進めるなら、俺もいつか必ず会う必要がある。


 俺は視界の端に残るウィンドウを見ながら、小さく息を吐いた。


【サブイベントミッション】


【ヒロイン:(さかい)未来(みらい)を確認せよ】


 ……了解。


 白狼の幼なじみにして本命候補。

 まずは、その顔を拝ませてもらおうじゃないか。

 

 そんな会話をしている間に、試合が動いた。


「選手交代!」


 凛がコートに入る。


 ざわめく空気。


 サーブ。

 彼女に任された。


 助走。

 床を叩くボールの乾いた音。


 一瞬の静寂。


 ――そして。


 ネット際を、鋭角に射抜くサービスエース。


「……え」


 翠鳥が目を丸くする。


「すっご……」


 俺も立ち上がり、腹の底から叫んだ。


「ナイッサーーー!! いいよ、凛! カンペキ!!」


 白狼の分も、声を張り上げる。


 次の瞬間――。


「ピィィィィーーーーーー!!」


 甲高い指笛が体育館に響いた。


 白狼だ。


(……なるほど。指笛もありなのか)


 凛は、その応援を受けて、もう一度構える。


 高い打点。

 跳躍。

 ボールの下側を叩く。


 ――無回転。


 ジャンプフローターサーブ。


 相手コートで、ボールが不規則に落ちる。


 連続エース。


 調整試合らしく、すぐ交代にはなったが――存在感は、圧倒的だった。


 凛が、こちらを向く。

 小さく微笑み、

 指でピストルをつくる。


 ……なぜか、俺の心臓が跳ねた。


(いや、違う。俺は友人枠だ)


 視界の端で、好感度が上がる。


 指笛の効果、らしい。


 白狼を見る。


 スケッチブックだけじゃない。

 鼻歌だけでもない。


 指笛で応援だってできる。


 こいつは、ちゃんと自分の気持ちを外に出そうとしている。


 だったら、もっと広げられるはずだ。


 白狼が、もっと“話せる”場所。

 白狼が、もっと自分を出せる場所。


 今度、白狼と部活選びをしよう。


 俺は、そう決めていた。


 今夜、夢で女神様と会う。


『最後の試練は長期戦になるわ』


『いつもは終わってから反省会だけど、夢を使った定期連絡にしましょう』


 胸が高鳴る。


 早く女神様に会いたい。

 話したいことが、たくさんあるんだ。

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